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最後まで書くための8ブロック

映画やドラマのシナリオを書いてみたい!
でもスクールに通うお金も時間もない!
独学で書いてみてはいるんだけど
なぜか最後まで書き上げられない!
未完成のシナリオばかりが溜まってく!

という人に向けてのシナリオ作法
今回は『最後まで書くための8ブロック』についてです。


8ブロックの分け方

『起承転結』を知ってる方は多いと思いますが
それだけを武器に映画やドラマのシナリオに立ち向かうのは
ちょっと厳しいかもしれません。
実際、初心者が起承転結だけを頼りに
30分や60分のシナリオを書くのは難しいのではないでしょうか。
指標としては、ざっくりし過ぎだと思うのです。

『8ブロック』は、もうちょっと細分化して
物語を8つの部分に分けてあります。
どのように分けるかといいますと、
 ・セットアップ
 ・ゲート
 ・ターニングポイント1
 ・バリア
 ・ツイスト
 ・ターニングポイント2
 ・ペイオフ
 ・エンド
の8つになります。

いかがでしょうか。
起承転結から、もうちょっと具体的になってると思います。
では次に、これら8つの構成要素を説明していきましょう。

8ブロックの構成要素

【セットアップ】……人物紹介・状況設定・CQの提示
できればミニ事件を巡る一連のシーン=1シークエンスで描くと
説明っぽさが薄まり、作品全体のフックにもなります。

【ゲート】……メイン事件の入り口になる出来事に遭遇
主人公がゲートをくぐる決断をする。
あるいは
やらざるを得ない状況になる。
これによりメイン事件に取り組むことになる。

【ターニングポイント1】……転換点
主人公はヒドい目に遭うが
それが事態好転のきっかけにもなる。

【バリア】……CQ解決に向けてのトライ&エラー
事態好転してホッとしたと思いきや、次々と現れる試練。
立ちはだかる壁を乗り越えたり壊したりして進む主人公。
しかし、一番大きな壁にぶつかり挫折してしまう。

【ツイスト】……方向性をガラッと変えてデカい壁を回避する
どん底の中、CQ解決につながるヒントを得て
今までの方法を変えることで大きな壁を回避して前進する。
快進撃が続き、ゴールは間近と観客に思わせる。

【ターニングポイント2】……転換点2
ゴールするかと思うようなグッドニュースの後に
本当にCQ解決できるのかと突きつけられるバッドニュース
タイムリミットが発動したり
最終試練が目の前に現れたりする。

【ペイオフ】……CQへの回答。全ての清算
今まで保留されてきたコンフリクトの決着。
主人公が物語を通して得たCQへの答えを提示する。
アクションものなら最終決戦。

【エンド】……ストーリーのまとめ。情緒的な余韻
CQ回答の答え合わせ。
ペイオフが事件の解決であるなら、エンドは心情の解決。

(連ドラの場合は、クリフハンガーで終わる場合もあります)

以上、8ブロックの各パートの説明でした。

8ブロックを組む順番

8ブロックでストーリーを組む時は
セットアップから順番に考えるのではなく
エンドから考えると
シナリオを最後まで書ける可能性が高まったりします。

なぜならエンドは、
主人公が提出したセントラルクエスチョンの回答に対して
答え合わせをするブロックだからです。
正解ならハッピーエンド
誤答ならバッドエンド
いずれにせよ物語のテーマを深く心に訴える役割をします。

前回の記事で触れた
『めっちゃ面白そうなオープニングシーンを思いついたものの
その後が続かずシナリオを書き上げることができない』という現象の多くは、
エンドを決めずに書き始めるからであり、
それもそのはず
テーマを決めずに書いても着地点がわかりません。
書き進めてたら思いつくだろうと見切り発車で始めても
結局、書き進める方向性が定まらず、頓挫してしまいがちなのです。

ということで、まず『エンド』を作りましょう。
その次に、『セットアップ』を作ります。
これは両者を引き立たせるためです。
セットアップではできなかったことがエンドではできるようになってる、
とか
セットアップでトラブルになってたことがエンドでは円満に処理できる、
とか
こういった変化をわかりやすく見せることができるように
エンドと呼応するような形でセットアップを組むといいと思います。

エンドを先に決めておいたからこそ
セットアップが効果的に組めるわけです。

どうしても絶対的にエンドが先だ!という訳ではなく
エンドとセットアップは車の両輪なので
オープニングシーンだけ思いついても見切り発車しないでください
という意味合いくらいに思っててください。

なので、もしメッチャ良いオープニングシーンを思いついたら
そこから想像を巡らせてエンドをどうするか考えましょう。
そして改めてオープニングシーンを活かしたセットアップを組みます。

セットアップとエンドが決まったら
次はターニングポイント1と2です。
これは起承転結の『承』と『転』のメルクマールになる部分です。
観客・視聴者の予想を軽く裏切り、ストーリーの曲がり角になります。

ターニングポイント1では
バッドニュースの後にグッドニュースを持ってくると
その後の『バリア』ブロックでのトライ&エラーの流れにつながります。

ターニングポイント2では
グッドニュースの後にバッドニュースを持ってくると
ゴール目前に最大の試練がやってきて
次に控えるクライマックスへの緊張感を増すことができます。

その後は、8ブロックの順番通り
ゲート→バリア→ツイスト→ペイオフ
と作っていきます。

これら8つの役割を満たすようにストーリーが作れたら
プロットの完成です。
次は、それをもとにシーンに起こしていきます。

8ブロックからシーンを書き起こす

シナリオコンクールでは60分もののシナリオが募集されてることが多いと思いますが、8ブロックですと1ブロック7ページちょっとになります。
7ページなら、なんとなく書けそうな気がしませんか?
ブロッグごとに割り当てられた役割に沿ったシーンを7ページ分書いて、
それが8つ集まればシナリオの完成です。

その7ページちょっとをどう書けばいいか困ってんだよ!という人は
1ブロックを『序破急』の3つに分けて書くといいかもしれません。
2ページちょっとずつでしたら、
かなりハードルが下がるんじゃないでしょうか。

どうしても2ページのシーンを3つ書かなきゃいけないわけではなく
これはあくまで目安です。
1ページのシーンを7つでも、
7ページのシーンひとつでもいいんです。
今書いているのはどんな機能のブロックを書いてるかを忘れずにいてくれたら、それで大丈夫です。

シナリオを書く際に大事なこと

もうひとつシナリオを書く際に大事なことは、
プロットとして書いた8ブロックに縛られすぎなくてもいい、
ということです。

8ブロックはあくまでガイドラインですから
書いてる途中でキャラがどんどん動き出したら
その動きに任せて書き進めてもOKだと思います。
暴走したと思ったら、8ブロックのプロットに書いてあることを思い出せば
ゴールまでの道のりは書いてあります。

もちろんエンドそのものが変わってもOKだと思います。
書いてる途中で考えが変わったりキャラの成長度合いが違ったりして
エンドを変えた方がいいと思った時は
作家としての直感に頼った方がいいと思います。
8ブロックプロットに縛られることなく、エンドを変えてください。
そもそもの目的が『最後まで書き上げるガイドライン』な訳ですから
今まで書いてきた積み重ねの上で
こうした方がいいと思うエンドが頭の中にできたのなら
そっちの方に変更した方がいいはずです。

書いてみて、頭から読んで、しっくりこなかったら
当初の8ブロックプロットのエンド通りに書いてみればいいのです。

他のブロックに関しても同様です。
8ブロックプロットに書いた通りにシーンを起こしていくのが目的ではないので、変えた方がいいと思った場合は躊躇せず、変えてみましょう。
変えてみて「違った!」と思ったら
8ブロックプロットに立ち返って、シーンを起こしていけばいいのです。
迷子にならないための8ブロックです。

まずは1作書き上げよう

如何でしたでしょうか。
8ブロックを組んで
2ページちょっとずつシーンを起こしていけば
60分もののシナリオが書き上がってるはずです。

いきなり60分ものは難しいと思ったら
30分もののシナリオにしてみましょう。
その場合は、ワンブロック3ページちょっとにすればいいと思います。

1作書き上げたら、自信がつきますし
書き上げた作品をブラッシュアップする楽しみもできます。
まずは1作書きあげることを目標に頑張ってみましょう。

今回は、
『シナリオを最後まで書くための8ブロック』のお話でした。
なにかシナリオ作法で記事にしてほしいトピックがありましたら
コメントに記載してくだされば
私のわかる範囲ですが記事にしたいと思ってます。

次回は
8ブロックを組む前段階のお話をしようと思います。
……が、他の記事も書こうと思ってますので
シナリオ作法の次回記事の掲載は気長にお待ちいただけたらと存じます。
それでは、また。

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