【15区補選問題】つばさの党黒川敦彦党首インタビュー/問われる新しい選挙のあり方
2024年4月28日に東京15区の衆議院補欠選挙が行われ、9人の立候補者のうち、立憲民主党の新人、酒井菜摘(37)さんが49,476票を勝ち取り当選を果たしました。
注目を浴びた15区補選の選挙妨害
15区補選は自民党の柿沢未途が公職選挙法に触れる行為(買収)を行なった事で実刑となり失職した議席を埋める補欠選挙です。通常、本選に向けての補助的な選挙であるにも関わらず、連日のように各候補者の動向が報道されました。
その理由はパーティ券裏金問題で厳しい目に晒された自民党の今後を占う性質のものである事と、特定政党候補者の選挙妨害に相当する行為があったからです。
「つばさの党」の党首、黒川敦彦氏が24日、亀戸駅前で無所属の乙武洋匡候補の陣営に対し、電話ボックスに登って演説に対抗する姿は今までの他の候補者がくれば互いに場所を譲り合うと言う“紳士協定”で行われて来た街宣活動の常識を覆すものでした。
https://twitter.com/democracymonst/status/1780139097316901020
また「つばさの党」は4月18日に小池百合子東京都都知事の自宅に押しかけて「小池百合子は学歴詐称をするな!」と抗議行動を行いました。
「つばさの党」は告示日以来、過激な選挙パフォーマンスを繰り返したのです。これについて、黒川党首は「我々も選挙活動をしている。これを批判する方が選挙の自由妨害罪だ」と主張。
小池百合子を訴える!
小池都知事にの自宅街宣をしたけたところ、城東署に事情聴取に呼ばれた「つばさの党」執行部は対応した署員に キレ散らかします。
4月18日に警視庁から「選挙の自由妨害である」と出された警告も無視。それどころか同月23日、「つばさの党」は東京都を相手に国賠を起こしました。党への警告と城南署からの事情聴取が「公権力の濫用」であるとの趣旨です。選挙活動を妨害されたことによる精神的苦痛を理由にした損害賠償金額は200万。
[つばさの党が原告の訴状] これから裁判が始まります。
つばさの党黒川敦彦党首にインタビュー!外山まきさん、資金源の謎について
27日の選挙期間最終日に黒川党首本人にインタビューできました。アテンドしてくれる人に恵まれ、(元婦人警官!)この日はたくさんの収穫に恵まれた日になりました。戸山まきさんは埼玉県の朝霞市市議会議員で黒川党首も公言している事ですが、黒川党首はこの戸山市議のヒモ状態で暮らしています。内縁状態にある二人の今後の関係は?本人に直撃してみました。
つばさの党影の党首
黒川党首にはもう一人、スポンサーがいます。山中裕氏です。
HOYAガラスの創業者一族の一人で「新世代総会屋」として知られ、株主提案を頻発して株主総会が混乱し、その抑制のために会社法が改定されました。そんな投資業界の「風雲児」山中氏は黒川党首と組んで投資物件販売会社「投資ブラザーズ」を始めました。高利回りを謳っていますが…一応、「登記」を取りましたのでご参考までに。
この山中氏が運営するウェイブメデイア「さくらファイナンシャルニュース」でご本人がコメントする内容はそのまま「つばさの党」の主張と一致します。政策面、資金面で強い影響力を持つ…党の見えないつばさ、原動力はこの人?
私は「つばさの党」を裏でプロデュースしている司令塔、影の党首は山中裕氏だと確信しています。
ちなみ以前は「政治家女子48(現・みんなで作る党)」党首大津あやか氏の相談役でした。大津氏と「りそな銀行」に行って預貯金を引き出そうとしたと「りそな銀行」は裁判所に答弁書を出しています。(この裁判については長くなるのでいずれまた)
黒川党首は大阪大学工学部出身で在学中からベンチャー企業など立ち上げていたそうですが、二十年以上たってもビジネスで1円も資産が築けなかったことは投資家の皆さんは押さえておくべきポイントですね。私にははっきりと「資産はありません」と答えました。(録音あり)
15区補選ポジティブ面
今回の15区補選のポジティブな面は立候補者9人のうち4人が女性でしかも30代が多く、当選した立憲の酒井菜摘さんは37才、「つばさの党」の根本候補は29才、平均年齢は41.3才でした。政治家の世代交代は確実に行われています。
供託金没収組は吉川りな(参政党)秋元司(無)福永かつや(NHK党)根本りょうすけ(つばさの党)でした。
つばさの党今後は
さて、メディアが大注目し、SNSで大拡散された「つばさの党」ですが、根本候補の結果は得票総数1110票と惨敗。2021年11月7日に行われた葛飾区区議会選挙に立候補した際は惜しくも次点で敗れていますが、得票数は2415票でした。注目を浴びて国政選挙に挑みつつも地方議会よりも得票が少なかったことは猛省して欲しいところです。
SNSの注目が必ずしも得票に結びつかない。立花人気とガーシー人気が絶好調だった頃の現象はもう廃れてしまったと見るべきでしょう。YouTuberを見る社会の目は変化しています。
つばさの党は若い人が多い印象ですがその辺りの時代を見切る目はなかったと言わざるを得ません。ニコニコニュースの「ネット演説」では「つばさの党」は八万アクセスビューを勝ち得ています。(動画)他の候補者よりもダントツの人気です。しかし票には全く結びつかなかった。
この辺りの解説は三品純さんのnoteが面白かったので貼り付けておきます。
このネット演説の高い数字は投票への信託ではなく非日常の刺激を楽しむための”消費数”かもしれないのです。世間を踊らせているつもりでも、「つばさの党」は過激なパフォーマンスを世間に消費されていた。そのオチが投票率40.7%のうちの1100票という結果だったのかも知れません。最下位で供託金を没収された政党が続いた試しはありません。党自体の信託をどう築くか。
今後の厳しい課題が突きつけられています。
今回の補選で「つばさの党」は資金があっても支持者がいなければ選挙をやっても勝てないという教訓を残しました。つばさの党は「過激な選挙パフォーマンスを支持するという不透明な票田」があるという幻想に囚われていた。現実の票田とご当地有名人の須藤元気さんに大差で負けたのですから高いところからの意見、お説教は程々にして地道な支持者開拓をお勧めします。
しかしこのままでは硬い基盤を築けそうにありません。エンタメは地道な客層の開発から始まるのですが、いきなり街宣で集客を目論んだイメージがあります。
選挙カーは日本だけ
ところで残された課題の一つに選挙運動のあり方があります。公示日になれば選挙カーに乗って大音量で名前をかがなり立て、同じ色のジャンパーを着た運動員がチラシを配りまくり、受かったら突然事務所を閉めて有権者に知らん顔。会話の窓口すら作らない。
これでは有権者は投票意欲を維持できません。結果、組織票が多く集まる宗教団体、労働組合などの利権構造の声だけが政界に影響力を持つと言う少数派にとって極めて不利な社会が形成されます。
驚くかもしれませんが、選挙カーがあるのは日本だけです。名前を叫んで票を入れてもらう立候補者のやり方自体がおかしいのです。「つばさの党」から街宣で選挙を妨害されたと抗議する候補者は今までの街宣で市民の日常生活を妨害したかも知れないことを振り返ってみてください。アレはうるさいですよ。考え事を邪魔された時は選挙カーに石を投げたくなくなります。
投票率が悪いのは有権者だけの原因ではない
有権者にとって有利な政策を実現してくれる候補者は誰か、その人はどんな主張を持ち、どこまでこちらの声を聞いてもらえるのか、という期待を預ける事が出来ない選挙。これがずっと行われてきたのです。投票率が低下の一途を辿るのも致し方ないと思いませんか?
立憲民主党に大きな風が吹いた選挙でもありましたが、同時に今までの選挙のあり方、選挙活動の見直しを議論する必要性を痛感する15区補選でした。
(了)
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