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濾過を知り、アクアリウムをやり、おまえは神になる

よくきたな。おれはツツウラウラspギャクフンシャだ。おれは毎日ものすごい数のうおを描いているつもりだが、描いてない。元気がないから・・・・R.I.P・・・・。

おまえたちにもどりょくを求める

この記事は逆噴射聡一郎氏の偉業、その甘いしるをすするかたちで、おまえのアクア・メキシコ・リウムを後押ししたいというじゅんすいな気持ちの発露であり、また、ミスタ・逆噴射聡一郎へのリスペクトの表明でもある。もしおまえが不幸にも、まったくよび知識無しにこの屈折したなんかに出会ってしまったのなら、まずお得意のスマッホでグーグり、逆噴射聡一郎氏ほんにんのテキストに触れ、真の男のぶんしょう、そのエモーショナルとライブ感を体験するべきだ。また、この記事自体は先のエントリの続きであり、すでに読了している前提で話を進める。未読のくせにすじの通らない文句をつけてくる腰抜けには、ダニートレホのナイフがことごとく刺さってしぬ…………読んでから出直すほうがけんめいだ。いまおまえは、何時になったらおれが「先のエントリ」なる記事のリンクを貼るのかいぶかしみ、いらだちからスキもつけずに立ち去ろうとしただろう。おまえの行動はみえみえで、ここがアマゾン川なら無数のペイシェカショーロに全身をかみちぎられ、スネールにも突かれないみじめな骸を晒していたはずだ。自ら動きしゅしゃ選択しなければ、MEXICOのサボテンは容易くおまえをつらぬき糧とする……アクアリウムにおいても、それは変わらない。


くどい前置きはしけたドリトスより興ざめだ

そう、アクアリウム、その運営、そのかんじんかなめ、濾過の話をする。前回仮定上のおまえは30cmキューブ水槽で小型熱帯魚の混泳飼育と水草の鑑賞を志向した。この場合、生体数と水草の選定を工夫すれば、濾過装置は必ずしも必要ではない、と言っておく。濾過がかんじんと喧伝しておきながら、必要ないとはどういうことかと思うのも無理はないが、これは、濾過は濾過装置によって成立するものではなく、はじめに濾過というファイトスタイルがあり、それを強化、サポートするもの……ショットガン、こん棒、メリケンサック、ハチェット、クロスボウ、ヌンチャク……つまりウェポン、それこそが濾過装置であるためだ。おまえはアクアリウム・メキシコを跋扈するDESPERADOたちと渡り合うため、己のファイトスタイルに合致したウェポンの選定を迫られる。今回は話をできるだけシンプルに進めるため、さまざまに状況を限定している。ゆえに、あくまで選定時のマインドを習得するつもりで聞いていくといい。ただし、具体的な話はまだ先だ。濾過のしくみ、過程について、ふんいきだけでも掴んでもらう。真の男は、少々のお勉強でブラウザバックしない。


濾過とはなにか?

濾過がファイトスタイルであるなら、立ち向かう敵がいるはずだ。水槽内で発生する、生体に害のある物質がそれになる。生き物は排泄をするし、いつかしぬ。植物は調子を崩せば葉を落とすし、ときおりしぬ。それらはひっくるめて有機物であり、水槽の"汚れ"であると言える。それらが細菌等に消費されるとき、アンモニアが生じる。アンモニアはなんかふんいきでわかる通り猛毒で、これをなんとかするいとなみがアクアリウムで言う濾過、特に、バクテリアのはたらきでなんとかするものを生物濾過、イオン交換でなんとかするものを化学濾過、先のふたつが十全に機能するため、または見たかんじ綺麗にするため、最初の段階で有機物をひとところに集め濾し取るはたらきを物理濾過、と言う。これらは相互に関わり合い、すべてをつまびらかにしようと試みれば、ラビリンス器官よりも複雑な話になる。なるべくわかりやすくするため、今回は生物濾過に重点し、単に濾過と言うとき、それを指すこととする。

濾過は、どのように達成されるのか?まず、前述の通りさまざまなかたちで有機物があらわれる。それらは水中に生息する多種多様な従属栄養生物、つまり、生存に必要な炭素を、外部の有機物を喰らうことで調達する連中(おれもおまえも、そうだ)によって分解/排出され、アンモニアが発生する。これをなんとかするのが、アンモニアや二酸化炭素などの無機物からエネルギー、炭素を取り出す独立栄養生物……水槽の運営に無くてはならないバンデラスたちだ。第一のバンデラスは、アンモニア酸化細菌と呼ばれる。こいつらはアンモニアを酸化させる過程でエネルギーを取り出し、亜硝酸塩を発生させる。亜硝酸塩はアンモニアに比べればきもち安全だが、まだ毒性は強い。第二のバンデラス、亜硝酸酸化細菌が、同じようにして亜硝酸塩をアレし、硝酸塩を生じさせる。硝酸塩は生体にとって毒ではあるが、アンモニアに比べればはるかに安全で、ある程度の蓄積は許容される(もちろん生体の種類にもよる)。以上のアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩と分解されるいとなみを硝化といい、第一、第二のバンデラスはまとめて硝化菌硝化バクテリア、あるいは従属栄養細菌もひっくるめ単にバクテリアと呼ばれる。この硝酸塩をある種の細菌の力でさらに分解するはたらきも存在し、自然界ではふつうにおこなわれていることだが、水槽という限られた環境で安全かつ確実に構築することは難しく、定期的な水換えによって排出するのがふつうだ。ただ、水草やコケの生育に旺盛に利用され、(もしくは知らぬ間に硝酸塩の分解機構が達成され)蓄積すら見られない水槽になることもある……むろん、だからといって観察と管理をおこたり、ベイブとスマッホにおぼれれば・・・・R.I.P・・・・神たる自覚を忘れぬことだ。

硝化がスムーズに行われ、次々に発生するアンモニアを即座に弱毒化する仕組みが完成したとき、おまえの水槽は「立ち上がった」といえる。部分的ではあるが、自然の浄化サイクルを、ささやかな箱庭で再現したかたちだ。硝化菌は、なにもしなくとも空気中、人間の手、買ってきた水草などから水槽に入り込み、アンモニア、亜硝酸塩が発生すればそれを糧に増えていく。つまり、うまくいけば、最低限の管理でいつかは完成するものだ。では、なぜ濾過装置を使うのか?

おまえがバンデラスでないなら、丸腰で勝てる相手は多くない

濾過装置無しの水槽はどうしても硝化能力に限界がある。理由として、物理的に硝化菌が定着する面積が限られていること、硝化の過程で酸素を多く消費するため、適切な対流が無ければ効率よくソレできないことなどが挙げられる。濾過装置は、さまざまなアプローチから、さまざまなレベルでそれらを解決する。より安全に、あるいは、より多くの数/種類の生体飼育を可能にしてくれるものだ。おまえは初心者であり、そして濾過装置の取り付けに支障がないサイズの水槽を選択した。絶対に濾過装置を使用するべきだ。


ウェポンのカタログをひらく時間だ

濾過装置の大まかな種別をれっきょしよう。投げ込み式、外掛け式、上部式、底面式、外部式、オーバーフロー式、以上だ。それぞれがどのようなアプローチをもっておまえの濾過に銃  -GUN-  を授けるのかとかはしぬほど長くなるのでとりあえずかつあいするが、かねにイトメをつけなければ、どれを選択することもできるし、工夫次第でどれでも目的は達成可能だ。だが、すでにおれにはおおくの追手がせまっており、すみやかにおまえのためのテキストを完成させねばならない。仮定上のおまえの志向を追加する。おそらくは近年もっとも一般的で、それでいて長く奥深く楽しめる条件だ。底砂はソイルで、遠からずCO2添加も視野に入れており、しかし初期費用はなるべく抑えたい、とする。各方式の濾過能力と、おまえの志向との相性を比べてみよう。


方式     能力     ソイル     初期費用    CO2効率
投込   △〜○        ○              ◎            △〜◎
外掛   △〜○        ○              ◎                ○
上部       ○            ○              ○                △
底面    ○〜◎       △              ◎            △〜○
外部       ◎            ○              △                ◎
OF          ◎            ○               ×                 △

ひとつひとつの判定についていくらでも語る余地があるが、今回は省略する。とりあえず、またこういった機会があったときのために、仮定上のおまえの選定を決めておく。おまえは濾過能力とCO2添加効率の高さに惹かれ、この効用は初期費用のプラスアルファには代えられないと判断し、外部式を採用することにした。時がくれば、次のステップ、たとえば各種用品のあれこれや、生体、水草の選び方、日常管理などについて話すつもりだ。濾過についても、まだ広大な荒野に申し訳程度の看板を立てる程度の説明しかできていない。おれのなんかがまた高まるときを気長に待っていてくれたら幸いだ。

おまえがやりたいことをやり、おまえが信じるウェポンをつかえ

アクアリウム・メキシコに定まった道は無い。おれが高説のたまってきたこととまったく違う考え方で、すばらしく水槽を運営する真の男もまた、そんざいする。例えばソイルとの相性について、底面式が△なのは、ソイルが崩れた粉が、分解しきれなかった汚泥などとともに濾過器下部に降り積もりやすく、リセット(水槽内の著しい環境悪化やレイアウト変更等でいったん水槽のなかみを取り出して立ち上げなおすこと)のスパンを早めること、ソイルを使う≒水草を育てる関係上、張り巡らされる根が土壌の通水を悪い方向へ導く可能性があることなどが挙げられるが、逆に、ソイル自体がそもそも定期的なリセットを推奨されるものであり、植物の根は停滞しがちな底砂内を耕し良い環境を保ってくれる、という考えもある。緻密にバランスされた濾過装置レスの水槽や、頻繁な水換えのみで全てを解決するバンデラスも少なくない。そして、ある方式がどこか自分の志向とFitしないと理解しながらも、その他の効用の大きさのために採用し、アレな部分については他の方式を組み合わせたり、あたらしくDIYしたり、あれやこれや、戦略を練るのも大きな醍醐味だ。多種多量の工具や塩ビ管やアクリル素材をアマゾッンンーし、自室でひとりノコギリを振るうとき、おまえのたましいはTHIS IS AQUARIUM!!と歓喜に打ち震えているだろう。

とりあえず、濾過についてはここまでとする。最後まで読んでくれるとは思わなかった、ほんとうにありがとう。正直具体的なことはほとんど書ききれなかったので、なにか反応があれば、また、性懲りもなくやるかもしれない。おまえとおまえの愛すべき世界、愛すべき住人たちの安寧と繁栄を願っている。


さいごに

水槽内を、健康的に生物が生息できるまでのかたちに構築し遂げること、多くの飼育趣味のなかでも、アクアリウムに特有であり、最も魅力的な要素と言っていい。天地創造のごときしょぎょうであり、目論見どおり事が運んだときの感動、真のこうふんはひつぜつに尽くし難いものだ。おまえは神になれる。絶えず観察し、介入し、ときには介入せず、よりよい環境へ導く沈黙なき神だ。おまえが神の責務をまっとうするかぎり、アクアせいぶつたちは、ありのままの愛くるしさをもって、おまえを賛美するだろう。

魚類の福祉に役立てられます