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アクアがリウムされ、おまえは神になる

よくきたな。おれはゴールデンハニードワーフウラウラミーだ。おれは毎日ものすごい量のアクアショップ入荷じょうほうをチェックしているが、誰にも教えてやるつもりはない。人気かつ希少な生体の入荷……それは高度な心理戦の幕開けを意味する。いちはやくポチーリしなければライバルに先を越されきちょうなCHANCEをみすみす逃すはめになるが、長旅を経ていちじるしく消耗した生体を、ショップでようやっと回復するいとまもなくたらいまわし、数日後、どうして・・・・R.I.P・・・・ということも少なくない。ショップによってはしっかり調子を上げたうえで販売可能にしたり、それでなくても購入前に充分なインフォーメーショーオオンを提供してくれることもあるが、そのへんが確実にわからないところでは、うかつなショッピングは控えることだ。なんかわるいなんかを持ち帰り、他の生体ひいては水槽そのものの維持すらおびやかされることもある…………前置きが長い…………おまえのかんがえていることはみえみえで、正直申し訳ない、切り上げよう。


まず知らねばならないこと

この記事、そして「メキシコ・アクアリウム」と銘打ってまとめられた一連のそれは、敬愛する逆噴射聡一郎氏がいくたびも死線をのりこえ編み出した真の男のテキスト作法、そのイミテーションをもって、つまりパクって、おまえにアクアリウム・ハウツーをアレしたいじゅんすいなおせっかいごころ、そういったもの・・・・。ひとつも意味がわからないなら、最優先に逆噴射聡一郎氏のオリジン・メキシコにリーチし、ひとまずさかなのこととか忘れて楽しんでくるべきだ。そのまま忘れたままでもいいし、もどってきてもいい。とにかく、ミスタ・逆噴射聡一郎の威容、偉業を知ることこそ肝要・・・・ここからは、そのへんがぜんぶ織り込み済みでかつ、これまでのみっつの記事まで読了ずみのタフな真の男たちにむけて話をする。おまえ、おまえのことだ。感謝を・・・・。


完全に忘れていたが、ここに事前におまえが悩みに悩んで選定し購入しておいた水草の数々があり、植えます

前回までで、仮定上のおまえは外部濾過式30cmキューブ小型熱帯魚混泳水草水槽を志向し、流木を用いてクールなレイアウトを作成した。が、水草水槽である以上、素材を用いたハードスケイプと水草からなるソフトスケイプは不可分であり、実際には素材レイアウトの段階で水草の植栽イメージも同時に固めていくのがふつうだろう。時系列がめちゃくちゃでもうしわけないが、まずは水槽レイアウトにおける水草について、話させてもらう。

これから色んなことを言うが、調べたほうがはやくてたのしい

まず、お前の水槽はソイルで外部式濾過でゆくゆくはCO2添加も予定しており(これは、初心者のおまえにいきなりCO2機器設置を要求するのは酷だろうと考えての設定だが、別に最初から添加してもいい)、水草育成に相当有利な環境で、あとは良い照明があればほとんどの水草は育成できてしまう。これがなにを意味するのかというと、おすすめできる水草が多すぎて選出からして途方もなく、言ってしまえばおまえがなんか良さそうと思った草を買い、少しスマッホンで検索すればなんか、少なくとも70点くらいには、うまくいく・・・・なのでなんか、わざわざこんなとこで言うこともないよなみたいな気持ちがあり、よって水草については網羅的な解説というより、今回の水槽の場合はおれならこれをこうするという感じで決め打ちでやっていくことにした。水草の世界は広く深く興味深く、調べれば調べるほど意味不明になっていき最高なので、ぜひとも各々で水・メキシコ・草の世界に飛び込んでみてほしい。

近景から遠景、光と影

さて、仮定上のおまえの水槽、むかって右奥を起点とした三角構図(今そういうことにした)流木レイアウトに植栽していくわけだが、水草を植える場所と種類についてももち
ろんセオリーが存在する。愛すべきひねくれもののおまえは、ちょっとレイアウットのユーウーチュブーとかを見てぜんぶ分かった感じになり、その他大勢とはちがう自己を表現しようと奇をてらいまくった水草の選出、植え方をするかもしれない。まあ、それもいい……が、様々な経験や知識が不足した状態でそんなことをすれば、まったく予期せぬ場所に突然生えた毒サボテンに刺さってしんだり、バスルームを開けた刹那、潜伏していたダニートレホに襲われ、全裸のおまえは・・・・R.I.P・・・・になったりする。可能性の話であり、もちろんおまえが全くあたらしいネイチャーアクアリウムを作成維持していくこともありうる。が、今回はあくまで王道───何度も言っていることだが、よく整備されている───を志向したい。
まず、水槽の奥行について着目するべきだ。ざっくりと空間を3分割して考える。一般に、前景、中景、後景と呼ばれるものだ。集合写真を撮ったことはあるか?ひな壇や階段を利用して、または身長順に整列することで、全員の顔がよく見えるように工夫されていただろう。水草水槽も一種の、息づく集合写真であり、前景からだんだんと草の背が高くなるように植栽していくのがふつうだ。この基本を守れば、草の姿がとりあえず一目で飛び込んでくるので、多少おおらかな配置でも見栄えが良くなりやすい。これを念頭に置き、実際に水草を選出していこう。
前景に植える水草、つまり前景草については、選択肢としては最も少なく、また、設備が充実していることを加味しても、初心者の手に余る育成難種、または、後々特有の問題を起こすものが多い。そんな前景・メキシコ・草にあって、環境適応力の高さ、成長の速さ、管理面での癖のなさ、そしてかわいらいさ、総合的にバランスがよく、初心者のおまえにお勧めできるのが、グロッソスティグマだ。スプーン上の丸く肉厚の葉がオンリーワンにキュートな水草で、環境に問題があれば縦伸びする場合もあるが、今回のおまえの水槽ならおおむね問題なく緑の絨毯になってくれる。購入するなら組織培養カップというなんか給食の納豆パックみたいになって売っているやつをお勧めする。無菌、密閉環境で育成されるため、農薬、不快害虫類、雑菌などのリスクが無く、またほぼ水中葉ゆえに導入からの展開が早く、流通も安定している。今回は30㎝水槽なので1カップでもいいが、余裕があるなら2パック以上購入し、最初から敷き詰めてしまうのもいい。おそらく別の機会に話すことになるが、立ち上げ時の水草は多いに越したことはない。主に、藻類との闘い、これをできるだけ有利に運ぶためだ。どれだけ安定しているように見える水槽でも、水面下では(これはアクアリウムてきに機知に富んだ表現であり、気づかなかった者はならず者が仕込んだ毒ドリトスにも気づかず、しぬ・・・警戒を怠らぬことだ)絶妙なせめぎあいの上に成り立っており、熟練のアクアリストでも日々めをひからせ、対策を欠かさないもの・・・・かなりそうぜつなメキシコ・トピックスなのでここでは割愛するが、いつかは記事にするはずだ。
話がそれた、今回は組織培養カップをふたつぶん植えおおせたとする。次は中景草、といきたいところだが、少々特殊な立ち位置のため、先に後景から考えるほうがやりやすい。縦によく伸び、さかんに脇芽を出すような、密度の高い茂みを作りやすい種を選ぶのがふつうで、ここも総合的に見て定番種で固めていこうと思う。まず、色合いとしては明るい緑、オレンジ、赤をそれぞれ取り入れたい。また、種類も多めに、5,6種類ほどえらび、水草の個性を楽しんでもらうとともに、それ
ぞれ組織培養カップを一つずつ用いて、立ち上げ時の草の量も確保すると理想的だ。緑の草として、パールグラス、アンブリア。赤の草につなぐオレンジの草として、ルドヴィジアオバリス、ロタラロトンディフォリア。赤の草として、ロタラsp.h'ra(ハラとかハーラとか読まれる)とする。できるだけ草姿が特徴的かつ、難易度が高くないものを選んだ。セオリー通りにトリミングや差し戻しを繰り返せば、美しい茂みに育ってくれるはずだ。
最後に中景を考える。ある意味、ここは一番個性が出るところかもしれない。中景専用みたいな草もあるにはあるが、ふつう前景に、または後景に使われる草の成長速度や背丈を、なんらかの工夫によってコントロールし、中景草とすることもよくある。また、ニムファやでかいクリプトコリネなど、存在感の強い種を真ん中にドンと据えて主役とするレイアウト、それも、いい・・・・が、予想のとおり相応の気配りが必要になるため、今回は中景のやはり定番種を植えていく。中景として使いやすい水草はどれも個性豊かで特有の魅力があり、少し多めに列挙したい。ストロギネレペンス、アルテルナンテラレインキーミニ、オーストラリアンドワーフヒドロコティレ、ミリオフィラムガイアナドワーフ、ルドヴィジアスーパーレッド、ポゴステモンヘルフェリーなどだろうか、ここから2~3種ほど、それほど量は無くてもいいから、ワンポイント的に植栽するといい。今回はストロギネレペンスとアルテルナンテラレインキーミニを配置することとする。
いよいよ出来上がってきたが、あとひとつ、考えるべきポイントがある。水槽の中は、均一に光が当たっているわけではない。ライトから遠い場所、石や流木の影、またこれから伸びてくる草によってできる影・・・・ここまで紹介してきた水草は高い光量を必要とし、そんな場所に植えては調子を崩してしまう。ゆえに日影は不毛の地かと言えば、むしろ逆で、影でも生育できる、むしろそのほうが調子が良いタフなバンデラス・水草をぞんぶんに楽しめる貴重なスペースと言っていい。そういうバンデラスたちは陰性水草と呼ばれる。モス(苔)類、ミクロソリウムやボルビティスなどのシダ類、アヌビアスやブセファランドラなどのサトイモ科の一部が該当する。これらの多くが「活着」という性質も持ち合わせていて、流木や石に適切に括り付けるなどして固定しておけば、根または根みたいなものを伸ばし、自らしがみついてくれる。これはぜひとも軽率に実践してもらいたいもので、自然感や時間の経過を演出する効果はもちろん、生き物の特有の生態を再現、実感すること、そういった飼育趣味の本質と言っていい感動が、固定して待つだけで得られる・・・・みすみす逃す手はない。今回の水槽では、影になる部分の流木にアヌビアスナナプチ、ブセファランドラspキャサリン、ウォーターフェザーというモスを活着させ、日影の地面については、サトイモ科より、スキスマトグロティスプリエトイを配置した。

時を戻そう あと飛ばそう

と、ここまでの水草思い馳せ行為~植栽準備まで、レイアウト時点で完了していたということにして、そして今、植え終わった、とする。実際の植栽のやり方、コツについては、感覚的に理解するほうが早いので、なんかユーチュブーウーとかをソレしておくといい。(割愛しといてなんだが、知ってるのと知らないのではかなり違うコスパの高いじょうほうだ)

いよいよ、ついに、水を入れる。意外と忘れられがちなことだが、事前にカルキを抜いておく。そして注水は、せっかく作り上げたレイアウト、植えた水草、設置した器具などを水流でめちゃめちゃにしないよう、注ぐ場所にビニールや平たい皿をおいて、ベイブにそうするようにやさしく慎重に行うべきだ。ここで下手をうてば、これまでのなみだぐましい積み重ねがフイになり、ベイブにひっぱたかれ、ナイフが刺さってしに、プレコにも舐めてもらえないあわれな骸を晒すことになる。注水が終わったら、ヒーターの電源を入れ、説明書にしたがってろ過装置を稼働させる。水が動き出し、ソイルや水草が様々に作用し合い、空気中から入り込む微生物たちが躍動し、おまえのアクアリウムは、いよいよアクアでリウムし始める・・・・・。

はい

今すぐにもフィッシュ的な、シュリンプ的な、わかりやすくかわいいなんかを入れたくてたまらないところだが、前回までのどっかでたぶん言ったとおり、バクテリアによる浄化サイクルがある程度出来上がるまで、水槽の中はメキシコそのものだ。次回、回があるならば、いわゆる水槽の立ち上げというやつについて話そうと思う。なんか・・・・今回はいつにもまして大丈夫かこれみたいな仕上がりになったようなそんな手触りがしてならない、逆噴射なテキストとはなんなのか、もうほとんどただ偉そうなだけじゃないのか、なにもかも曖昧だが、ここまで読み切ったおまえは違いなく真の男だろう。次回も、今後も、今後・・・?も、タフに読みきってほしいとせつに願うものだ。今後・・・・?


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