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ダケカンバとシラカンバ

今はもう高校生になった三男が
まだ
小学生だった頃のおはなし。


日光へ
修学旅行に行った三男。

彼はだいたいいつも楽しそうなんだが
その日も
とても楽しそうに帰宅した。

そりゃそうだよね
修学旅行って
楽しいもんね!


帰宅一番
にこにこで

もーーーー
たいへんだったんだよーーー

と言う。


あ、
楽しそうだけど
たいへんだったのね。

なになに…
と聞いてみると。


ハイキングが
たいへんだったんだよー

とのこと。

お天気には恵まれたはずだが…?


どうやら
地元のガイドさんが
各グループについてくれて、
いろいろと案内をしてくれながらの
ハイキングだったらしい。

とても丁寧に
植物の話などをしてくれる
ご年配のガイドさんだったようなのだが…

もともと
ひとの話を聞いてられない三男であり、
しかも
自然やら植物やらに全く興味がないので、
ガイドさんとの相性が
非常に悪かったらしい。


ガイドさんは
ダケカンバ

シラカンバ
という木を教えてくれて、
ダケカンバシラカンバがあるたびに
立ち止まり、
ほらこれがダケカンバ
ほらこれはシラカンバ
と教えてくれたらしい。

ぜんぜんちがうでしょう??

とガイドさんが言うのだが、
三男には
さっぱり違いがわからなかったんだと。

それより…
そのとき…
三男は…

猛烈にトイレに行きたかったのだと!

早くトイレにたどり着きたい…
トイレ…
トイレ…
と思っているのに、
ガイドさんは
すこぶる丁寧に
すべての
ダケカンバシラカンバ
足を止め
ほらこれが…
とやるんだそうな。

知らん。
ダケカンバシラカンバも知らん。
違いが分からん。
興味もない。
とにかく
早くトイレへ…!

と思う三男の心なんか知らず、
親切なガイドさんは
最後まで丁寧に
ぜんぜんちがうでしょう〜
と言いながら
ダケカンバとシラカンバの解説を
続けてくれたんだそうな。

そうして。

ガイドさんは
こう
言い放ったのだと。


違った
これは
シラカンバ


えええええー!!!
ぜんぜん違うでしょ?って
ずっと
自分で言ってなかったっけー!!!

ツッコミ入れたかったけれど
トイレに行きたくて
ツッコミ入れられなかった三男。

どうやら
ツッコミも入れずに
精神統一していたおかげで
トイレには
間に合ったそうな…
という
たのしくも
たいへんだったおはなし。
めでたしめでたし。


母は…
いま…
時空を超えて
このガイドさんに
ひとこと伝えたい…

それは…

なんのはなしですか?


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