若手のいちばんの武器は「スピード」である
ひさしぶりのnoteは、春ということもあり若手へのメッセージを書いてみました。ちょっと説教臭くなったら申し訳ないんですが、参考になるところがあるとうれしいです。
経験やスキルに乏しい若手は、どこで勝負すべきなのか?
たまにパソコンを前にして考えこんでいる若手を見かけます。
「この資料をどうまとめればいいだろうか?」「この企画はもっと面白くならないだろうか?」とうんうん唸っている。
本人としては頑張っていると思うのですが、そもそも若手は経験やスキルが乏しいのでそんなに大したことは思いつきません。ちょっと冷たい言い方ですが、どれだけ考えたところでアウトプットはそこまで変わらないと思うのです。
若手は経験もスキルも少ない。それは仕方のないことです。
では、どこで勝負すればいいのか?
僕は、若手のいちばんの武器は「スピード」だと思っています。
スピードを早めるのに、経験やスキルの差はそこまで関係ありません。一発で面白い企画を出そうとすると経験やスキルが必要ですが「企画を10個、最速で出す」であれば若手にもできるはずなのです。
その資料は必要なのか?
僕がスピードの大切さに気づいたのは、前職のカカクコムにいたときです。
転職した当初はあらゆる仕事を丁寧にやろうとしていました。資料も毎回きちんと作ろうとしていた。
でも、あるとき先輩から「別に資料なんかいらないよ」と言われたんです。「私なんか、手書きのノートを上司に持っていってるけどね」と。
「ああ、それでいいのか」と思いました。
カカクコムでの仕事は新規事業を作ることでした。「toC」向けにこれまでにないようなサービスや体験を作る。
だから僕は、なるべく精度の高い仮説にしようと頑張って資料を作っていたのですが、(あたりまえですが)立派な資料を作ったからといって事業がうまくいくわけではありません。
若手のころというのは経験もスキルも乏しい。だからいくら考えたところで仮説の精度は上がらない。どんなに頑張って資料を作っても、市場にハマらなければ水の泡です。
ならば、雑でもいいからどんどん数を打って、それによってどんどん精度を上げていくほうが早いな、とそのとき気づいたのです。
アプリを2ヶ月で作った
究極にスピードを意識したことで、新規事業のアプリを2ヶ月で作ったこともあります。
当時の僕はアプリ開発について何も知りませんでした。0からエンジニアやデザイナーを採用し、最速で開発していきました。採用も含めてローンチまで2ヵ月というのは、業界の常識からするとかなり早かったと思います。
アプリ開発というと、要件定義に時間をかけるところも多いでしょう。平気で半年とか1年くらい時間をかける会社もあります。
だけど今は、変化の激しい世の中です。
すごく高い精度の戦略を立てることができても、前提が変わると意味がなくなってしまう。ならば、いろいろ考えるより、とりあえず作っちゃったほうがいい。そこから改善していったほうが早いと思うのです。
合言葉は「ぜんぶ今日やる」
アプリを作っていた当時、僕は「ぜんぶ今日やるぞ」と思っていました。
ぜんぶ今日やる。
たとえば、ある業者に仕事をお願いするとします。問い合わせると、たいてい相手は「詳しく聞かせてください。来週だったら、この日が空いています」などと言われます。
そんなときも僕は「あの、今日行っていいっすか?」と言っていました。
すると多少驚かれますが「ああ、18時以降なら30分だけ話せますよ」となったりする。それだけで1週間の差が出るわけです。
会いに行って「じゃあ来週、見積もり出しますね」と言われても「粗々でいいんでこのあと出してもらってもいいですか?」と聞く。すると案外、出してくれます。
仕事が早くなるかどうかは、この「これから行っていいですか?」「今日できますか?」のひとことを言えるかどうかだったりするのです。
採用も最速でやっていました。
普通は、今週中に募集要項を作って、エージェントに連絡して、1週間後にアポをとって……とやりがちです。そうではなく「今日募集を開始して、応募があったら、その場で電話して、今日会いに行く」というスピード感でやっていました。
本当に無理なときもありますが、たいていは「そっちまで行くので、今日どっか空いてませんか?」「5分でいいので電話していいですか?」と言うと今日できてしまうことも多くありました。
経験上「本当に無理ですか?」と聞いてみると「できるじゃん」ということのほうが多い。相手にもハナから「できないもの」という固定観念があるのでしょう。
ほとんどの仕事は今日できる。
今日できない仕事などほぼない、とすら思っています。
締め切りを確認したら、半分の期日で出す
繰り返しますが、若手のいちばんの武器は「スピード」です。
若いうちは特にスピードを意識しましょう。
上司のなかにはハッキリと締め切りを言わない人もいます。そういうときは、部下のほうから締め切りを確認することです。「これはいつまでにやればいいですか?」と聞く。
そして締め切りが決まったら、目安としてその半分の期日で出すんです。月曜日に「今週中で」と言われたら、水曜には出すイメージ。
指示されたその日に方向性の確認だけでもできれば最高です。「タタキだけ作ったんですけど、方向性合ってますか?」といって見てもらう。もちろんあまりにクオリティが低いとダメかもしれませんが、早すぎて怒るような上司はほぼいません。
早くアウトプットできれば、上司も次の指示を出しやすい。スケジュールに余裕ができるので、結果的にクオリティも上がっていきます。
「なる早」という曖昧な言葉
「なる早で」という言葉がありますが、それだとスピードを意識しているようであまり動きは変わりません。
そうではなく「ぜんぶ今日やろう」と思えばいいんです。
そうすれば全部やろうとするはずです。どうしてもできなかったときは「今日できたところ」までを報告すればいい。
指示がなくても、仕事を「先回り」できるようになると、もっと仕事が早くなります。「こういう指示が来そうだな」と予測して前もって動いておく。
レベルの高い人は「指示を出されてからでは遅い」とすら思っています。
うちの執行役員やマネージャーは「吉川はこういう感じで言ってくるだろうな」と予想して、先回りしてくれています。
失敗を恐れない
「スピードを優先したら失敗するんじゃないか?」と心配している若手もいます。
いや、どんどん失敗していいんです!
うちは、会社が一発で潰れてしまうような致命的な失敗でなければ「どんどん失敗しなよ」というスタンスです。
うちにも実際に30万円の損失を出してしまった新卒1年目の社員がいました。経営者の僕からすると大した金額ではありませんが、新卒1年目の社員からすると月収ほどの大きな金額。その社員は「自分のミスで大きなお金を失ってしまった……」と自分を責めていました。
ただ、マイベストでは失敗したことを責めるようなことは絶対にしません。そうではなく起きたことに対する原因追求を大切にしています。
ミスの原因を探り、対処すべきことを明らかにした結果、その社員は毎月安定した利益を出せるようになり、結果的に損失を取り戻すことができました。「新卒MVP賞」まで受賞し、今も新規事業の担当者として頑張ってくれています。
細かい確認は後からでいい
若いメンバーほど、何をするにしても細かいことをイチから確認したり、関係者への確認をとったりします。
僕は毎回「そんなの確認しなくていいよ」と言ってます。
若手なら「確認せずやっちゃいました!」くらいでいいと思っているんです。後から僕が「確認しとけよ!」と言うくらいでちょうどいい。
もちろん、法律や倫理に違反するようなことはダメです。だけどそれさえ守れば「ガンガンやっちゃえよ」とずっと思っています。
これもうちの話ですが、昔コンテンツ制作の体制をより拡大すべく「地方にも制作の拠点を作ってはどうか?」という話になったことがあります。「とりあえず一回やってみる?」とかなり軽いノリでスタートし、当時第二新卒の社員が1人で担当することになりました。
東京以外の土地に拠点を作るなんて初の試みです。
前例のない中、最初はオフィスすらない状態からのスタート。オフィスを借り、トータル10人ほど採用し、新卒採用まで始め、コンテンツ制作の基盤を作り上げてくれました。
……ただ、結果として「地方に拠点を作ってもあまり効率が良くない」ことがわかり、撤退することになりました。
オフィスすらない状態から、コンテンツ制作の基盤を作り上げ、撤退の判断をするまで、たった8ヶ月。一見失敗したかのように思えますが「現段階で地方に拠点を作ってもうまくいかない」という結果が得られたことが会社として大きな収穫となりました。
彼女こそ、まさに「確認せずやっちゃいました!」タイプの人間でした。
だからこそ失敗もたくさんありましたが「この方法で失敗したから、次はこれをやってみよう」とスピード感をもって取り組めたのです。
石橋を叩いて渡るくらいだったら「いきなり渡ったら橋が落ちました! 次はこっちの橋を渡ります」のほうがいい。会社が200人を超えてそこそこ大きな規模になってきた今でも、その思いは変わりません。
20代から人に任せることを覚えよう
究極的に仕事を早くするコツ。それは「人に任せる」ことです。
あたりまえですが、1人でできる仕事の量は1人分が限界です。どれだけ処理能力が高くても、スピード感は5倍から10倍ぐらいが限界。ならば、人の力を借りればいいのです。
うちの会社では「20代なんだから、人に任せず自分でやりなさい」とは言いません。「任せられる仕事はどんどん任せなよ」というスタンスです。
外部の業務委託の人やAIに任せたっていい。
10人の外部の業務委託の人に任せられれば、一人で10倍の力を出せるわけです。「仕事は自分でやらなければいけない」というルールなんてありません。誰かに任せられるのであれば、任せてしまいましょう。
(外部の業務委託の人への任せ方については、いろいろとノウハウが溜まっているので、あらためてどこかで書きます。)
「仕事してる感」に酔ってはいけない
最後にひとこと。
仕事のスピードが上がり、より多くの仕事がこなせるようになってくると、「仕事してる感」に酔い始める人がいますが、それは絶対にやめましょう。
いちばん偉いのは「頑張ってるやつ」ではありません。
「仕事を頑張っていること自体が成果である」と思い込んでいる人は今すぐ考えを改め、「成果を出すこと」にのみフォーカスすべきです。
評価されるのは「頑張らないで成果を出せる人」です。
頑張っていると自分の満足度は高くなりがちです。でも、頑張らないで成果を出せるほうがいい。なぜなら、頑張っていない分のリソースを、別のことに使えてさらに成果が出せるから。
「頑張ってるやつが偉い」という宗教に囚われている若手は多いかもしれませんが、満足感は成果を出すことで満たすべきです。
大切なのは「成果を出すこと」だけ。
「ぜんぶ今日やる」というマインドでスピードを極限まで上げて、どんどん失敗して、どんどん改善していく。そして、他人ができることはなるべく誰かに任せる。
それが若手が成果を出す、いちばんの近道です。
現在マイベストでは26卒サマーインターンの募集を開始しました。
3日間でITプロダクトの事業立案を取り組んでもらい、僕もフィードバッカーとして入る予定です。
スタートアップならではの「スピード」感で挑戦してみたい就活生の方はぜひ、エントリーしてみてください!
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