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星からの呼び声が…暁に輝く千の星

 月組公演「ブエノスアイレスの風」を観劇致しました。3回目の再演。演出は正塚晴彦先生。私はよく知っている気で観に行ったけど、恐らく観た事が無かった。笑笑。初演の矢代鴻さんの強烈なソロを伝え聞いたか、そこだけ観たか…そのインパクトが強すぎて観た気になっていたのだと思う。

 正塚先生という演出家は、生徒の特性を良く見て下さって、その生徒の個性を引き出す役やキャラ設定で脚本を書いて下さる。お稽古場でも先生自身が役者を目指していた事もあって、演技指導を細かくして下さる。生徒にとても人気があって、キムタク似(笑)だから先生がお稽古にいると、タカラジェンヌはちょっとウキウキする様な魅力のある先生なのです。
 今回の作品も、「なんかさ…」「ううん。何でもないよ。」みたいなポソポソと台詞を言い交わす事でまだ言葉にならない役の感情何かを表現するのは、観客の想像力を無限に広げてくれる、先生独特の世界観。


 これから、星組に組み替えが決まっているありちゃん主演の最後の作品。彼女が配属された時に、当時のプロデューサーから「何でも出来る子が入ってくるんですよ〜」と嬉しそうに報告を受け、皆んなで楽しみに待っていたあの日を思い出す。私が副組長となり初めての作品「Me End My GIRL」から月組にやって来て、ランベスウォークでいつもアドリブで違う芝居をしたり、舞台袖で地味にタップの練習をしている真面目な人だけれど、人前ではあまりそれを見せないから誤解される事もあった様な…ただ誰が見ても何をやっても笑顔のキラキラした紛れもないスターの子でした。あれから抜擢が続いて、与えられるものに自分の持っている力量が追いつかず悩んでる姿を沢山見たけれど、今スーツ姿でスラっと立つありちゃんを観ると、全て必要な事だったし、その試練を乗り越えたんだなと思える。
 月組生に囲まれて笑う、暁千星の姿を目に焼き付けて、星組に行ってしまう寂しさも感じながらもきっと何年かたったら、また「これで良かった」とこの人は思わせてくれる人間力を秘めているのだろうと思う。

 観終わった後、劇場を出る時に「ありちゃん立派になりましたね。」と何人にも声を掛けられて、押し寄せる人ごみの中で「ありがとうございます。これからも応援宜しくお願い致します。」と必死に答える(笑)成長を感じさせるという宝塚の最大のスターの資質持つ暁千星はまだまだこれから…

夜明け前に輝く暁の星は神秘に光る…

すーさん

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