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生成AIのせいでライターは激務になる

ああ、ついに来てしまった。
「翌朝までに3万文字書いてください。AIを使っていいので」という依頼が。

はじめましてのみなさん、こんにちは。ライター13年目のトイアンナと申します。もともと筆が速い方で、1時間で平均2,000文字書けました。それでも、1日1万文字も書くと疲弊しますし、会議に出る余裕はなくなります。

ライターにとって、この「時速何文字」というのはとても大事な概念です。なぜなら、固定ファンがいるエッセイストや小説家を除けば、1日2,000文字しか書けないような人は、食べていけないからです。

『化物語シリーズ』で知られる作家の西尾維新先生はとにかく筆が速く、1日に2万文字書かれています。業界でも「もはや怖い」「神というか化物」など畏怖を込めて執筆速度を称えられています。しかし、その先生でも1日2万文字なわけです。

生成AIの雄ことChatGPTが出たとき、私は直感しました。
「これ、西尾維新先生より書かされる日が来るな」と。


テクノロジーが進化しても、労働はなくならない

「ChatGPTがライターの仕事を奪う」
と、生成AIが登場したてのころは言われまくりました。焦るライターも多数いました。しかし、私は別方向に焦っていました。

これ、仕事増えすぎて死ぬんじゃね? と。

たとえ話をしましょう。

漫画「サザエさん」の波平さんは、パソコンどころか、ワープロがない時代に仕事をしています。そのため、すべての書類は手書きでした。計算はよくて計算機、悪ければ手動でした。

もっと遡れば、計算手という職業がありました。Computer(コンピュータ)は今やパソコンのイメージですが、もとの言葉は計算手をあらわす職業の言葉でした。19世紀にはハーバード大学天文台の計算手を女性が勤めたことで、女性の社会進出の先駆けとも言われました。

さて、計算機がうまれました。パソコンが生まれました。我々の仕事は減ったのでしょうか? 計算手だった女性は、労働生産性が上がった結果、労働から開放されてぬくぬくと平和に暮らせたのでしょうか。

男性優位社会で活躍するほど優秀な女性たちが、休ませてもらえるわけもなし。たとえば、当時計算手だったジーン・バーティクは、エンジニア、マネージャーとして活躍し、2011年に亡くなるまで仕事を続けました。

忙しい人は、死ぬまで忙しいのです。

ライターが依頼されている業務の本質は「執筆」ではない

ChatGPTは、確かにライティングの作業を奪うでしょう。ですが、ライターの仕事を奪ってはくれません。生成AIが執筆の生産性を劇的に高め、その結果として1日あたりに求められる納品物の量が増えるだけです。

なぜなら、依頼主がライターに依頼している業務は、決して「執筆そのもの」ではないからです。

依頼主がライターに依頼したいことの本質とは、

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