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馬場皐輔はタイガースの最終防波堤だった【12/8 試合なし】

去年と同じ午後5時。各メディアから現役ドラフトで指名された選手と移籍先がこぞって発表される。何の前触れもなく選手がひとりチームを去るこの瞬間には、当面慣れそうにない。
馬場皐輔が読売ジャイアンツに移籍した。

日本一を祝したパレードにも、後日行われたファンフェスタにも参加していた馬場が、来年は違うチームのユニフォームを着る。もうタイガースの選手ではなくなる。


困った。馬場がどんな活躍をしたか思い出したいのだが、「ここぞ」というシチュエーションが出てこない。プロ3年目の2020年に32試合、翌21年も44試合に登板したというのに。それくらい色んな場面で起用されていたのだ。ある試合でピンチの火消しを任されたと思ったら、またある日はビハインドでのロングリリーフとして起用されることもあった。かと思えば勝ち継投が不調に陥ったときは接戦時でも起用された。とにかく、場面を問わずそつなくこなしてくれる投手だ。

ここ数年は特に盤石だと言われるタイガースの投手陣だが、長いシーズンの中でどうしてもやりくりが難しくなる時期はがあった。
そんなときにブルペンにいたのは決まって馬場だった。チームの欠けたピースにすっぽりはまって穴埋めをしてくれる。ひょっとしたら馬場本人も1軍でどんな役割になるか読めないまま調整していたかもしれない。求められる場所にはまって一定のパフォーマンスを残す。それは地味かもしれないけれど、リリーフ誰もが馬場みたいにできる投手ばかりじゃない。だからこそ、馬場は重宝された。馬場みたいな投手がいたから、ほかのリリーフが配置転換をしたり、育成中の若手投手をむりやり1軍に上げたりせずに済んだ。

年間を通してセットアッパーの座を掴むに至らなかったのは、馬場がどこでもそつなくやってしまうが故にいろいろな場面を任せてしまったからなのかもしれない。
けれども、馬場は確かにチームのブルペンを守ってくれていた。

22年のシーズンになると馬場の出番は激減した。湯浅京己や浜地真澄といった若くて勢いのある投手が台頭し、ブルペンの安定度が増した。翌23年シーズンは加治屋蓮や石井大智、島本浩也らがブルペンを一層強固にした。リリーフがしんどくなる夏場以降には桐敷拓馬という救世主も現れた。投手陣の役割をきっちり固定できるくらい、タイガースのリリーフ陣は充実した。それはつまり、馬場のような投手に出番が回ってこなくなることを意味する。

馬場がいなくても、タイガースの投手陣はまわるようになった。
嬉しいことなんだろうけど、ちょっぴり寂しい。

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