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1つ先へ、次の塁へ【4/12 対ドラゴンズ戦▲】

プロ野球選手が走る姿が好きだ。野球はサッカーやバスケットボールと比べると、全力疾走する機会はさほど多くない。でも腕を懸命に振って足を前に出しているプレーを目の当たりにすると「あぁスポーツ見てるなあ!」って気分になる。

たとえ打線が爆発しなくても、1つの走塁がきっかけになって試合の展開がグッと変わることもある。例えば、1アウトの状況でヒットが出たとき、走者が2塁に留まるのかそれとも3塁まで進むのかでは大違いだ。
前者ならヒットを打たないと点は入らないが、後者なら内野ゴロや犠牲フライで点が入る。走塁はその後の打撃結果の価値を大きく引き上げる可能性を秘めている。

先発した青柳晃洋が、7回に2点目を失った。先発して2失点、全然悪いピッチングじゃない。だがバンテリンドームナゴヤでの試合に限れば、致命的な2点目になりかねない。このまま8回の攻撃が終わればR.マルティネスが出てきて万事休すだ。青柳はよく投げていたけれど、この1点で試合の主導権はドラゴンズに大きく傾いたように見えた。

1アウト走者無し。代打で出てきた糸原が11球粘って四球を選んだ。代打での集中力は、昨シーズンより凄みを増している。糸原の粘りに続く木浪聖也が応えた。この日チーム3本目のヒットをレフト前に放ち、1アウト1,2塁のチャンスを迎える。
続く代打のS.ノイジーはレフトフライだが飛距離は十分そう。レフトが捕球した瞬間に糸原がタッチアップで3塁を狙う。

いや、糸原だけじゃない。内野グラウンド全体を映した引きの映像に切り替わったとき、1塁にいる木浪も2塁に進んでいた。木浪は外野から内野にボールが戻されるときの隙を見逃さなかった。

結果、木浪の進塁がなければタイガースはこの回で2点を入れることはできなかった。2塁を陥れた木浪はその後代走の小幡竜平と交代。近本光司の内野ゴロの当たりで相手守備の連携が乱れる間に、糸原と小幡が続けてホームインした。(記録は近本の内野安打)

スピードに乗った小幡は速い。代走としてこれ以上無いプレーをしてくれた。でも、さすがの小幡でも1塁からではホームインできなかったはず。木浪の状況判断の良さと小幡のスピードが2点目をもたらし、青柳の負けを消した。

走塁は献身的なプレーだ。自身がホームインすれば「得点」という成績が記録されるが、正直ほとんど見向きされない。先の塁を狙って味方が迎え入れてくれるのを待つ。そして走塁が徹底されていれば、たとえ打線の状態が良くないときでも得点できるチャンスが作れる。木浪のプレーには「味方を信じて今やれることをやろう」というメッセージを感じた。

「チャンスであと1本が出ない」「なんか投打が噛み合わない」。こんな言葉で今の現状を嘆くことは簡単だけど、懸命に突破口を探そうとしている選手たちを、僕は応援していたい。

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