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僕は迷わずレフトスタンドで宮﨑敏郎の名前を叫んだ【5/10 対ベイスターズ戦◯】

外野席から見ている分には、本当に何が起きたのか分からなかった。僕が見ていたレフトスタンドからは、打球がどうしてあんなに高く弾んだのか分からなかった。最初は井上広大の打球が捕球される前にサードベースに当たったのかと思った。サードの宮﨑敏郎も最初は打球を追いかけていたから、まさか直撃しているなんと思いもしなかった。だが六甲おろしを歌っている途中で、僕も周りのファンも様子がおかしいことに気づく。

最初にトレーナーと担架が出てきた。次に首を固定するストレッチャーが出てきた。それでも足りないと判断されたのか、周りを広く囲むブルーシートが出てきた。ここでようやく、とんでもないことが起こってしまったのだと気づいた。
ブルーシートの外側を取り囲むように、ベイスターズの選手が集まっている。宮﨑の様子を心配して集まっていたのだろうけど、ブルーシートの中に視線が集まらないように皆で守っているようにも見えた。

僕たち野球ファンは時に無力だ。選手があんなに苦しんでいても、スタンドの向こう側からただ見守ることしかできない。
しばらくして、ライトスタンドのベイスターズファンから「がんばれ宮﨑」のコールが聞こえてきた。
いったい今さら何を頑張れというのか。いやそういうことじゃない。きっとこうすることでしか思いを伝えられないから。「無事でいてほしい」。「何もありませんように」。あの宮﨑コールには色んな感情が入り混じっていたのだろう。応援するチームは違えど、その気持ちは痛いほどに分かる。だって、僕らの大山悠輔や佐藤輝明が同じ目に遭ったと想像したら、胸が張り裂けそうになるから。

「がんばれがんばれ宮﨑 がんばれがんばれ宮﨑」

宮﨑の名前をコールすることに、迷いはなかった。レフトスタンドのタイガースファンも宮﨑の名前を叫んでいた。そこに敵も味方もない。

無事を祈っている。僕らにはそれしかできないから。

【あとがき】
試合の後、帰って脳しんとうのことを調べました。打球が頭部を直撃したことを報道で知ったからです。

https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/business/female_athlete/tabid/1822/Default.aspx

脳しんとうの症状が起きているとき、光や音などの刺激が負担になることがあるみたいです。
脳しんとうが起きているかどうかあの時は分からないのが前提になりますが、彼のことを考えたら本当は静かにして見守ったほうが良かったのかもしれません。
とにかく、大事にならない事を祈っています。

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