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ユーザーの本音が見える!自分で実際に行ってみて見えたユーザーインタビューのススメ

こんにちは。

現在、初心者向けの無料の金融教育サービスを作っています。サービスを進める中で、まず顧客開発が大事だと考え、ユーザーインタビューを行いました。
今回は、自らユーザーインタビューを行って気づいたことや大切だと感じたことを共有したいと思います。

ユーザーインタビューの意義

定量リサーチは客観的な事実を計測するのに優れていますが、人間の内面や思考にはなかなか当てはまりません。
例えば、

  • なぜサービスを利用したいと思ったのか

  • 新機能が利用されない理由

などは直接の対話が必要です。それに適したのが定性リサーチで、現代はオンラインツールでも効果的に行えます。

プロトタイピングの進捗とユーザーの声

プロトタイピングを進めていく中で、必要な機能や感じられる課題、また作成中のサービスの必要性を見極めることが重要です。この見極めには、定量リサーチだけでなく、定性リサーチも同時に行うべきです。

しかし、バズるサービスは時に一見無駄そうなものでもあり、市場視点だけでは面白いものは生まれないかもしれません。個人的には市場よりも好奇心に基づいてスタートできる方が良いんじゃないかと心の中で思っております笑

ぶっちゃけアンケートでは弱い

ユーザーインタビューじゃなくて、アンケートでもいいじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、アンケートでは弱いですね。
アンケートでは事前に準備した浅い質問しかできません。つまり、相手の回答から深堀することができないので、ユーザーの本当の声を引き出すことが難しいです。

それにもかかわらず、お金を払ってまでインターネットでアンケート募集をするとかはコスパがかなり悪いかなあと思います。

ユーザーインタビューの着地点

最後に、ユーザーインタビュー後の判断基準を事前に決めておくことが重要です。
例えば、5人にインタビューを行い、4人以上が価値を認めれば企画を続ける。それ以外は方向性の見直しや撤退を考えるといった具体的な基準を定めましょう。これにより、意思決定時にバイアスがかからず客観的な評価が可能です。

デザインプロセスでの隠れたバイアスと搾取に気をつけよう

例えば、デザインプロセスの中で無意識に誰かを排除していないでしょうか。
通常のデザインプロセスでは、特定の属性を持つ人々を対象にし、リサーチを進めます。

ただし、「家から出られる人」や「日本語を流暢に話せる人」といった、特定の属性に偏った選択になっていないか、無意識に気をつける必要があります(複数の属性にわたるインタビューが必要ではなく、選ばなかった属性も理解することが大切です)。

インタビューをした人に、報酬(お金)を支払うべきか?

基本的に支払う必要はないと思います。

これは相手を利用したり、相手の時間を安く見積もっているからではありません。
インタビューをすることによって相手にメリットを与えているからです。相手の痛みを引き起こしている課題に親身になって耳を傾け、その課題を解決しようと協力しているわけですから、それ自体一つの対価にもなっていると考えることができます。
また、金銭的報酬がなければ、20分間インタビューには応じないという相手は、半年後にあなたの製品やサービスを購入する顧客ではないです。

とはいえ、搾取するような態度は絶対にやめましょう。

何人にインタビューすべきか

余裕があるならば、聞けるだけ聞くのも発見があるかもしれません。
ただ、基準は設けたいですね。

5人でテストを行えば、ユーザビリティ上の問題のうち85%を発見できる

ヤコブ・ニールセン博士

ユーザビリティ業界の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士が研究で発表しています。

この論文が書かれたのは1993年ですので、その頃にはすでにユーザビリティ評価手法に関する研究が行われていたということです。だいたい頭のいい人がやってすでに共有してくれてますので、歴史を知ることは大事ですね。

ただ、1993年と2019年で同じ条件が当てはまるかと言う指摘もあるでしょう。
現代は、スマホでのデザインフレームワークが進化と普及してきました。つまり、特定のアプリケーションの操作に慣れていれば、他のアプリケーションを操作する際に戸惑うことも少ないはずです。
その視点を持ってインタビューすることも忘れないようにすべきですね。

もう一つ注意したいのは、この論文では「ユーザテストは5人で実施するべきだ」とは言ってないという点です。
「5人でテストすれば85%」を示しているのが本論文になります。

そのためにも、一つの論考であるという認識を忘れないようにしましょう。

どのようにインタビューを行うのか

顧客のオフィスや自宅を訪問するのは一番いいですが、現代はオンライン通話が普及しましたので、そちらで問題ないでしょう。

インタビューは30分で収めるように意識しましょう。雑談が盛り上がる分にはいいですが、時間は決めておいたほうが、相手にも都合がつきやすいです。

ビデオチャットの設定確認に5分も費やしてしまうと、対象者はやる気を損ねてしまう可能性があるので、事前に準備しておきましょう。

また、インタビューは間隔をあけ、準備時間を作りましょう。インタビュー直後にメモを読み返して、もっとも重要なポイントをまとめる時間も必要です。

そのほか気をつける点としては、

  • インタビューを数分間、遅れて開始することになった場合でも、30分間のインタビュー時間を確保できるようにする

  • 会話が長引いた場合、45分まで延長できるようにする

  • インタビュー直後にノートを見直し、もっとも重要なポイントがなにかをまとめる

などです。

インタビューする人を探して連絡する

あなたが想定する課題について、もっとも深刻に悩んでいる人を見つけましょう。その人たちはその課題を解決することを熱望し、さらにはエバンジェリストユーザーになる可能性のある人々です。慎重に選出すべきです。
もし周りにそういう人が全くいないという場合は、課題設定が間違っていることも再度確認しましょう。

自分の周りにいなければ、知り合いに人を紹介してもらうのも手です。その際、当てはまる相手をなぜ求めているのか、理由をはっきりと説明しましょう。相手に失礼です。

また、相手は「誰かの役に立ちたい」「他者から賢いと思われたい」「物事を解決したい」という理由で、あなたに話をしたがっているはずですので、誠意を持って課題解決のために話を聞くべきです。

もしターゲット顧客がオフラインで集まっている場所があるならば、絶対直接に行くべきです。そこで彼らがなにをしているのかを目で見ることもできますし、そのままコンタクトが取れます。

オンラインで行う場合は、メールやメッセージを送りましょう。

連絡をして数日はそのままなにもせず相手の反応を待ってみることをお勧めします。
法人が顧客の場合は、一週間は待つ。それでも反応がなければ、「ぜひ、インタビューをお願いしたいと思っております。今週、都合の良い日時があればお知らせください」などの文面を添えて、依頼メールを再送信しましょう。全体の2割前後の返信は見込めるかと思います。それ以上フォローアップの連絡をするのはしつこいのでやめた方がいいですね。

我々はユーザーインタビューでなにを学習すべきか

顧客がなにを求めているかを明らかにするのは難しい。なぜならあなた自身でそれを解明する必要があるからだ。

ポールグラハム

ユーザーインタビューで一番よくある間違い的なことは、ターゲット顧客に「どんな機能が欲しいですか?」「どんなサービスがほしいですか?」と聞いてしまうことです。
基本的に顧客は自分が欲しいものをわかっていませんので、有用な回答はあまり得られないです。もし回答が出てきて「よし!それを作ればいいのか!」と頑張って作っても、実際には顧客は全く使わなかった、なんて話はよくあるでしょう。
そもそも顧客が必要としているものを見極めるのは我々の仕事ですから。

以下に顧客開発の基本的な質問を共有します。

顧客開発の基本的な質問

  • 現在は〇〇をどのような方法で行なっていますか?

  • 〇〇を行うときに、どのような「ツール、製品、アプリ、裏技」を使っていますか?

  • できるかどうかは気にせず、もしなんでも可能な魔法を手に入れたとしたら、なにをしますか?

  • 前回〇〇を行ったとき、その直前にはなにをしていましたか?終了後にはなにをしましたか?

  • 〇〇について、他に私が尋ねるべきものはなにかありますか?

  • それを具体的にやった手順を教えてください

  • それは誰かに影響をされて始めたのですか?

  • 前回〇〇をしたとき、どのくらい時間がかかりましたか?

  • 〇〇を最近買ったとき、どこで書いましたか?

  • なぜその製品をそこで買ったのですか?

顧客の願望ではなく、顧客の現在の事実や行動をよく観察するのです。

顧客がなにを求めているかについて探すのは、顧客の仕事ではない。あなたの仕事だ

スティーブ・ジョブス
  • 顧客は、自分がなにを欲しがっているのかがわからない。顧客が欲しがっているものと、実際に必要としているものは、はっきりと違う。

  • 顧客の今日の行動はどのようなものか?

  • 顧客の行動や選択肢に影響を与える制約

  • 顧客のフラストレーションまたはモチベーションを高めるもの

  • 顧客はどのように意思決定し、お金を使い、製品に価値を見出しているのか

顧客が「現在なにをしているのか」を明らかにすることは、あなたが解決しようとしている課題を理解するための核心になります。

つまり、結果ではなく手順に注目する、将来ではなく現在に注目するということです。

課題が課題として認識されていないことがあるので、どのような制約が顧客を押しとどめているかを注目しましょう。

ユーザーインタビューのコツ

ということで、前置きが長くなりましたが、実際にユーザーインタビューを行っていく中でのコツを紹介いたします。

ラポールの構築

ユーザーインタビューにおいて最も重要なのは、対象者との心地よいコミュニケーション、つまりラポールを築くことです。

ラポールとは、お互いに信頼を寄せ、遠慮なく素直な気持ちを打ち明けられる関係のこと。この信頼関係がなければ、どれだけ話しても深い理解を得るのは難しいでしょう。そのためにも、最低でも最初の3分間はラポール作りに充てることが大切です。

相手に共感して緊張をほぐす

インタビューでは対象者も私も緊張しています。
お互いが緊張しすぎないようにするには、最初に自分がリラックスすることが大切です。
「みんな緊張しますよね?私も毎回、緊張してしまうんです(笑)」と、自分も緊張していることを伝えてみましょう。そうすると、お互いの緊張感がほんの少しだけ和らぐ気がします。

自由な発言を奨励する

対象者は正確な回答を心がけがちです。これにより発言が控えめになったり、模範的な回答を求めてしまったりします。そのため、事前に「回答に正解はないので、思うままに答えてください」と伝えておくことが大切です。

また、初めてのインタビューで「自分の意見が十分なのか不安」と発言が抑えられることがあります。そのような不安を解消するために、「あなたの考えや行動が、私たちにとって非常に価値のあるものなんです」と説明すると良いでしょう。

笑わせてリラックスさせる

対象者に笑顔をもたらすことは、「ラポール成立」の一つの重要な指標です。対象者が笑顔でいるなら、それでOKと考えています。

自然な会話の中で冗談や小話を交え、軽い雰囲気を作ることが大切です。

柔軟にアプローチする

仮説検証のためにインタビューを行うことは一般的ですが、それに執着しすぎると確証バイアス(自分が気になることに焦点を当ててしまう傾向など)が発生しやすく、注意が必要です。

インタビュー中は分析や仮説の検証にこだわりすぎず、事前に作成したフローに従って質問を進め、しっかりと深堀りすることに集中しましょう。

分析作業は全てのインタビューが終了した後に行うようにし、柔軟でオープンなアプローチを心がけましょう。

スムーズな対話を心がけよう

対象者が一方的に話し続けたり、話が逸れることはよくあります。

もし対象者が話しているトピックに十分に追従している場合は、遠慮せずに次の話題に進んでみましょう。その際、上手に「少しどうですか、話を変えてみましょうか?」と前置きすることが効果的です。

もしまだ十分にトピックに追従できていない場合は、質問内容をもう一度伝えながら話を聞き返しましょう。「もしかしたら私の質問が分かりにくかったかもしれませんが〜」と伝えることで、相手が気を使わずに話を続けやすくなります。

誘導せず、自然な会話で感想を引き出そう

「使いにくいところはありませんでしたか?」「どういうところに『新しさ』を感じますか?」のような誘導的な言葉を使わず、「印象はいかがでしたか?」のように、フラットで自然な言葉で感想を引き出しましょう。

例えば、「使いにくいところは?」と質問してしまうと、相手は「使いにくいところを知りたいんだな」と感じ、無理に使いにくいところを見つけようとしてしまう可能性があります。その結果、本当はそこまで気にしていない点にまで否定的な意見を言ってしまうことも考えられます。

「なぜ?」を繰り返して深く追求する

ここが一番大切なことかと思います。

「なぜ?」を繰り返して深掘りすることを意識しましょう。ただし、「なぜ?」を連発すると相手が嫌がることもあるので、相槌などを交えながら、過度なプレッシャーをかけすぎないように注意が必要です。

また、即答を急がないように心掛けましょう。相手が日常の行動の裏にある理由や気持ちをスムーズに答えることは難しいことがあります。「難しいと思いますが、どうしてだと思いますか?」や「一緒に理由を考えてみましょう」といったフォローアップや協力を提案することが大切です。

さらに、文脈や状況を変えて質問してみましょう。「いつも同じ理由ですか?」や「一人でいる時と、他の人と一緒の時とでは違いますか?」など、異なる視点から質問することで、新たな洞察を得ることができます。

対象者に弟子入りしよう

先に述べた通り、対象者がうまく話すことは必ずしも保証されていません。

そこで、対象者を自分の師匠と見立て、彼らの行動や発言をじっくり観察し、先入観を捨てて新しい気づきを見つけましょう。その中で、一つ一つの行動に秘められた背景について理解を深めていくことが大切です。

「教えてください!」という姿勢でインタビューすることで、相手の本音を引き出すことができます。

対象者はウソをついてしまうこともあることに気を付ける

対象者は時折、世間体や理想像を気にしてしまい、ついついウソをついてしまったり、曖昧な回答をしてしまうことがあります。

こうした状況を避けるために、以下のアプローチが効果的です。

  1. 本人の意見を重視する 他人の期待や意見に流されず、本人の素直な意見を引き出しましょう。「〇〇な人だったら気に入ると思います」といった他者中心の表現には注意し、「あなただったらどう思いますか?」といった具体的な質問で本人の意見を尊重しましょう。

  2. 掘り下げ質問を活用する 「良いと思います。使ってみたいですね〜」などの一般的な回答に対しては、もう一歩踏み込んで質問しましょう。「お金を払ってでも利用してみたいですか?」など、掘り下げることで本音を引き出すことができます。

まずは自分でやってみましょう

まずは自分で手を動かしてみましょう。

私は6人のユーザーに対して、こんな感じでユーザーインタビューを行いました。もちろん、まだ抜けている部分もあるかもしれませんが、知識を集めるだけではわからないことやうまくいかないことがあります。特に、インタビューは難しいと感じることもあるでしょう。

しかし、一歩ずつ進めていく中で気づきがあったり、一人分の経験を積んでいくことが大切です。自らの経験から学び、次に活かしていくことで、スキルアップにもつながります。まずは実践してみることが、理解を深める手助けになるでしょう。

終わりまーす。

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