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#1691 二年生の国語科授業づくり【国語科】

新年度からは、教師人生初の「二年生」を担任することになった。

そこで、土居正博氏の『2年生担任のための国語科指導法』を読んでみた。

今回は、この書籍からの学びをまとめていく。

前提

・2年生は、6年間の中で一番「国語」の授業時数が多い。ほぼ毎日、2時間の国語授業をすることになる。
→教師の国語科指導力が試される。

・国語の授業を通して育てる力
➀言葉の力:4技能
→他教科でも生きる
②積極性や他者を尊重する態度など
→学級経営にも生きる

・国語科の指導事項は2学年まとめて示され、「スパイラル」に進めていく必要がある。同じ指導を繰り返しつつ、「質」も高めていく。
→子どもの実態に合わせて、学習活動のレベルを調節する。
※「理由」「意義」についても指導する。

・子どもたちの集中力を切らさないため、学習活動を区切ったり、使い分けたりする。
(1)スキル中心
 【例1】
 ①漢字ドリル音読 ②漢字ドリル ③箇条書キング
 ④つっかえたらダメ音読 ⑤教科書教材の学習
 【例2】
 ①1分間高速読み ②漢字サバイバル ③言葉ネット
 ④「てにをは」聞き取りテスト ⑤教科書教材の学習
(2)教科書教材中心
 ①帯活動1つ ②教科書教材の学習

話すこと・聞くこと

・「よい聞き手を育てる」→「話す力を鍛える」の順で指導する。

・聞くことの指導のポイント
➀実質的な聞く力を育てる
②聞いたことを実態に言わせる
※態度面の指導に偏りすぎない

・聞く力を鍛える活動
➀教師が言った指示の内容を想起させる
②友達の話の内容を再生させる
③集会や行事の話の内容を想起させる
④話を聞き取り、自分の考えをもたせる(賛成?反対?)
⑤ロールプレイで態度面の指導もする

・話すことの指導のポイント
➀スピーディーに話す
②分かりやすく話す

・話す力を鍛える活動
➀返事指導で人前で声を出させる(一点突破で徹底する)
②返事+一言を言わせる
③「周りを見ずに挙手+言い切る」指導
④「はじめに結論+短く言う+真ん中を見る」指導
⑤「みんなからのお知らせ」で簡潔に話させる
⑥根拠と理由を話させる

・話し合い指導のポイント
➀積極性
②他者の意見に反応する力

・意見を積極的に言える子を育てる活動
➀音読立候補
②目標表明

・反応する力を育てる活動
➀質問を出させる
②「これは違うな」と思うものを出させる
③質問や意見を自由に言わせる(言いたい子どもが立つ)
④目を見て話すペア対話
⑤よい対話をしているグループをモデルに全体で学ぶ

書くこと

・「量」→「質」の順で鍛えていく。

・書きたいという「意欲」を最重要視する。

・「箇条書キング」で書く「量」を増やしていく
➀お題を出す
②「見て分かること」を書かせる
③「考えたこと」を書いていたら、2ポイント

・「日記指導」で「質」を高める
(1)書きたいことを見つける力(取材力)
→友達のよいモデルを参考にさせる
(2)焦点を絞って書く力
 ➀題名がつけられる日記にする
 ②1つのことを詳しく書く
(3)自分なりに考えたことを書く力
 ①そのとき思ったこと
 ②書いていて思ったこと
 ③疑問に思ったこと

・日記紹介
➀日記を返却する
②「読んで」と書いてあった子に音読してもらう
③よかったところを全体に尋ねる
④補足説明をする
※拒否権も認める

・日記指導のシステム
➀週末に書かせ、月曜日に提出させる
②罫線が多いものと少ないものを用意し、選択させる
③火~木曜日で読み、コメントを書き、「読んで」を選ぶ
④金曜日に日記紹介をする
⑤賞罰は設けない

・他の場面でも書く力を鍛える
➀生活科の観察カード
②図工の作品カード
③読んだ本の紹介カード
④市販テストの自由記述欄(罫線を増やしてもOK)
⑤各教科の振り返りシート

読むこと

・「音読指導」と「叙述をもとにすること」を重視する。

・音読は「読解力」「国語科学力」「全体的な学力」と相関がある。

・低年齢の子どもほど、黙読よりも音読の方が理解を促進する傾向にある。

・音読の三原則
➀ハキハキ:一音一音を明瞭に読む
②スラスラ:つっかえずに流暢に読む
③正しく:ひらがな、漢字、区切り、高低を正しく読む

・音読指導のポイント
➀具体化:教師が見本を示す、子どもを個別評価する
②共有化:学級のスタンダードが共有され、当たり前になる

・音読個別評価
➀テストの基準を知らせる(三原則を踏まえる)
②一人ひとりの子どもに、複数の文を読ませる
③即時評価し、理由を伝える

・音読個別指導
➀一対一になる
②その子のレベルに応じて課題を出す
③長々とやらず、励ます

・音読レパートリー
➀追い読み
②〇読み(グループごとでも可)
③どこまで聞こえるか読み
④題名・作者読み→高・低読み
⑤つっかえたらダメ音読(三原則、理由を伝える)
⑥1分間高速読み

・文学的文章の指導ポイント
→叙述をもとに「論理的に」読む。

・『ふきのとう』の指導
➀全文を読み、感想交流
②音読練習
③「物語の設定」を確認する
 →「桃太郎」の活用、根拠と理由の重視
④「何がどうなったお話か」を読み取る
⑤音読発表会で「音読するところ」「どう読むか」「理由」を考える
⑥⑤の内容交流と練習
⑦音読発表会をする
⑧学習を振り返る

・『スイミー』の指導
➀全文を読み、あらすじ交流
②物語の設定を確認する、音読練習
③スイミーの人物像を読み取る
④まぐろが来た日のスイミーの気持ちを考える
⑤大きな魚を追い出した日のスイミーの気持ちを考える
⑥すばらしいものに出会った日のスイミーの気持ちを考える
 →「プラスの要素を想像する」という絞り込み
⑦「この後どうなるか」を想像し、話し合う
⑧『スイミー』を紹介する文章を書く
⑨⑧を読み合い、感想交流
 ※④⑤⑥では「絵日記」を書く(題名をつける)

・『お手紙』の指導
➀全文を読み、あらすじ交流
②物語の設定を確認する
③感想と疑問を出し合う
 →問いを絞り込む
④音読練習
⑤場面に着目して話の内容を確かめる
 →場面に題名をつける
⑥はじめと終わりで「二人」の心情を想像する
 →「吹き出しを書く」or「〇〇の気持ちを考える」
 ※根拠を明確にする
⑦⑧⑨みんなの問いについて話し合う
 ※「なぜ手紙を出したことを言った?」「それでよかったのか?」
  「かたつむりくんでよかった?」「もしも鳥だったら?」
  「どちらが主人公?」「どちらも主人公?」
⑩「お返事の手紙」or「面白いところの紹介」を書く
⑪⑩を読み合い、感想交流

・『わたしはおねえさん」の指導
➀全文を読み、あらすじ交流
②物語の設定を確認する
③感想と疑問を出し合う(絞り込み)
④音読練習
⑤すみれちゃんの人物像を読み取る
⑥⑦みんなの問いについて話し合う
⑧一番心に残ったところを選ぶ
⑨文章と自分の体験を結び付けて感想を書く
 →個人の経験を引き出す、「自分と似ていないこと」でもOK
⑩⑨を読み合い、感想交流

・説明的文章の指導ポイント
→叙述をもとに「感情的に」読む。
➀多様な考えが出てくる発問
②自分の考えをもちながらの評価的な読み
※「あなたは~?」、教師がわざと間違う

・『たんぽぽのちえ』の指導
➀1年生教材で説明文の既習を復習する
 →「事例の順序」が重要である
②題名読み、全文を読む、感想交流
③音読練習
 →説明文こそ音読指導に力を入れる
④⑤「ちえ」がいくつあるか話し合う
⑥いつ、どんなちえを働かせているかをまとめる
⑦「ちえ」と「わけ」についてまとめる
⑧「書かれている順序」について、1年生教材と比べて考える
 →「時間の順序」をおさえる、根拠を明確にする
⑨一番すごいと思ったちえと理由を書く
⑩⑨を読み合い、感想交流

・『どうぶつ園のじゅうい』の指導
➀題名読み、全文を読む、感想交流
②音読練習
③「書かれている順序」について、他教材と比べて考える
④⑤筆者がいつ、どんな仕事をしたかをまとめる
 →間違いを出し、指摘させる(感情的になる)
⑥「お風呂に入るのは仕事なのか」を考える
⑦例は何種類か考える、毎日の仕事とそうでない仕事を比べる
⑧一番驚いた仕事を話し合う
⑨読んで学んだことをまとめる文章を書く
 →「内容的なこと」「書き方のこと」どちらでもOK
⑩⑨を読み合い、感想交流

・『馬のおもちゃのつくり方』の指導
➀題名読み、全文を読む、感想交流、見通しをもつ
 →感想を「内容」と「書き方」に分けて板書する
 →自分のおもちゃの説明文を書くことを提案する
②音読練習
③④⑤説明の工夫を見つける
 →「それがないとどうなるか?」を考える
 →「自分が使いたい工夫ランキング」を選ぶ
⑥自分が使ってみたい工夫を交流する
⑦⑧自分のおもちゃを説明する「構成メモ」をつくる
 →横軸:はじめ、材料と道具、作り方、楽しみ方
  縦軸:何を書くか、どんな工夫をするか、図や絵
 ※スモールステップでチェックする
⑨⑩自分のおもちゃの説明文を書く
 →図や絵もかく、「説明文の説明(どんな工夫をしたか)」を書く
⑪説明文を読み合い、感想交流

・『おにごっこ」の指導
➀題名読み、全文を読む、感想交流
②音読練習
③「問いの文」に着目し、内容の大体を読む
 →「どんなことについて書かれた説明文ですか?」
 →「問いの文」の意義を確認する
④⑤「問いの答え」を見つけ、説明内容を確かめる
⑥「手つなぎおには4つ目の例と言えるか」考える
⑦さらに面白くするきまりを考え、提案する
 →「おにも逃げる人も楽しめるように」という絞り込み
 →実際に外で遊ぶ
⑧読んで学んだことをまとめる文章を書く
 →「内容的なこと」「書き方のこと」どちらでもOK
⑨⑧を読み合い、感想交流

・読書習慣をつける
➀読書を宿題にする
②読書の記録をつけさせ、教師が把握する(連絡帳など)
③感想文を書かせる
④朝の時間で「本紹介」をする
※よい聞き方をしているグループをモデルに全体で学ぶ

漢字・言葉の指導

・漢字ドリル音読
➀ストップウォッチスタート
②新出漢字の「読み部分」を一冊分読む
③読み終わったら「はい」と手を挙げ、タイムを確認する
④記録表にタイムを記入する
⑤全員が終わるまで音読を続ける

・漢字ドリルの進め方
➀音読(読み、文例、熟語)
②指なぞり
③書き順練習指なぞり
④空書き
⑤1ミリもはみ出さずに鉛筆なぞり
⑥鉛筆書き
⑦先生チェック
※②③④は書き順を声に出す

・漢字サバイバル
➀教師が漢字を出題する
②子どもは立って、声に出しながら空書きする
③書けなかったら座る
④最後まで立ち続けた人が優勝

・漢字小テストやワークテストで「他用例書き込み」
→家庭学習で他用例を書く子どもが増える。

・言葉ネット
➀お題に対する「類義語」「対義語」を書かせる
②類義語は「線」で、対義語は「双方向矢印」で
③クラス全体で共有する

・主語・述語に分解せよ
➀説明文の中の一文をみんなで音読する
②音読した文の主語と述語に線を引く
③答え合わせ
④次の文を音読する、以下繰り返し

・ひらがな徹底比較
➀本気のひらがなを書く
②手本を見ながら、自分の字に「ダメ出し」を赤字で書かせる
③練習して、再度ひらがなを書く
※長短を意識させる

・てにをは聞き取りテスト
➀ややこしい文を読み聞かせる
②子どもはノートに聞き取った文を書く
③答え合わせ


以上が、書籍からの学びである。

新年度からの国語の授業づくりに生かしていきたい。

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