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認知症の母:遠隔介護 夜の服薬確認は難題。試しにカメラを導入。カメラは家族の不安を取り除く効果もあった。

2022年、介護保険利用がスタートした最初から、一番の問題は「服薬」だった。
というのも2021年10月に、
「忘れちゃうから、薬を2月から飲んでないけど、全然平気よ」
と、平然と本人が話したからだ。

本当に飲んでないのかととても心配になった直後に、固定電話が普通になり、お金のことがわからなくなり、介護保険申請していたことがわかりと、立て続けにいろんなことが起きた。

1月からケアマネさんと契約して、服薬を助けてもらう方法がないかと早速相談したがそれが案外簡単ではなかった。

服薬を「直接助ける」ことは、看護婦さんなどの資格のある人にしか頼めない。
毎日、朝晩に来てもらうとなると、それだけで介護保険の点数が不足すると言われた。
服薬の「支援」であればヘルパーさんでもできるが、それもやはり毎日朝晩は点数もだが、そもそも引き受けてくれる会社は無いという。人が足りないから。地域的な問題もあるかもしれないが、服薬だけの支援は無理だと判断。
・掃除など身の回りの変化を見てもらうための生活支援
・運動とコミュニケーションのためにデイサービス
を優先することにした。

賢そうなロボットとかちょっとしたアイデアグッズなどでなんとかならないかと思ったが、借りるのも買うのも高いし、そもそも母が操作できるのか慣れるのかもわからない。

良さそうだけど借りるのがかなり面倒。
でもこれ、認知症の人が使えるのかな?


結局、電話で「薬飲んで」と伝えることにした。

でも「うん、飲むわね」と電話を切った後に、忘れる可能性もある。
実際に飲んだかどうかはわからない。

あれこれ検討して、『カメラ』を導入することにした。
・カラーで画像が比較的鮮明なこと
・360度回転して母の様子も確認できること
・本体価格も安価で毎月の通信費や契約料が不要なこと
を理由にSwitchBotを選んだ。

まずは壁にかけた『お薬カレンダー』の前に設置。
ポケットに薬が残っていないかを随時確認できる。

これはとてもいいアイデアで、老人ホームに入った今でも部屋にはSwitchBotのカメラを導入している。


ただ、カメラを導入したのにはもう一つ理由があった。

弟だ。

母の認知症が進んだことで、弟が過敏に母の行動を気にするようになっていた。

携帯電話を持つのを忘れて出かけてしまう母と連絡がつかないだけで弟は母の家を訪問するようになった。
その度に、私に「電話に出ないが知らないか」と連絡が来た。

母が電話に出ないのは今に始まったことではない。
そもそもそういう人だ。
それに認知度は落ちてきたが足腰は丈夫で全く元気いっぱいだ。
急に死んだりはしない。
弟がどうして急に慌てるようになったのかは謎だった。
何よりもこの先、母と連絡がつかない度に、私に「知らないか」連絡がきて、自分が訪問できないときは私に行けなどと、弟の謎の不安に付き合わされても困る。

当時、私は、介護保険利用の勉強、日々のケアマネージャーとの連絡、未払い請求書の支払い、母の財務調査、相続や贈与の勉強に加え、母からの電話対応、生活支援の方法のアイデアなど、考えることがありすぎて、弟に振り回されることはなんとしても避けたかった。

つまり弟の「謎の不安」を取り除きたい。
それが『見守りカメラ』だった。
「カメラで服薬確認をお願い」と弟に役割分担した。
カメラはアプリで回転するので、いつでもカメラを見れば母を確認できる。
弟の心配はなくなる。
私に無害。
我ながらいいアイデア。

カメラ設置以降、弟は母の家へすっ飛んで行かなくなった。
実際にお薬カレンダーを見て「薬飲んで」と電話することもあったようだ。
カメラは1台を共有できないので、私用にもう1台購入して部屋全体を見られる場所に設置した。

実は、当初、カメラを見るのはあまり気分が良くなかった。
母の生活を覗き見るのは気が進まなかったから。
必要でなければ見ないようにしたいと思っていた。

でも想像以上に『見守りカメラ』は役に立った。
ある意味、介護者をもう一人雇うほどの安心があった。
母はいつ食べて、どこで食べて、テレビを見て、いつ寝るのか。
認知症は時間の感覚もずれていく。
おかしな時間に動き回っていたりする。何がどうしてそうなるのかわからないことだらけ。でもカメラがあることで少し安心することができた。

最初の目的の「服薬」だが、数ヶ月後には1日1回朝の服薬だけで済むように薬を変更してもらった。この後、10月からデイサービスへの送り出し支援というヘルパーさんをお願いしたので、一緒に服薬支援も頼めることになり、週末だけ服薬を確認すればよくなった。

ただ、弟が朝のカメラ確認を忘れるようになった。
介護する側の認知度もそこそこ問題だ。

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