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ビジネスの新しいセオリー

column vol.711

当社のクライアントである大正製薬さんが、JR新宿駅で新たな挑戦を行っています。

5月31日から駅改札内に「クスリの販売機」を設置。

薬の自販機は国内初であり、約3ヵ月間の実証実験を行っているのです。

〈Web担当者Forum / 2022年7月6日〉

今日はこの話題も含めて、今までの常識には無かった新たな企業の挑戦をご紹介したいと思います。

健康意識の向上、医療費の削減へ

図1

クスリの販売機で扱っているのは第2類医薬品第3類医薬品医薬部外品約30品目

タッチパネル式で、「症状」からも「商品」からも選ぶことができます。

症状からなら、「頭」「鼻・のど」「おなか・おしり」「目・口・歯」「肩・腰」「皮膚」「女性」「その他」の8項目から選択。

案内に従って進めていくと、自分の症状に最適な薬に辿り着けるというわけです。

(例)「おなか・おしり」→「胃もたれ、胸やけ」→「大正漢方胃腸薬」

最後に、「服用に際しての注意事項」「効能や成分、用法・用量について」に「はい」を押すと、この情報が近くのドラッグストアに送られ薬剤師・登録販売者が端末から内容を確認

販売が承認されると、決済画面へ。

また、「ナロンエースT」など濫用のおそれのある成分を含む医薬品には顔認証システムが作動

もう一度、ナロンエースTを購入しようとすると、顔認証システムが検知し、購入することができない仕組みになっています。

そして、用法・用量を守って使い切る日数が経過すると再び購入でき、薬物濫用を防いでいるのです。

「あれ?こんなに簡単に自動販売機で薬が売れるの??」と思う方もいらっしゃると思いますが、確かに薬機法などの現行法下においては、一般用医薬品を販売機で販売するには以下の条件が求められます。

●店舗から視認可能
●販売機から店舗まで迷うことなく容易に到達可能
●店舗販売業の店舗と一体となった状態で設置されている

ということで現在は、JR東日本クロスステーションが運営するドラッグストア「Eki RESQ」新宿南口店の目と鼻の先(約8m)に自販機を置いて実験中です。

大正製薬としては、今後は完全な遠隔操作による医薬品の販売を目指しています。

実験の結果次第では、10mが30m、50mと延び、やがては、一般用医薬品の購入が難しかった地域や場所にも販売機を置けるようになるかもしれない。

これが実現すると、医薬品へのアクセス性を改善でき、セルフメディケーション意識の向上医療費の削減に繋がるかもしれないですし、働き方を広げることにも繋がります。

例えば、出産育児などで現場に復帰できないでいる薬剤師は、遠隔操作によって、家にいながら仕事ができるようになるかもしれないからです。

同社の新たな挑戦に今後も目が離せません。

「本の執筆」だけで生活できる社会へ

続いては、についての話題です。

出版不況の中、印税率を改革して業界に夢を広げたいと挑戦する方がいらっしゃいます。

ひろのぶと株式会社を立ち上げた田中泰延さんです。

通常、本の印税率は価格の1割ですが、初版印税2割10万部以上3割50万部以上4割100万部以上5割に上げる「累進印税」を導入し、業界の常識を打ち破ろうとしているのです。

〈現代ビジネス / 2022年7月4日〉

この挑戦は、ご自身が本を出した際に、100万部、200万部と売れないそれだけで生活していくのは難しいと思ったことが動機となっています。

一方で、一般的に考えると累進印税を導入して会社の体力が保つのか…という懸念もあります。

しかし、田中さんはこのように話します。

原価率を10%増やすぐらいで潰れるような会社だったら、現在のように円安で135円になったら、どんどん潰れていくことになりますよね。だから、成り立たないわけはないんですよ。これまで「印税10%」に心底疑問を持って、変えようと行動する人がいなかったというだけだと思います。

う〜ん、素晴らしいですね。

実際、500万円の資金を集めるために株式投資クラウドファンディングのファンディーノで株主を集めたところ、わずか27分で募集上限額いっぱい4000万円が集まったそうです。

熱き想い覚悟の挑戦があるからこそ、これだけの共感が集まったのでしょう。

クラファン、SNS、マッチングなど、今の時代はさまざまなサービスがあることで新しいチャレンジができる土壌が整っていると思います。

熱き想いが花開きやすい時代とも言えるので、今や「想い」は企業の「資本」とも言えるのではないでしょうか?

「二度見」をデザインし、話題をつくる

最後は、ごくごく身近な話題から。

セブンイレブン「明太子おむすび」をご存知でしょうか?

ネーミングは普通ですが、見た目のインパクトが凄いのです。

〈jcastニュース / 2022年7月2日〉

画像2

どうですか、明太子むきだしです!?

ご飯で具を覆うのではなく具でご飯を覆うような格好になっています。

これにはSNSでも

「イカれてる(褒め言葉)」
「これは二度見してしまった」

と面白がったり驚いたりする反応が続出。

さらに

「やけくそ明太子おむすび」
「頭の悪い明太子おむすび」
「痛風おにぎりじゃん」

と、独自の「愛称」も次々に披露されています。

購入者は軒並み

「ボリュームがあって最高だった」
「背徳感溢れる明太子の量でした」

と概ね好意的な感想が目立つ一方、目新しいゆえ

「これ...どうやって食べるの?」
「食べ方の正解がわからーん」

と困惑も漏れている。

私がポイントだと思ったのが、ユーザーのコメントにもあった「二度見」をセブンイレブンがデザインできているということです。

つまり、日常のちょっとしたサプライズ

世の中、モノや情報は溢れに溢れているので、そもそも目を止める仕掛けをつくらないと、どんなに良い商品でもスルーされてしまいます。

その上で「誰かに話したくなる」話題性も同時に設計していく。

皆さんが、SNSで大喜利にように愛称をつぶやくことで、マスプロモーションを仕掛けなくても、大きな波及効果を生み出すことができる。

今やマーケティングの基本ですが、企業側に一方的なプロモーションよりもはるかにバズマーケティングの方が訴求力が強い

一方で、スベる可能性も高いので、よくよく考え、勇気を持って挑戦していくことが大切ですね。

いずれにせよ、「本気」がマーケットを動かす時代

マーケターとして参考にしていきたいところです。



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