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未来の建設業を考える:「ChatGPTで試される現場力」(2003年5月8日)

Chat(チャット)GPT

 第4次AIブームとも言われる、今話題の「Chat(チャット)GPT」。
 既に小学四年生でも、ChatGPTが使われているとか。ChatGPTに「花」を題材に作文させ、自分の作文と比較し、何がどう違うのかという宿題が、実際に出されたそうだ。ChatGPTは、400字の作文をたった5秒で作成可能。簡単な手続きでWEB上のChatGPTを使うことができる。まだ始めていない読者がいれば、一度、試してみてほしい。
 今のChatGPTは、問い掛けに自然な言葉で返すことに注目が集まるが、本質はそうではない。プログラミング提案書作成など、ルーチン的な作業が、ChatGPTによって開放されることにある。

コンピューター・プログラマーの生産効率が50倍

 事実、ChatGPTを導入することで、コンピューター・プログラマーの生産効率が50倍も進んだそうだ。間が作ったプログラムをChatGPTに読ませ、より簡潔なプログラムに変換してほしいと頼むと、すぐに最適なプログラムを返す。極端な例では、ベーシック言語で作ったプログラムをChatGPTに最適化してほしいと頼むと、勝手に、C++言語に変換し、簡潔でシンプルなプログラムへと簡単に変換できるそうだ。プログラマーのほとんどの作業は、プログラム改修とバグ取りだが、ChatGPTなら、簡単にそういった作業が終わる。そこにIT企業がChatGPTの導入に積極的になっている。

施工計画書を作成するように依頼

 ところで、ChatGPTに、施工計画書を作成するように依頼したら、その回答は、「私は自然言語処理のAIであり、建築や工事に関する正確な情報を持っていません。施工計画書は、現場の実際の状況や地域の規制に基づいて作成される必要があるため、建築士や工事の専門家に相談することをお勧めします。」と回答してくれた。いまは、ひと安心か。

環境対策に関する「技術提案」をChatGPTに

 一方で、より具体的に、環境対策に関する「技術提案」をChatGPTに求めると、①ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の導入、②環境にやさしい建材の使用、③CO2削減対策、④建物の健康性に関する提案――といった項目を返し、具体的な効果を聞くと、「太陽光発電システムの導入により、年間で約100,000kWhの電力を発電でき、年間で約50世帯分の電力消費量に相当します。」と答えてくれた。少なくとも、最初に考えるべき項目出しには、十分使えるレベルだ。
 建設工事は一品生産であり、設計や工事などでクリエーティブな分野も多いが、単純作業的な決まった仕事については、大いにChatGPT活用の余地があると考える。近い将来、ChatGPTで作成された技術提案書が出てくるかもしれない。

大規模言語モデル(LLM)

 ChatGPTは自然言語で回答しているように見えるが、本質は大規模言語モデル(LLM)だ。言葉の続きを膨大なデータベースから確率論でつなげているにすぎない。たとえば、「昔々」と言えば、確率的に大きい「あるところに」という単語を続けることで、自然な言語を作成している。それゆえ、まだ間違った回答も多く生み出すので、注意も必要だ。
 それゆえ、提案書などの中身の評価に加え、実際の現場でそれを実行し、確実な品質確保につなげているのか、本物を見分ける目や経験、いわゆる「現場力」が、ますます求められる。

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