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Bリーグ第36節北海道-アルバルク。桜井良太の引退試合にレバンガの本気を見た。

アルバルクの今シーズン最終戦は5月3日(金)、4日(土)、レバンガ北海道とアウェイ北海きたえーるで行われました。最終戦は桜井良太選手の引退試合です。アリーナの入り口で配られた桜色のTシャツには桜井選手の背番号11と桜井選手の後ろ姿が散りゆく桜と共にプリントされています。北海道では5月初旬はちょうど桜の見ごろが終わるころで小憎らしい演出です。
遠征に来たアルバルカーズもこのTシャツを着た上にアルバルクのユニを身に着けて応援していました。

「北の鉄人」桜井選手の最後の公式戦を勝利で飾りたい本気のレバンガと桜井選手へのリスペクトとCSを前に手を抜けないアルバルクの息詰まる戦略の攻防がありました。レバンガ対アルバルクの最終戦を追ってみたいと思います。

第1ゲームアルバルクのマッチアップゾーンで流れを変えた。

最終節のマッチメイクがレバンガ-アルバルクなのは、きっと桜井選手のキャリアスタートがアルバルク東京の前身であるトヨタ自動車アルバルクであるからなんだろうなと思いながらBリーグの中の人たちの思惑通りにエモーショナルになってしまいました。
試合はゲーム①からレバンガの選手から「勝ちたい!」という気持ちが前面に出ている試合でした。

しかし、最終節の結果はゲーム①は78-66、ゲーム②が85-78でアルバルクの勝利となり、アルバルクは48勝12敗(勝率.800)で有終の美を飾りました。

さて、ゲーム①は互いにシュートが外れるロースコアな展開でアルバルクは6ポゼッション得点できません。開始から4分半でやっとメインデルの3Pが入るという「どうしたの?」というスタートでした。


第1Q12-12で迎えた第2Qはレバンガの選手の気迫に押されたのか0-7ランを許します。第2Qの序盤アルバルクはテーブス(187㎝)、ザック(192㎝)がマッチアップの寺園(172㎝)松下(180㎝)とのミスマッチを攻めてポストプレーを狙います。
しかし、気迫で上回る寺園、松下はフィジカルに守ります。


逆に中野、寺園、ウィリスJRのシュートタッチが第1Qよりグンと上がってよく入ります。
また、インサイドではトラビスと平岩のミスマッチを狙われてポストアップされて1ON1を仕掛けられました。
アルバルクは5,6点ビハインドでファウルドローンからFTで得点を繋なぐ状況が続き前半を21-26と劣勢で終わりました。

アルバルクは第3Qにディフェンスシステムを変化させてビッグクォーターを迎えます。
1-2-2マッチアップゾーンを導入してレバンガのオフェンスのリズムを完全に崩してこのゲームのペースをつかみました。


オールコートから1-2-2でゾーンプレスにすることもありますし、ハーフコートだけもあります。また、これは宇都宮戦で見せた2-3ゾーンからマッチアップに変化するチェンジングとも似ていますが違っていました。
アドHCの引き出しはドラえもん並みの四次元ポケットです。

レバンガ戦で見せたマッチアップゾーンはメインデル(ザック)をトップのボールマンに付けて2列目の2人(テーブス、安藤)と3列目(グダイティス、ロシター)とボックスを作って守ります。
レバンガはトップ寺園、左ウイング中野、左エルボーウィリスJR、右エルボートラビス、右ウイング関野でエントリーすることが多いですが、そこからトラビスが上がって寺園にピックに来るとグダイティスも上がります。寺園のドライブにはスイッチしてグダイティスがマッチアップします。トラビスにはメインデルが付くのです。(メインデルがトップだからできる)
ボールを展開されたらボールマンにはマッチアップのディフェンスがくっついて、残り4人が手を広げてボックスで守ります。
トラビスがポストに降りてポストフィードされたらグダイティスが寺園から離れてダブルチームに行くというディフェンスをしていました。


効いていました。


第3Qは27-9(60-47)とビハインドを撥ね返して13点差をつけました。
そのまま流れは変わらずゲーム①をアルバルクが79-66で取りました。


第2ゲーム前半はレバンガのプラン通り


ゲーム②、試合後のコメントでレバンガの小野寺HCは「とにかく勝ちたかった試合でした。前半はある程度プラン通りでき、昨日よりオフェンス、ディフェンスのミスや簡単な失点は減らすことができました。」というようにアルバルクは前半39-44と9点のビハインドを負いターンオーバーもレバンガの1つに対して6つを犯しています。

レバンガのプラン1
桜井良太がスタメンでファーストセットから桜井のAIカットからブルックスとのPnRでシュートが決まったら、きたえーるは大爆発でペースをレバンガが一気に持って行ったでしょう。
ただ、レイアップのステップが遠かった。でもこのトライに会場は盛り上がりました。


レバンガのプラン2 右サイドからのスペインピック
第1Q残り8分53秒
レバンガは基本トップに寺園が立ちとその他の4人が並ぶエントリーです。左ウィング関野、左エルボ-ブルックス、右エルボーウィリスJR、右ウィング桜井です。トップ寺園は一度左ウィング関野にパス。寺園は逆の右コーナー方向に向かってから右ウィング桜井のダウンスクリーンを使ってカールアップ。
右ウィングまで上がって関野からパスを受けます。右サイドで寺園がウィリスJRのスクリーンを使ってPnR。桜井はウィリスJRのマーカーメインデルにバックスクリーンを掛けます。ウィリスJRはスリップしてダイブ。寺園からアリウープパスをもらって得点です(第1Q残り8分47秒 3-2)


同様に第2Q残り6分39秒に島谷、トラビス、中野で右からのスペインピックを成功させてトラビスがフリーでダンクを決めています。(第2Q残り6分33秒 29-31)

レバンガのプラン3 桜井良太の得点
第2Q残り3分45秒
トップ寺園→右ウィング関野→右ローポストブルックスから逆サイドコーナー桜井にキックアウト。桜井の3Pが決まるとアリーナは一気にレバンガペース。
前半を39-48と9点ビハインドで後半戦へ


アルバルクのカムバック。フリースローで繋いでライアンタイム。


ゲーム②の第3Qは9点ビハインドからグダイティス、ロシター、安藤がファウルドローンからコツコツとフリースローの1点で繋ぎます。このクォーター、9/11のフリースローを獲得します。


ディフェンスでは昨日から使っているマッチアップゾーンも試します。レバンガはトラビスによるポストアタックで打開を計ってきました。ヘルプの遅れから得点を許すケースもあり、ゲーム①よりディフェンスの効果は減らしていたように思います。


しかし、安藤のジェイルからのジャンパーで50-53。(第3Q残り5分32秒)
小酒部のミドルジャンパー(第3Q残り2分40秒 59-63)で点差をジワリと詰めます。


ここからライアンタイムです。
テーブスとロシターとのPnR からのロシターの中央突破で得点。
(第3Q残り2分11秒 61-63)
テーブスとロシターPnRからポップして3P
(第3Q残り1分1秒 64-63)逆転。
ザックのST→ロシターユーロステップでレイアップ。
(第3Q残り34秒 66-63)



残り3分からの集中力でこのクォーター3点リードで逆転しました。


さらに第4Qではザックとロシターと小酒部による左からのスペインピックで流れを譲らず、メインデルとグダイティスの左からのPnRからメインデルによるバスカン。グダイティスのORからセカンドチャンスなどでオフィシャルタイムアウトには10点差を付けます。(79-66)



最後の2分には元レバンガの同僚である桜井良太と橋本竜馬のマッチアップが実現して引退試合に花を添えました。そしてゲームは85-78でクローズして今シーズンレギュラーシーズンを締めくくりました。

昨シーズン怪我人続発で、それでも言い訳なしで頑張っていたアルバルクの選手、スタッフの皆さんを見ていたので、今シーズンはここまで大きなけがなくCSを迎えられることが偉業ではないかとも思います。



今週末からは優勝という本当の偉業を見せてもらえるようにアドHCの戦略四次元ポケットも初物でいっぱいにしておいて我々を驚かせてもらいたいと思います。まずは因縁の琉球戦です。週末が楽しみです。

photos by yu

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