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広大な自分のための短文

砂浜で落ちているものを手に取っては眺める。


珊瑚の幾何学的な形の連なり、貝のミクロまで続く相似形。
目は、手に取った小さなものに共鳴して、身体を振動させる。
耳に入る波の音は遠くなり、手の中の愛しき小さなものに意識が凝縮する。

珊瑚、淡く白く光る石、螺旋の貝、錆びた鉄の破片、流木、骨。
しゃがみこんだまま、手に取っては眺め、手に取っては眺めを繰り返す。

ふと目を上げて立ち上がる。
時間は波と共に消え、海に乱反射した光が空間を広げている。
ミクロのにじり口をくぐって壺中天に至る。

空間と調和した不安のない感覚が、茫然と目の前に広がっている。

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