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「何歳になってもリズリサ着て良いんですよ!」

私は所謂"乙女趣味"なものが好き。
ピンク色、ハート、リボン、フリル、ミニスカート。女の子が1度は持つであろう、「お姫様みたいでかわいい!」という感性を、20代前半になった今でも持ち続けている。

中高生の時、私の憧れのブランドは"LIZ LISA"だった。ピンク色たくさん、リボンやフリルたくさんのデザインにずっと憧れていた。だけど高校生の頃の私はバイトができなかったため、高いものだと1着で1万円近くするリズリサのお洋服は、当時の私には手が届かなかった。お店に入ることすら勇気が必要で、足を踏み入れることができなかった。

そんな私がようやくリズリサのお洋服を着られたのは、大学生になる頃だったと思う。初めて憧れだったお洋服を購入できた時、とても嬉しかった。

だけどリズリサは一般的には、中高生向けのブランドとされている。長く着ても20代前半くらいが限度だろう、というのが、ネット上で書き込まれているのをよく目にする。

だから大学を卒業した私は、自然とリズリサから足が遠のいた。着ている人を見かけると「かわいい!」と思うし、お店の前を通ると入りたい気持ちはするのだが、「もう学生じゃないし…」という気持ちが湧いてきて、リズリサのお洋服を買うことが無くなった。

そんな20代前半の最近のこと。

とある女の子に出会った。
出会った経緯は書かないが、その子に出会ったことは偶然であり、たった1度だけである。

その子はリズリサのお洋服を着ていた。周囲の人に「服かわいいね」と言われて、「リズリサです!」と嬉しそうに答えていた。

今の私だったらきっと、「リズリサなんですけど…もう卒業しなきゃって思うんですけどね…あははは…」と誤魔化し笑いを織り交ぜながら萎縮したと思う。だけどその子は、嬉しそうにそのブランドの名を口にした。

思わず私は、「私もリズリサ好きだったんですけど、年齢的にもうダメかなって思って着られなくなっちゃいました…」とへらりと笑いながら言った。

すると彼女は、「えー!絶対リズリサ似合いますよ!」と言った。そんなのただの社交辞令なのかもしれないけれど、そう言われてなんだか少し照れくさかった。

そして、彼女は続けてこう言った。

「何歳になってもリズリサ着ていいんですよ」

「好きなことするのが1番です」

私より歳下のその子が、初対面のその子が放った言葉が、なんだか私の心を柔らかくした。

確かに、頭の上に年齢を貼り付けて外を歩いている訳じゃないのだから、私がどんな格好をして外を歩いていたって、「あいつ20代なのにあんな格好してるよ」と思われることは無いはずなのだ。

それなのに私は、いちいちブランドの対象年齢をネットで調べては、「このブランドはこの年齢までしか着られないんだ…」と勝手に落胆していた。

彼女の言う通りだと思う。

何歳になってリズリサを着ていたって、誰かから文句を言われる筋合いは無いはずなのだ。

似合っていれば何でも、好きなのならなんでも、自由にお洋服を選んでいいはずなのだ。

その子と会ったのはその1回きりだし、また会えるのかどうかも分からない。だけど私は、私にこんな新しい気付きをくれたその子に、幸せが訪れて欲しいととても素直に思った。

そして今日、久しぶりにリズリサのお店に足を踏み入れた。そして、「これが着たい!」と思ったお洋服を選び、試着をし、購入した。

母親に見られたら、「アンタもうリズリサは辞めなさいよ」と言われるに違いない。だけど良いのだ。だって着たかったんだから。

私に再び憧れのお洋服を着る勇気をくれたあの子に、お礼を言いたいと思う。

そして今日買ったお洋服を着る度に、柔らかい気持ちになれたらいいなと思う。

私が絶対にかわいく着こなしてあげるね。


自分の書いた言葉を本にするのがずっと夢です。