【ジュビロ磐田⚽】【雑感】グッド・ディフェンス。
過密日程の相手に1-1のドローしたぐらいでテンション上がってんじゃないよ!
と叱られてしまいそうですが、これまでの戦歴と、それから昨日の内容を加味すればそれはスコア以上の価値があったのではなかろうか。
そんな風に感じて小躍りしています。
試合終盤に追いついて勝ち点を拾えた展開というのはもちろんなんですけど、僕自身が試合を見ていて特筆したいと思ったのがディフェンス面。
得点シーンと違って地味なんで着目する人って少ないと思うんですけど、久々の現地観戦でしかもサムネ画像にあるようにゴールラインの延長線上に陣取った(たまたま!)ということもあり、
特に前半の攻防は視界良好。良く見えましたねー。
そこだけ切り取っても非常にポジティブな面が垣間見えたので、今日はそれについて。
例によってダラダラと自分なりに書いてみます。
■それは理路整然か
2年前の日産スタジアム。古川くんの速攻が決まった激勝は超気持ち良かったですねー。
誰もがあのシーンの再来を望んだはず。
しかし!
冷静に振り返ってみると、あの日はただただマリノスの恐ろしい攻撃を気合と根性で跳ね返しているだけで、絵に描いたようなサンドバック状態。それを85分間見続けていたといっても過言じゃなかったわけで。
でもだからこそ、
あの反撃の一発は超気持ちよかったんですけどね。
それは5月末のホーム戦も同じで、あの時はチマと渡辺皓太の中盤のプレスに屈しまくって、中盤で奪われたボールから何度もピンチを受けたと記憶。つまりチンチンにやられた、と。
2022年は戦績で言えば1勝1敗ではあったものの、
個人的な感覚で言えば0勝10敗ぐらいの差を感じていて、あの勝利で首の皮一枚つながったチームがその後降格したときも、そりゃそうだよな・・・という感想の方が先でありました。
しかし、
2年ぶりの昨日の試合は、ポゼッションこそ大きく離されたものの、個人的にはとても安心して見ていられましたね。特に目の前で繰り広げられていた前半は。
人によって感想は異なると思いますけど、何というか、ジュビロ磐田の選手全員の頭の中が共通理解で整理されていて、とても堂々としているような。
一言で言えば理路整然としていました。
少し詳しく。
■平川の献身
色々あるけどまずはこれから触れるのが一番よさそうです。
横さんが彼をサイドハーフで使う意味がとてもよくわかるナイスムーブでした。
マリノスはご存じの通り右のヤンマテウス、左のエウベルが重要な起点となります。そこに磐田は松原、植村が対峙することになるけど、面白いと思ったのが松原・平川のコンビ。
ヤンマテウスに対して松原は極端に相手の左を切る。つまり大きく体を開いて相手の右、すなわちライン際に誘導する体制を取ります。
人はディフェンスするときにどうしても利き足の関係で得意なバックステップの方向というのがあります。
松原の場合はそれが左なのか、あるいはセオリー通り狭い方に誘い込みたいのか、ヤンという強烈な相手に対して超意識的に誘導してましたね。
しかしこれには決定的な弱点があります。
それは他でもなく、誘導と逆側に大胆に進路を取られると体を開いている分対応が遅れてしまう点。
それのケアとして奮闘していたのが平川でした。
いわゆるダブルチームという状態だけど、間を抜かれないように松原の背中に平川がピッタリ付いているのが印象的でしたね。
そのおかげでヤンは仕掛けられず松原健にボールを返すシーンが多かったと思います。
しかしこれで終わりではないのがマリノス。その松原もまたクロスの名手なわけで。それに対して平川が猛ダッシュで蓋をしに行きます。
文字で書けば簡単ですけどこの繰り返し作業は想像以上にしんどい。
それをたったの1度もさぼらずに平川はやり続けました。バスケやフットサルでもいいんですけど、競技経験者ならこの凄さは共感できると思います。昨日は相当暑かったですから。
こうして、
遅攻のヤンマテウスは安心して見ることが出来ました。
■松本と植村の関係性
では右はどうだったか。
こちらは植村の対人能力を買ってかダブルチームに行くシーンはほとんど見られませんでした。
(ガンバ戦で中途半端にダブルチームに行って宇佐美にやられたシーンがあったので意識的に1on1に拘っていたかもしれないけど)
しかし右の松原健と違って永戸はエウベルとの関係を上手く使ってポケットを狙うなどとても流動的に動いてきます。
注目したのは、
マリノスが右から左の永戸に大きく展開するシーン。中央を締めていた植村が永戸の対応に遅れると松本が迷わずエウベルを捨てて最終ラインまでケアに行っていました。
それに気づいた植村も迷わずエリア外で張るエウベルのケアに入ります。
いわゆる受け渡しという作業。
もともとサイドバックが本職ではない植村くんならではの対応かもしれないけれど、いずれにせよ危機察知能力や判断力、そしてそれを体現する力などサッカーIQがむちゃくちゃ高い2人だからこその、完璧な共同作業だったと思いまいた。
一方であるあるですけど、
受け渡しの遅延や、意思疎通が合わなかった時というのは一気にピンチに陥ります。適宜マークを捨てるという作業は必要ではあるけれど、大きなリスクを伴うのが一般的。
しかし、この2人の受け渡しは安心してみていられましたね。
前半22分に植中にフリーで打たれたシーン。あそこだけ捕まえきれなかったけど、それ以外は完璧でした。
こうして、
遅攻のエウベルもまた安心して見ていられました。
■そして再びのカヌー
マリノスの最大の特徴である両翼(ヤン&エウベル)とサイドバックの関係を抑え込んだとなると、次に厄介なのが中盤からエリア内に侵入してくる人たち。
マリノスにはかつて西村というスペシャリストがいたけど、この試合はナムテヒ、植中という難敵が相手。
特に植中は蔚山戦をこの位置で戦っておりACL決勝進出の立役者となってるわけで。ノリに乗っているはず。
これに対しては両ボランチがかなりタイトに行っていましたね。特にカヌーに関してはほぼマンツーマンじゃないかっていうぐらい近くで見ていたのが印象的でした。
現地だとずっと植中を見ていた印象でしたが、見返してみるとナムテヒと結構左右を入れ替わっていたのでナムテヒをもまたストーカーのように追っかけてました(笑)。それは上原も同じ。よく付いていました。
こちらも先ほど述べた22分の植中の侵入が唯一でしょうか。それぐらい二人のディフェンスは効いていた印象。
しかも、
特定の人をタイトに守ると他のところが穴になるんですけど、決してそんなことも無かったように思いませんか?
つまりこれって相当ハードに動いている証拠。町田戦の後に「まだまだここから」と冷静に述べていた彼ですが相当効いていたと思います。
これから夏にかけて本当に頼もしい。
■たった2回だけ
サイドハーフとサイドバック、それから中盤の2人を抑えたとなるとあとはあの男ですよ。アンロペさん。
彼については陸くんとリカの2人で上手く守れていたように思います。パスを遮断したり、1対1の空中戦に持ち込ませなかったり。
特に陸くんは、アンロペが下まで降りていくと迷わずそれに付いて行って徹底的に強くやっていましたね。(町田戦もそうでしたけど)楽しそうに対峙しているのが彼の最大の特徴。零封の雰囲気はありました。
ただ、
これも先ほどのダブルチームの欠点と同じですけど2人で1人を守るとフッと穴が開くんですよ。迷っているわけではないけどどっちも行けてない、みたいな。
そしてサイドからのクロスに対して、アンロペの前にいるディフェンダーが触れないと大ピンチになります。
前半は陸くんが頭を越されました。後半はリカが頭を越されました。
前者は枠を外れ、後者は川島さんが一度はじきましたが跳ね返りを押し込まれて失点。
この2回だけでしたね。ホントに。跳ね返りへの反応は相手を褒めるしかないです。ただ言いたいのはですね。過失はたったの2回。そしていずれもキーパーの守備範疇に飛ばさせたという事実。
これは素晴らしかったと思います。
■サンドバックじゃない
やはり現地は良いですね。
僕は古川くんが決めてくれた2年前も現地にいたので空気感としてその違いを書き記してみたのですが、
あの時との大きな違いは、一言で言えば全然サンドバックじゃなかったぜ、という事。
局面で見ればまずいシーンは多々あったと思いますけど、大枠として個人的にはとても安心して見ていられましたね。特に前半は。
これはとてつもない進化です。
このポストの真意は、そんな考察に裏付けられていました。
結果は、
前回対戦は勝ち点3。今回対戦は勝ち点1。数字で言えば2劣っているんですけど、多くの人が胸張って帰ってきたのってここの差ではないかと思うんです。
バレーボールやテニスと違って、サーブ権の無いスポーツは基本的にトランジションの応酬ですから。良いディフェンスというのは良い攻撃の起点や要因だったりします。
もちろんペイペイの加入やジャーメインの進化も効いてますけど、昨日のゲームが面白かったのはグッドディフェンスに依るところが大きいのではないかと、個人的には思っています。
ただ、
前半でかなり疲労して、人を積極的に変えてきたマリノスの猛攻を受けたのはまた別の話。
でもですね、劣勢の空気の中ペイショットの一撃で同点に追いついたのは素晴らしかったです。
なぜならば、あのヘッドってジュビロがアンロペ相手に2回だけやられた形そのもの。
ジュビロは(失点したものの)キーパーの守備範疇に制限できていたのに対し、マリノスはドンピシャで喰らったわけですから。
そりゃ気持ちいいわけです。
試合観戦の醍醐味はやっぱりゴールシーンなんですけど、良いディフェンスってのにも目を向けると益々チームが頼もしく見えるかな、と。
そんな事を改めて思った現地観戦でありました。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!
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