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「オリックス25年ぶりの日本一」か「バファローズ初の日本一」か?

タイトルは、今日から始まる日本シリーズで、オリックス・バファローズが勝ったとして、それをどう報道するかという話です。

リーグ優勝のときは、「オリックス25年ぶりの優勝」という報道ばかりで、「バファローズ20年ぶりの優勝」という見出しはほとんど見ませんでした。大阪近鉄バファローズの、あの劇的な優勝から、ちょうど20年という区切りだったにもかかわらず。

これは、まずは、野球メディアに根付いている「親会社史観」の反映でしょうが、加えて、2004年の球界再編で起きたことが、オリックス球団と近鉄球団の「合併」ではなく、本質的にはオリックスによる近鉄の「吸収」だったことも、影響していると考えます。

いや、実は本音を言えば、あれからかなりの年月が経ったのだし、「オリックス25年ぶりの日本一」でいいじゃないかと、私も思っているのです。

ただ。

このツイートに対して、「リーグ優勝で、今やっと1つになったんだから、過去のことをいちいちほじくらずに、祝えばいい」という意見があって(数件ですが)、そういうのを見ると、一言、返したくなるのです。

野球は数字のスポーツであり、そして歴史のスポーツだと思う。言い換えると、数字や歴史を知ったほうが、野球の見方は格段に豊かになる。

さらに言い換えると、「過去のことをほじくらず」にいることは、野球の見方を狭く浅くする。

2004年、「合併」が決まった後の大阪近鉄バファローズの最後の試合、監督の梨田昌孝はこう言ったそうです(集英社『Web Sportiva』2019年11月26日)。

「みんな、胸を張ってプレーしろ。おまえたちがつけている背番号は、すべて近鉄バファローズの永久欠番だ」

また、オリックス(ブレーブス/ブルーウェーブ)の前身である阪急ブレーブスの黄金時代を支えた、あの福本豊は、『日本プロ野球 追憶の「球団史」』(ベースボール・マガジン社)で、こうコメントしています。

「俺はオリックスがバファローズになったときは、ほんとさびしかった。それはもう近鉄やないか」
「でもな、阪急の背番号は全部が永久欠番だと思うんや」

梨田昌孝と福本豊が「永久欠番」を口にしているのは、つまり、オリックス球団と近鉄球団の「合併」は、近鉄球団の歴史を途絶えさせただけでなく、阪急球団の歴史をも途絶えさせたということです。

何と切なくて虚しい事実でしょうか。

繰り返しますが、別に私は「オリックス25年ぶりの日本一」でいいと思っています。そもそも、報道における最近の「両論併記論」も、何だかうさんくさいし。

ただ、野球は数字のスポーツであり、そして歴史のスポーツで、数字や歴史を知ったほうが、野球の見方は格段に豊かになるのだとすれば――。

「オリックス25年ぶりの日本一」という見出しに、ちょっとモヤっとする気持ちを忘れず、そして、オールドファンとして、そのモヤっとする気持ちを伝えることも忘れないでおこうと思います。

二度と「合併」とか「吸収」とかが起きないように。今後は球団の「拡張」だけが進むことを願いつつ。

「今、日本は平和なんだから、過去の戦争のこととか、いちいちほじくるなよ」

え?

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