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地獄旅XI-3 土合~水上~水上 消えたスタンプ帳!?

前回の!地獄旅!

楽しい!苦しい!帰りたい!やっと3日め、帰宅日です。

3日目 7:00 燕三条 ワープを使おう

思ったより朝早めに起きられた。
いいぞ。
意外にも足のダメージは思ったほどではない。寝付くまで足をマッサージしたのが効いたのかな?
とりあえず、東横インの無料朝食をキメるとしよう。
…東横イン、ふつう1Fに朝食会場があるんだけど、ここ燕三条ではなぜか最上階に行くことになる。宿泊客が無料で使えるスポーツジムが1Fに設置されているからだ。この価格なのにサービス頑張ってるなあ。

雪国の1月はまだ外も暗いし、おそらく防寒の2重窓。最上階なのにほとんど景色は見えなかった。

ひとくち食べてコーヒーだけで済ますつもりが、なぜかスープコーナーに大好物の「マルちゃんホットワンタン」が置いてありたっぷりカップにいっぱいワンタンを確保してしまった…むむ?このワンタン、カップのやつより具も多いしリッチで優しい味がする。
…それだけに、あのカップワンタンのジャンク感が愛おしい。
マルちゃん、だいたいなんでもうまいからえらいよなあ。

暗い…雪国らしくなってきたぜ。

まさに今、雪に降られています。冬靴履いてきた判断は大正解。
もともと、あまりいったことのない長野に行こう、という計画だったから冬薔薇は万全だったのだ。当初の予定から、完全にはずれてしまったな。

橋脚中央の隙間から一列に、溶けた雪のしずくが振ってくる。
奇妙なシンメトリーの良さ。

怪人、氷原に現る。

雪のひとつぶひとつぶがでかくて重そうだ。

旅路…

錆びたものがあると、とりあえず記念写真を撮ってしまう。

ガマボイラー(いまさらご紹介しますが、「仮面ライダーV3」の敵怪人のガシャポンです)、ポーズのバリエーションがもうちょっとつけられるといいけど、何度撮っても絵になる男よ。
さて、そろそろ駅に向かわなくては。

今回の最後のイベントポイントは、モグラ駅こと土合どあい駅。
前日駅を見た時に運休箇所があるような掲示があったため戦々恐々としていたが、どうやら土合駅は運休予定区間よりも先にあり、運休の予定時刻も夜半の想定のようだ。
とはいえ、天候条件によってはいつ運休になってもおかしくないのがローカル線。

そもそも田舎では、新幹線との乗り継ぎのない途中駅でひとたび降りると1~2時間は次の列車がこないこともザラなので、早く動きはじめるに越したことはありません。
というわけで、新潟寄りの都市部な区間を新幹線で一気に超えちゃおう。
燕三条→浦佐、新幹線二駅分。予備知識のない駅です。

3日目 8:00 浦佐 知らん駅前を歩こう

ぐっと雪原が増えて、視界が開けてきた。

起きてからまだ一時間しか経っていない。いいぞ。
正直、今日は昼下がりに家についても構わないと思っている。
明日は仕事があるし、雪国で限界まで体力を使い切ると、ひどい体調の崩し方をすることがあるのだ。


札幌は狸小路はずれの小綺麗なホステルの二段ベッド。熱を出して数時間寝込んだ、そんな記憶が蘇る。あれは、2017年は10月の上旬のことだったか。

あのときは鮭の遡上が見たくて、札幌市豊平川さけ科学館まで出向いたんだったっけね。氷雨のなか、藪をかき分け川べりを歩き…おまけに空振りだったという…毎度ながら、変な展開の旅ばかりしているなあ。

そのあと、なんとか体調を立て直して狸小路の「士別バーベキュー」で超うめえサフォークラムを食べて体力を回復し、翌日千歳川を歩いて鮭の遡上をついに実見したんだったかな。
話が逸れた。「わたしのサーモンラン」の話は、また別の機会にしようか。


とにかく、ここは浦佐だ。
さすがに、この駅で降りる人はあまりいないみたいだ。
どんな町かはあまり知らないのだが、偶然少し前に鉄道系のyoutuberさんの動画でこの駅の紹介を見た、ような記憶がある。
飲料水の看板、地味にいい雰囲気ですね。新しいものでありそうだけど、なんとなく書体の感じやピクトの感じが好ましい。

静かな階段…

広い…

越後湯沢ゆきは、30分後か。

きのこの…北研!ポッ拳みたいな響き。
ろうそく?お酒のとっくり?なにかの産地なのかな。

電話コーナー。一台だけ公衆電話があった。

あ、八海山ってこのへんなんだね。

というわけで、浦佐駅です。
この積もった雪、触ってみたけどカッチカチに固まっていた。この町は

ソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッ!!!!!!!!!!裸押合祭り!!!!!!!!!!!!!!!!

ワン・モア!!!!!!!ソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッソイヤッ裸押合い大祭!!!!!!!!!!!!!!!!!!
イヤーーーーーーーーーーーーーッハア!!!!!!!!!!!!!!!!

すみません。本当にどんな祭りなのかは知りません。
静かな町です。

新幹線の駅前なんだけど、近所の団地なんかの空気感。

味な看板。はっとり旅館書体よし。

「浦佐」でgoogle検索すると『浦佐 暇つぶし』がサジェストされる。
そんなかんじの人気も少ない浦佐駅だけど、駅の建物はやたらでかい。

新幹線の駅だってことを差し引いても、ずいぶんとでかい。
全体に広々としているといったほうが正確だ。
封鎖されている広大な待合室もある。

どうやらこの駅は、
・ウィンタースポーツがスキーからスノボへと流行が推移したこと
・団体旅行から個人旅行へと流行が推移したこと
・これらの状況変化の結果浮き彫りになった、「高崎~新潟間のスキーリゾート地の中ではかなり新潟寄り」という立地の不利で、もっと手前のスキー場に関東の客を奪われてしまったこと
などにより、その歴史的役割を終えつつある駅、であるらしい。
やたら広々とした空間は、団体や企画ツアーの人々が快適に過ごせるように用意されたものであったらしい。荷物多いものね、みんな。

ここにくるとスキーが劇的にうまくなるぞ!みたいな感じで、スキー道場・スキー教室などで知られる町ではあったらしく、10年ほどまえの駅前のスキー場の廃止はスキースキーの間ではそれなりのインパクトのある出来事であったそうな。

ただの放浪者なので、よくわからない。
あちこちに流されて、観察して、調べて、書き残して。
なんだかんだで現地ではエライコッチャになるだけだ。

雪国来たって実感湧く風景わね。
まあ、旅のエライコッチャっていっても、安全に配慮してますから気楽です。段取りと下調べが壊滅的な結果旅程がおかしくなっているだけだから、実は日常生活でもアドベンチャーは多数発生しているんだ。挑戦的だね。

なんだか内省的になってしまった。
雪国の一人旅は人間が演歌になる。
きっと凍結防止に撒かれた演歌カルシウムのせいだ。

雪国~っ!!て風景のミニチュア版。

情緒あふれるたたずまい、浦佐旅行社

かつてここに、雪ん子ラーメンがあった。

いい雰囲気の看板だなあ。

駅から見たときは街のスローガンが書かれたよくある看板かと思ったけど、近くまで歩いてきてよかった。
風情というものは、いつまであるかわからない。
なかったらなかったで、どうにでもなるんだけど…

※ちなみに、知らなくてスルーしてしまったんだけれど…この看板と逆方向に、もと首相、田中角栄の銅像があったらしい。

よっしゃよっしゃ。
「ごんべえのあいむそ~り~」、クリエーターが「ずんずん今日の野望」と同じってwikipediaに書いてあったけど本当かしら。お前…

時計をにらみながら、駅の周囲を右に左に…

観光案内所のレンタサイクル。
使えません。そりゃそうよ。

おすすめの一品、色使いが渋い。

裸押合大祭スタンプもぬかりなく押しておこう。

これ見て引き換えして用を済ませたり。

広々としています。人が多い時分には、こういうところも出店とかいろいろあったんだろうね。

駅のホームでちょっとしたイベントが発生。雰囲気的にインドの人っぽいガール二人組に、乗り換えが合ってるか尋ねられた。日本語できるっぽかったので日本語で対応。

フハハ!貴様らに親切にしてやる!!

ドアを自分で開ける必要があるのが把握できてなかったぽいので、降りる予定の駅でボタン操作を説明しにいった。ローカル線で乗り過ごすと待ち時間がえらいことになるからな。
「ともだちスタンプ帳」の精神にのっとり、互いに楽しい旅にしていこう。
…あとで聞いたところによると、六日町には国際大学があるそうで、そちらの留学生さんかも知れません。旅人じゃなかったかもなのか。そういえば観光客にしちゃあ日本語ずいぶん流暢だった。彼女ら、ちょっとしたエリート達だったかもわからんね。

旅人をもてなすことを忘れてはいけません。そうすることで、ある人たちは、気づかずに天使たちをもてなしました。

ヘブライ人への手紙 13:2 新共同訳

在来線のホームには、なにか古い感じのものがいろいろある。

なにかの謎の箱。

このスキー板のようなものは…カー・キャッチャー?

暴走列車を手で止めるための道具…なのか!?

左右。右の字がステンシルフォントなので「」になってるのが好き。

なんか中国っぽい雰囲気を醸し出す「左右確認」

ローカル線来てくれた!
いまさらだけど、除雪のため運休の予定になってる区間…この駅から2つ先の「六日町」駅までだったよ。新幹線ワープ、全然迂回になってなかったね。夜時間オンリーの運休だから、影響はなさそうだったけど。

雪原が目の前に広がっている。冬ですな。

在来線、混んでる列車とガラガラの列車に二極分化しがち。
18きっぷシーズンで乗り継ぎのいい列車になると、座ることすらできない事もままある。今回はそこまでひどい混雑ではなかったが、おもったよりも客席は埋まっている。

スキー用品を持った人々は、みんなここで降りていった。
いかにも観光地然としたたたずまい、駅の目の前がいきなりスキー場。
いまでもけっこうスキー人口いるんだなー。駐車場が満杯だ。

どことなく、北海道の氷原とはまた雰囲気が違うような気がする。風景がコンパクトにまとまっているのと、人の気配がどこかにあるせいかもしれない。

川は凍ってないみたい。さすがに北海道とは気温が違う。

しかし、太陽なんか撮影して、スマホのカメラ、大丈夫なのかな。

3日目 9:00 越後湯沢 装備を整えよう

ほどなく、列車は終点へ。
使われてないホームは雪の積もりかたがエグいな。

向かいのホームには、どことなくレトロなたたずまいの列車。カーテンのたたずまいが、古い商店街の小さなケーキやさんを思い起こさせる。

先ほどの列車の本名は…北越急行の列車「超快速スノーラビット号」。(また0番線だ!)なんと、2023年3月中旬を持って運行終了となるそうで。今日はが2023年の1月…期せずして、時代の変わり目に立ち会ったと。こういう旅をしていると、たぶんあちこちでそういう経験をしているんだろうな。

さて、こっちが重要。乗る予定の列車のスケジュール確認です。
新幹線で来て正解だったな、9:54に乗れそうだ。そして、次発が2時間後。
土合駅の滞在時間としては、ちょうどいいいくらいになりそう。本数少ないし終電早いし、ローカル線は少し時間巻いておかないと怖いんよ。

浦佐から一転、スキーと思しき荷物を背負ったたくさんの人々が集う駅。

その名も名高き一大観光地、越後湯沢…!

スキー…温泉…日本酒…人が雪国に求める全てがここにある。

雪の温泉町の情緒が駅前から漂う。そして駅前の一等地に輝くは

う        う
まラーメンショップま
い        い
!        !

広大な空間に立ち並ぶはお土産物店のワゴン達。

土合の滞在時間を考慮し、たべものを買っていこうとおもったんだけどな…

悩ましいのは、いまここでなにか食べておくかどうか。
立ち食いそば、もつ煮、笹団子状の物体…
魅力だけど、魅力なんだけど、東横インでもう朝食べてるじゃない。
お昼たべられなくなりそうじゃない。

ぜ い た く

あぶなく立ち食いそばで腹をふくらませるところだった。いや、水どころだからそばは別に「外れ」でもないんだよな。まあよし。
おみやげコーナーが開店準備でばたばたしはじめた。タイミングが間に合いそうなら、せっかくだから駅弁とおつまみなど買うのも乙かなあって…ローカル線でちびちび、雪見酒などね。
ぽんしゅ館、9時半からなんだ。そうしたら、だいたいどこもそのくらいに開店するんじゃないかしら。15分くらいで買い物すませればどうにかなりそうね。

越後湯沢駅、温泉施設があるんよね。酒風呂だよ。
さすがにこれに入ると列車を乗り逃しちゃうので今回は見送り。

店が、開いた!!

草薙京のポーズで決める駄目リーマン。

次から次へと誘惑が押し寄せてくる。

初志貫徹で駅弁でいくか。どれも似たような感じだけど、名前がかわいいから「すきすき弁当」でいくか…あっこれ豚すきやきじゃないか!家か!いいやもう手に取っちゃったから、これでいきましょう。うめえのはまちがいないよ。

すきすき~

(この弁当の選択が、運命の分岐点…大いなる因果の歯車がズレた瞬間であることを、ムイムイはまだ知らない。最終日だから軽く流すだけ、そんな旅程に何が待つのかは…かにのみそしる、いや神のみぞ知る…)

ホーム戻ってきただ。スピードワゴンはクールに去るべよ。

…この駅のホームについたとき、自分がこの状態の書類入れを持ったまま歩いていることに気づきました。普段は中身が見えないよう、順番や向きに気をつけて書類入れに入れるよう気をつけてたんだけどな。ちょっと恥ずかしい。ニッコリ~

ハイ、乗ります…

手荷物が多くなってしまったのだ!大きい旅リュック持ってくればよかった

3日目 10:20 土合 アビスに挑もう

窓の外には、深い雪。旅の最終日、雪国を満喫している…奥の左手に見える車両、見えますでしょうか。
これは、往年の寝台特急ブルートレイン。引退後にウィンタースポーツ客の休憩施設として、湯沢中里駅前に残されているのです。以前ここに来たときは、夏場だったのでスキー場施設がまるごと閉鎖中。駅もゴーストタウンのような妙に薄気味悪い静けさに包まれていました。いま途中下車すれば、中に入れるのかな…でも今回は、もうあそこまで行く気合がない。このへん、異様に列車少ないからね。本来の目的を優先しよう。

結局、まだ買ったお酒の瓶は開けないことにした。
越後湯沢から土合までは30分もかからないのだ。
そんなにお酒に強いわけでもないし、せわしないからね。

ちなみに、こういうループ状になってる線路がときどきあります。こういう地点はいわゆる絶景ポイントになっていることが多いのです。高低差が急峻すぎるので立体駐車場的なぐるぐるで距離を稼ぎ出しているのですね。

こういう地形では、航空写真で確認をしてみましょう。
山の周囲に巻き付くようにルートが形勢されているのがわかりますね。
つまり、「ループの外側の席」のほうが、遥かに地面を見晴らせる、景色を見るのに「よい」席、ということです。

一面の雪景色。

駅が近づいてくると、雪の厚みがわかる。

ムチャクチャ積もってるな。

電線の架橋のうえにすごい雪の塊ができてる。落ちてこないのかな。

そして、列車はほどなく目的地へ。

急に空の色が変わった。ここからは車窓越しではないナマの風景です。

去ってゆく…
土合駅、2時間の滞在です。

意外だけどこの土合駅、思ったよりも降りた人が多かった。
写真ではあまり人が映らないタイミングを選んでいるけれど、先ほどのホーム動画からはその気配がうかがえると思います。

「モグラ駅」が観光名所として知れ渡った結果かな?ローカル線の駅とは思えない。ふつう、ローカル線の途中の駅で乗り降りするのなんて、たいていはバズーカみたいなカメラレンズ抱えたお兄さんとか明らかにマニアっぽい人ばかりなんよね。

みんな、あっちに消えてった。

出口はこちら。

寝泊まり禁止だそうです。
終着駅ではないから、この駅で寝泊まりする人は駅泊自体が目的だっただろうからね。いまはそういうのは、あまりよくないかんじなのでしょう。

無人駅にしては、ずいぶん広い上に綺麗に片付いた駅舎だな。

昔の面影を残してカフェかなんかに改装されてるみたい。
ここでおべんとう食べられるといいんだけどな。

なんかムードがよくて、少し奇妙。

手できっぷを切ってたころのなごりだ。

駅ノート。

…大仁田?

やっぱ、こういうところに来て、こういうノート書く人には何らかのマニアやオタクが多いのかな。

お知らせ
壁に登山靴跡
良い思い出に非ず
お知らせか、ポエムか、警告か…

きっぷ売り場。駅員さんがきっぷの処理やってたころは、待ち時間長かったんだろうなあ。
なにやら警告っぽい看板がある。

一歩引いて、外を見てみよう。
外だ。

ようこそ日本一のモグラえき土合へ。

しかし、人が多い。ちょっとした都心部の美術館くらい人がいる。

東京方面に向かう上り線は、いま見ての通りの雪の世界。

そして…
みんな、このくらがりの先に広がる世界を見に来たのだ。

上越線土合駅、下りホーム。
地下70メートル、462段の階段の先にある地底の世界を…

はじまりました。階段…廊下…

階段…廊下…階段…廊下…まあまあ歩くなこれ。


ほどなく、すこし広い空間が目の前に現れます。
明るいけれど、なにか王家の墓でも暴いているような妙な気分になる。

管理用通路のような…

前方、急に壁の質感が変わり、そして…露骨に先が見えなくなっている。

ここからが本編ですね。

うねる配管!

続く階段!

両脇が砂利というか土というか、そういうのが丸出しになっている。
そういうものなの?

地底の大河か。

壁面から、水が染み出してくる…どころか、けっこうな勢いで水が吹き出していた。この吹き出し口のディテールを見た感じ、階段の左右は普通のコンクリ水路だったものが水分中の石灰かなにかが固まって自然な川のような見た目になったのかもしれません。

思ったよりあっさり地底に着いたぞ。

全体的に照明がしっかりしてるせいか、アプローチのトンネルまでの音書と違って不気味な空間って印象はないな。京成線上野近くに遺構の残る博物館動物園のほうがこわいかも。

さらに広大なトンネルに出た。

このフェンスの中にあるのは…使われていない線路なのかな。
黄色い点字ブロックの向こうが、ホーム本体みたい。

長いトンネル内だから、列車が来ると気圧の都合で風がすごい、らしい。

この広々とした空間、ホームから離れた位置でフェンス越しに列車の到着を待てるようにして安全確保しているのだろう。

待合室があった。

待合室の様子がおかしい。

ウワーッ!

ウワーーーッ!!??

遠野のオシラサマか、隠岐のシャーラ船か。
旅の記念が堆積し、まるで祈りか呪いのような迫力空間を生み出している。

大量のメモのなかには、有志に向けてマナーを呼びかけるものもあるようだ。(電車待ちがヒマすぎて雪合戦してるんだな…)
オンラインゲームとかで、倒れた冒険者達が後に続くもののためにメモを書き残すようなギミックがあるものがある。そういった感じで、ここのメモ群にも緩やかな交流があり、時間の連続性があるのだろう。

あらかわいい。
先輩冒険者達の言葉とイラスト、胸に刻みます…

…まあまあどうでもいいのもまじってるな?
匿名掲示板を「トイレの落書き」なんていう人いるけど、こういうしょうもなさこそがトイレの落書き性だと思うんよな。

CHAOS
カ オ ス

才能を感じる。清く正しいいたずらがきだ!
すごい良い感じ
(ところでこの紙、提出しないでここに貼ってよかったんですか?)

小部屋の片隅には、机が残されている。
ここで交流ノートを書いたり、メモを書いたりしているわけね。
有志がメモ貼り付けのためのテープやメモ帳も置いてくれている、と。

(あ、道中高崎で「だるま弁当」を食べた人がいるな…)

ウンコ、コックカワサキ、ウンコ、おしり探偵…小学生だ。

ウワーッ!
この交流ノート、書いた人が署名すると全員心臓発作起こすやつじゃん!

待合室、こっちの部屋は封鎖されてる。
ビア樽みたいなのが置いてある。なんかのガスとかが充填された防災用品とかかな。

ビールじゃん!

いろんな設備が、つい最近閉鎖された形跡がある。
ビール貯蔵庫になったタイミングも最近のようだ。
どうも調べてみると、待合室が比較的最近に閉鎖されたらしい…登山者が火気を使ってしまうからだとか。
無人駅なのに人が来る量が妙に多いから、いい面ではこういう交流が自然と生まれてくるし、悪い面ではマナーの問題が立ち上がってくると。
壁の足跡のマナー標語みたいなのも、そのような背景によるものみたい。

都合よく、列車が来てくれると写真映えするんだけどな。
いっそ、下り列車で越後湯沢まで戻って新幹線で帰るのも手かもしれない。
…けっこう初日の足代でお金を使ったから、節約しようかな…

ムイムイもメモを残し、ここを去ろう…
そう、目をそむけてきた事実に向き合わなければならない。
上り列車に再び乗るためには再びこの階段を登らなくてはならないのだ!

3日目 11:00 土合 地底脱出しよう

出口の看板が急に「駅」で笑っちゃうんだよな。

トンネルの常として心霊スポット扱い的なものもないではないようなんだけど、どうにもそういう雰囲気に感じないんだよな。ここで夜明かしした人とかは、全く違う印象を持つのかもしれないけど…やっぱ、駅泊する人多かったのかな。

ここから…462段!そして、初めの通路の24段!!
はじめの通路部分だけで100m以上あったんだね。

…登るっきゃ、ないんだよな。

ご丁寧に段数が書いてあります。
もう10段でしんどくなってるんだけど。

よく考えたら、初日の親不知、二日目の寺泊と延々と歩く展開ばかりなんだ。最終日に無理な行程くまなくて本当に良かった。

半分くらいまで来ました…

途中、1/3ぐらいごとに地元の有志の方が設置してくれたらしいベンチがあるんよ。

跡から来たのに、追い越され…
じりじり進んで、やっとトンネルの先が明確に明るくなってきた。

ホゲ~…ホゲ~…

自分の体重という、上昇負荷が…

一日一歩で1年がかり。そういう段数を登ってきた。

ついに登りきった!眩しい!

光のトンネルに、脱出成し遂げしものへのメッセージが…

う こ そ   土 合 駅 へ

先ほどまで薄気味悪く見えた空間が、明るい開放的な空間に感じられる。
汗が気持ちよい。
正面のドアの前に、大きい三角形の柱のような構造物がある。
地下ホームに列車が来た時の風圧の衝撃を和らげるためのものらしい。
この柱の向こうに…

143m24段の、長い連絡通路!「もう階段登らなくていいのね」と思った瞬間に存在を思い出させるんじゃねぇー!この赤の傍点をガラスに描いた人、絶対黎明卿みたいな良い笑顔してたと思う。

3日目 11:20 土合 お昼を食べよう

卒業式のような、明るくまぶしく、すこし寂しい気分だ。
この旅は、完結したな。

道路だ。そうか、この通路は屋根付きの歩道橋だったのか。
そういえば、モグラ駅としての土合以外のことを、なにも知らなかった自分に気付いた。
なんとなく雪の中にぽこっと駅だけあって、そこからどこにもいけない、なにもない。そんなイメージだったんだけど、どうも予想と違う空間のような気がしてきたぞ。

降りてみよう。
ちなみにこれは駅前風景…なにこれ、仮設駐車場みたいな空間、完全に満車じゃん。こんなに人いたの!?ていうか、車で来れるの!?

中間確認。ここまでで、1万歩ちょい。

まだ歩けそうだから、弁当の前にすこし周囲を散策するか。

外から見ると納得…あの通路って、こうなってたんだ。
外から見ると全然広さを感じないのが不思議だ。
当たり判定を突き抜けてエリア外から見てるバグダンジョンの印象。

ちょっと待って!バスまで来てるじゃんこれ!

おまけに、バスの本数、やたらと多いし!?

どうやらこの駅、秘境って感じの位置付けではないと完全に理解。
車でも電車でもアクセスできて、近くには飲食店も存在。
谷川岳へのアクセスルートとして、ロープウェイも至近距離にある。
そんな土地柄で、冬でも気軽に体感できる屋内アトラクション兼休憩ポイントとしてこの土合駅が機能してるという感じか…まさか、鉄道客以外も気軽に訪れていたとは。土合駅、なんかおみやげとか物販ないのかな、これ。

それでは、我々も雪遊びといこうか。

雪山の中腹でビバークするガマボイラー。
ガマって雪、大丈夫なのか?冬眠しないのか?
まあ、ボイラーもついてるし大丈夫か…
そもそも、ガマ怪人とはいえどっちかというとメカニズム的には人間か…

雪庇を避け、崩落を警戒し、あの頂きへ…

神 々 の 山 嶺!!

ム!

あの謎の金色のマークは…なにかの、瓶か?
この聖剣を引き抜きしもの、伝説となる…

ズボーッ!!

茶番とともに、雪で冷やされた「雪男」が現れた!!

へへへ、これがやりたくて重い荷物を越後湯沢から持ってきたんだ。

かろうじて見える駅名表示。

つららもすごいぜ。

まだ時間も体力もあるから、いまのうちに駅近くを散歩してみよう。
ロープウェイの駅までいくとけっこう距離がありそうだけど、逆方向の駅からすぐ見える範囲におみやげものやさんがあるっぽいんだよね。

みやげもの屋の駐車場にバケットがメッシュになってるバックホウがいた。

けっこうしっかりしてるじゃん。営業中だし。

めちゃめちゃかっこいいタイポグラフィ。

なんだ、かなりしっかりしたご飯がここで食べられたんだ。そして、このドライブインのおみやげコーナーでも180ml瓶の日本酒やカップ酒の形でご当地銘酒「谷川岳」が売られてるのを発見。雪見酒エントリポイントだ!!
土合、思った以上に居心地いい駅かもしれん。いいぞ。

ただ、冬場は昼下がりでもう店を閉めちゃうので、ラストオーダー時間も含めて注意しておこう。
もっとも、街灯があまりない、歩道もはっきりしていない雪の峠道を歩くことはあまりおすすめしないぞ。

駅から見えてた「土合ハウス」という民宿。二階がウッドデッキになってるおしゃれなペンションなのかな?と思ったら…

単純に雪で押しつぶされてたみたい。すこし前に廃業しているようね。

駅に戻ってきた。雪合戦してら。

駅の喫茶コーナーが営業時間になってた。
無人駅だけどカフェはきちんとやってるのね。
まだ時間はあるし、コーヒーでも飲みましょうか。

すごい雰囲気のいい空間だ…なんだか奇妙な感じ。

職員室に呼ばれたみたいな気分だ。でも、居心地はいいな。
しかし、思った以上にしっかり「店舗」していて、ちょっとこの空間でお弁当を食べることができる雰囲気には感じないな。ブレンドコーヒーで一息ついたら、そこのベンチで弁当をつかうか。

暇つぶしの本棚コーナー、すごいクラシックな喫茶店の空気感でいいなあ。おや、このまんが雑誌コーナー、なにか注釈が…

なんだこれ古いぞ!?

ウワーーーーーーッ!!
キミの背が低いのは遺伝ではない!
キミの低い背が3大秘訣でグングンのびる!
ひくい背を確実にのばす法!
モラルが低くてコピーが抜き身の刃物なのだ!時代…

ウワーッ御堂カズヒコ!!時代…向かいの向太陽の緊張感ある太陽と目線が「文脈」を帯びてしまい、味わいがある。

小山田いく。なんとなくかっこいい絵を書く漫画家さんであった。

静かな空間…

コーヒーを待つ時間…

屋根からはどんどん雪解け水がしたたっている。
北国というには温かい感じだ。日本海側とは違うような気もする。

ガラスストローだ。

CHILL OUT…

看板#2。落ち着き雰囲気。

看板#3。サブカルアングラ感。

謎の階段空間。駅舎のなかから外をうかがうためのものかな?

すっげえ氷柱。

すっげえ雪庇。

さっき片目で見た、どこか雰囲気がここだけ異質だった看板…
土合駅、谷川岳の玄関口としての側面があり…そして、
トンネルではなくて、この谷川岳が深く幽霊話と結びついているらしい。

上越線が開通した1931年(昭和6年)から統計が開始された谷川岳遭難事故記録によると、2012年(平成24年)までに805名の死者が出ている[8][9][10]。世界各国の8000メートル峰14座の死者を合計しても637名であり、この飛び抜けた数は日本のみならず「世界の山のワースト記録」としてギネス世界記録に記載されている[11][1]。こうしたところから、「魔の山[11][1]」「人喰い山」「死の山」とも呼ばれる。

(谷川岳 / Wikipedia)

そしてここにも、まだ真新しい入山者の創作情報が…さっきの雪解け水の感じをみても、いかにも恐ろしそうな山である。これだけの雪量があって、さっきの溶け方だもの。どれだけ不安定な山なのか…

野生生物の生活圏が拡大していて、こんな脅威も。

さて、いよいよ昼ごはんにしようか…アレ?



これアレじゃん!「孤独のグルメ」のジェットシウマイ的なやつ!

シュンシュンシュン…

なるほど、この隙間から湯気が…アチッ!普通に湯気だ!当たり前だけど。
食べてみたら、底はアツアツ、上はひんやり、て感じだった。
急加熱して急に反応が止まるからしょうがないか…混ぜて食べるような料理のほうがむいていそうだな。

中身はこんなんだった。生石灰、すごいな。昔、校庭用の白線引く石灰で体育倉庫が火事になった学校があった気がする。納得。

時刻表を見とくか。一応、気分気分…あれ?

さっき乗ってきた列車、週末限定の臨時のやつなんだ。
なるほど、観光客がメインのとこだと逆に「週末だけ電車が多い」なんてこともあるのか…っていうのか、アレがないと4時間待ちなんて状況にもなりうるのか、ここ。すごいなこれ。

ああ、記念になるものがなさすぎて、乗車駅証明書を「おみやげ」にしちゃう人もいるのか…ちょっとした記念品になる紙かなんかでも売ってくれればいいのにな、そう思わせる駅であった。

ふたたび列車待ち。あとは素直に、水上に出て、早々に帰ろう。

なんだかんだで、お酒、ひとくちしか飲んでないな。
でも電車内で飲めるように、ギリギリまで冷やしておくか…

え、あれ、何、ワラワラ乗車客増えて来てるんですけど!?

…のんびり車窓を眺めながらお酒、どころじゃなかったよ…
ストレートシートに、満載の乗客。

まあ、東海道線ほどではないとはいえ、主要な幹線ルートだからな…半島をぐるりとか、袋小路に向かうとか、そういうローカル線とはわけが違う。
こんな車内でメシ食ってお酒飲んで…なんてやれるの、常磐線の世界観くらいしかないよ…

常磐線の東京寄りゾーンが荒んでいるだけとはいう。

外でも見ながら、ゆるりとしよう。

ゆ  び そ

まあまあ疲れてきた。お酒、別に飲まなくても良かったのでは?別に強いわけでもないし…急に正気が帰ってきた。でも、雪でお酒を冷やすの、やってみたかったんだよね…


3日目 13:00 水上 過ちを犯そう

この人数が乗ってたんだもんな。おまけに荷物、多い、多い。

やっと一息。ここは何度も来てるんで、とうとうココまで帰ってきた!みたいな気分になってるけど、まだ高崎よりもはるかに北にいるんよな。

水上温泉郷です。

なんでJRのカニ関係の広告は頭がおかしいのか。

かにいいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃい
       かにいいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃい

       かにいいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃい
かにいいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃい







©JR東日本高崎支社…のマスコットキャラ、なのかな?谷川さん。

輪郭がない状態が「正しい」というか、この顔のイラスト部分が、谷川さんの本体らしい。

この顔のイラスト部分が、谷川さんの本体らしい。
いろんなアイコンと組み合わせた連作ポスターが掲示されている。

…やたら種類が多いぞ!?

谷川さんの概念化がどんどん進行していく…SCPか?

ついに谷川さんの「本体」が浸食されてしまった!若干ホラー!!

乗り継ぎまで時間があるし、駅前だけ撮っておこう。
たぶんスタンプくらいあるんじゃないかな?そういえば、この駅に前回来た時には、まだ「ともだちスタンプ帳」を持っていなかった気がするな。

つるし雛。

水上温泉のマスコットキャラ、おいでちゃん。

動いてるとかわいいんだけど、顔の形と髪型のせいで着ぐるみが棒立ちのとき若干Blenk Room Soup.avi感が出てしまい味がある。

狐の嫁入りだ。

お、ありましたありました。

四角いスタンプもあるぞ。さすが乗換駅兼温泉郷。力入ってる。

ヒィーーーーーーッ!!!!谷川さんッッあんたッどうして…

3日目 14:30 新前橋 状況を理解しよう

ここからはひたすら普通電車に揺られ、家まで帰るだけ…

風景から、徐々に、徐々に雪が消えていきます。

非日常を置いてゆき、関東の日常が帰ってくる。

さて、水上から東京に向かうときには、忘れてはいけないイベントがあります。

上越線が後閑ごかん駅に停車したタイミングで神経を研ぎ澄まし、視線をすばやく駅前に走らせます…あそこだ!あったぞ!

月 夜 野 き の こ 園 !!

はあ、満足。到着到着。

あとはゆるゆる、どこで晩飯食うかでも考えながら帰るべ。
ハイハイ、今回の地獄旅、おしまい!今回も大変だったね!
どこで晩飯食うかねえ。このルート、宇都宮って通るんだっけ?
じゃがいも入りやきそばでも求めて行田あたりで下車するか?
ここまで来れば、列車の本数も完全に都市圏のそれだべ。
どーとでもなるよ。あー疲れた疲れた。 地獄旅、完結!

…あれ?なんかあの自販機のシール違和感あるな。

あっ、もしかしてこれ、退色でチョコミント色に見えてるだけか!?

全然色違うじゃん。こんなことあるんだな。

・・・

・・・

・・・

ここで、事件がありました。

…いつか、やるんじゃないかと思ってた。

3日目 15:30 水上 大切な物の為に走ろう

状況がショッキングすぎて、そのときの写真を取り忘れていました。
それは新前橋駅、改札外にて駅スタンプでも押して写真を取ろうとしていた瞬間に発覚しました。
ないのです。
「ともだちスタンプ帳」が。

直前の出来事…すぐさま心当たりが思い浮かびました。
それでも、荷物の底に入っている可能性もある。
なかった。
この駅で落としたり、駅弁のごみといっしょに捨てた可能性もある。
なかった。
都内の落とし物センターに、連絡が入っている可能性もある。
つながらなかった。

この瞬間に備えるために、きょうは急いで行動していたのかも知れぬ。

利根川だったんだね、この川。

水上に戻っても、スタンプ帳はどこにもないかもしれない。
それでも、やれる事はやったと「納得しなくてはいけない」。

気がつけば、オリジナルグッズとして作ったスタンプ帳には本物の旅の思い出が積み重なっていった。「ともだちスタンプ帳」と付けた名前も、実際に旅の間の行動やキャラクターとしてのムイムイの物語にはっきりとした指針を示すものになっていった。この本は、本当の「魔法の本」になったのだ。

できることを、しなくては。
ムイムイのたからもの、「ともだちスタンプ帳」のために。

それはそれとして

ポイント倍点!!1

ゴカァァァン!!!!

3日目 16:30 水上 ともだちを大事にしよう

水上駅。
スタンプ台を見に行く。
ない。
意を決して、水上駅の駅員さんに聞きに行く。
「すみません、今日、スタンプ帳の忘れ物は届いていませんか?今日で、ほんの少し前の時間。色は茶色で…」

駅員さんは少し考えるそぶりを見せつつ、バックヤードに確認しにいった。
「すみません、それらしいものは届いている(!)のですが……ご本人と証明ができないと…」
「ああ、身分証明が必要なんですね。免許証か保険証で…」
「いえ、そういうとこじゃなくて…『あなたがこのスタンプ帳の持ち主である』と証明ができませんか…?」
!?
そんな事、どうやって証明できるって言うんだ!?
駅員さんは、ちょっと困ったような複雑な顔で教えてくれた。
「ええ、このスタンプ帳は観光案内所のかたが見つけてくださって…メールで連絡させていただいているはずなんですが…」
話の雲行きが今一つ良くわからない。慌ててスマホを取り出し、慌てて操作しようとしている最中にふっとひらめき、自分のスマホからムイムイが写っている画面を駅員さんに指し示した。
「ほら、ここ!たぶんこれと同じキャラクターが表紙に書いてあるはずです!これは、僕のキャラクターなんです!!」
「…まあ、いいでしょう。あなたのもので間違いなさそうですね。」

…みたび、上越線。夕方が近づき、先ほどよりもだいぶ空いている帰りの電車内で、涙がこぼれた。旅のさなか、人を助け、人に助けられ。また「ともだちスタンプ帳」に、新たな伝説の1ページが刻まれた。いや、しかし、こんなに心臓に悪いイベントは勘弁だ。今後はスタンプ帳はきちんとカバンに戻して運用しよう、ポケットはだめだ…(別のメモ帳もポケットに入れてたからちゃんと仕舞い込んだと手触りで勘違いしていた)

…冷静になってみると、駅員さん、なにか変なことを言ってたな。なんで、僕が手帳の持ち主であることをああいう形で確認しようといていたんだろう。なんだかもってまわった言い方だったような…メール?そうだ、メールって言ってたぞ。なんでメールの話が出てくるんだ?
メールアプリを開いて…えーとなんだ…「ともだちスタンプ帳」で検索…?
あっ!?


…教えてくれてたんだ!観光案内所のかたが!ご親切にも!!
そして…冷静になった頭で、ようやく何が起こったのかを理解しました。

そう、「いつかやるんじゃないか」と思ってたんだよ。
だから…備えていたんだ。
親切な人がこれを見てくれて、本当に、本当によかった…

全ての疲労と緊張から解き放たれた心に染み込んでくるのは、もちろん…

月 夜 野 き の こ 園

エピローグ 高崎 おうちに帰ろう

…早く帰る予定が、すっかり暗い時間です。高崎駅。

ライフゲージが…

スゥー…と

色を失っていく…

もう、これ以上のトラブルは避けたい。
ここで体調を崩してもしょうがないので、心身を休めるためにここからは新幹線で帰る方針に切り替えました。
週末パスが特急券購入で新幹線に乗れる仕様で助かった…追加出費、2510円…

さて、安心したところで腹も減ったし、なんか晩ごはんを調達しましょうか。だるま弁当という手もあるけど駅弁さっき食べちゃったんだよな。

三割うまい餃子の満州…悪くないね。店の場所は…フードコートか。

ム!ラッキー食堂ぐんま軒!?

イヨッシャアア!!!もつ煮定食だ!!!!地獄旅、完!!!!!






はい、これ。おみやげね。

お し ま い

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