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BATTLE2 まぼろしの酒寿司のまぼろし


男には、平日とわかっていてもきぬさやを茹でねばならぬ夜がある。

金属のボウルにご飯が盛ってあるだけでなにか韓国料理の気分になります。
さて、これから酒寿司というものをやります。

寿司酢の代わりに、この熊本で製造されている「赤酒」とよばれるものを炊いたごはんにまぶします。そういう、押し寿司というか、ちらし寿司というか、そういう系統のことです。

この赤酒というのが特殊なもので、灰持酒(あくもちざけ)というものです。

具体的な特性や製法、エピソードに関しては公式の説明を見ていただいたほうが早い気がする。ざっくりいうと、奈良時代より伝わるという旧い酒造りのワザ…かもした酒にアルカリ性の灰を加えることで腐敗を防ぎ保存性を高めたものです。

お酒ではあるんだけれど、普通のお酒とは雰囲気もちょっと違って、あまり酒臭くなく味はかなり甘めになっています。みりんとお酒の中間のような雰囲気というか…とにかく、まずは混ぜていきます。

ちらしずしの具ってこんな感じかな?という感じで、具を甘辛く煮ていきます。ところで、この酒寿司作り、一つ問題がありまして。

私、肝心の酒寿司というものを、一度も食べたことがないのです。
なので、全てにおいて雰囲気と気分で作っているのです。
さらにいうと、ちらし寿司自体作った経験はほぼありません。
市販の具で手抜きしようと思ったんですけど、市販の具、当然ながら「混ぜるだけでOK」…ということは、寿司酢色に染められてしまうということです。今回のコンセプト上、それはできない。手間がかかるなあ。

容器にできあがった酒飯を深さ1/3ほど盛り、表面に具をちりばめます。

再びご飯を入れ、圧縮プロセスを実行。100%になるまで繰り返します。
余った具を盛り、最後にキヌサヤ・タマゴ・エビなどの「映え」をあしらいます。
エビはハリボテテクニックを駆使し、一匹を両断して見た目だけ倍に増やします。
実験の最高潮です。

本来上から圧力をかけた状態でおいておくのですが、手軽に済ませるために
折りたたんだキッチンペーパーを梱包材としてタッパに封入します。
手続き迅速、梱包も丁寧でいい寿司ができました。ありがとうございます。

華やか~。
というわけで九州に伝わる郷土料理、「酒寿司」です。
古くは春先のごちそうとして知られ、お正月などのハレの日のごちそうとして…なぜ梅雨明け後の平日に作った!?

おいしいです。おいしいんだけど、うまく出来てるのかどうかは全く分かりません。酒臭いとか半発酵とかそんな記述を見た気もするんだけど、食べた感じは、優しいお味のちらし寿司と押し寿司みたいな…そうです。本やネットで「そういう料理があるらしい」と知って材料を探してそれっぽく作ってみたものの、本物を食べたことがないので何が正解かわからないのです。見てみるかよ、農水省のホームページってやつをよ…

>酒ずし 鹿児島県
えっ

材料のお酒が熊本で作られていたやつだったので、完全に熊本の郷土料理だと思いこんでたぞ!?ヤバイ!「これは熊本の郷土料理でさァ~」ってtwitterでうんちくまで吹いちゃった!ツッコミは…ウワーッ!つっこみが入っている!炎上火だるまチェーンソーだ!!

…つまり、こういうことなの?
俺は「そもそもどこにも存在しない郷土料理を勘で作っていた」の…?

農水省のホームページ、奇怪な名前の料理が多くて面白いです。
おすすめ。
君も上野原料理「せいだのたまじ」を作って友達に自慢しよう!

★★★ ミツボシ!
(★★★うまい)
(★★☆残した)
(★☆☆捨てた)

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