別に腐男子というわけじゃないが、何故か出会ってしまった「それゆけ!ラード君」という男同士の関係性の傑作

皆さんは僕とロボコという漫画をご存知だろうか。

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(上記リンクは電子書籍サイト、BOOKWALKERのもの
 上記リンクから購入した場合、特に損はないが
 記事作成者が紹介料という名の汚い電子書籍購入用コインを得る)

週刊少年ジャンプで好評連載中(2021年2月現在)のギャグ漫画である。
主人公機であるロボコのパワフルさや、
ジャイアンポジのガチゴリラの世界レベルの優しさ、
ジャンプパロディの巧さに後味の良い読後感。
その魅力を語ればきりがないのだが、
今回は僕とロボコ2巻に収録されている
それゆけ!ラード君という4コマ作品の話をさせて頂く。

僕とロボコ単行本では、
一話終了毎にその話に関連する4コマが番外編として載っているのだが、
それゆけ!ラード君もその番外編として掲載された4コマである。
ただし、ラード君は本編未登場のキャラクターであり、
その作風もギャグながらひどくビターなものである。


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僕とロボコ2巻より、筆者による模写

ラード君
額に「ラ」の文字があり、全身が常にラードでぬるぬるとしている。
体表が乾くと死ぬ。
表面上は常ににこやかだが、
笑顔の仮面で守るその内面はひどく繊細。

いくら番外編だからと言っても、番外がすぎるだろ!
筆者のファーストインプレッションはそれであった。
番外編で本編に登場すらしてないどころか、
世界観すら違う話が登場することなど、
流石に地獄甲子園ぐらいでしか見たことがない。

その上、それゆけ!ラード君は僕とロボコ2巻に2本収録されている。
下手すると、3巻に続くかもしれない。

さらに、その内容も衝撃だった。
初見でそれこそ「ぎょほほ」みたいな笑い方をしてしまった。

1本目はラード君とその友達ケンちゃんの友情を描いた4コマである。
4コマなので詳しい内容については伏せるが、
ラード君が常に笑う理由が明かされる4コマは、
ラード君の繊細な内面、ラード君の祈りを捧げるような友情の有様に、
ありえないほどに笑ってしまうと同時に、奇妙な感情に襲われた。

そして、2本目。
お相撲さんとぬるぬる比べを行うことになったラード君、
ラード君の内面が明かされるオチで笑うと同時に、
それゆけ!ラード君という関係性漫画としての秀逸性に気づいたのである。

いうて4コマギャグ漫画、それも2本しかない作品なのだが、
宮崎周平先生はそこで、どこまでも巧みに一方通行の感情を描いている。

ラード君はどこまでも少年の無邪気な残酷性に振り回されて、
欲しい物を得ることは出来ない。
しかし、それはただラード君が求めすぎているだけであり、
本来ならば得られる報酬ではないのかもしれない。

それゆけ!ラード君において描かれる内面はラード君のみのものであり、
ケンちゃんの内面はどこまでもその簡易化した顔に隠されて読めない。
ラード君が望むものを持っているのか、
それともただ無邪気に振り回すだけなのか、
答えの出ない関係性の続きを、是非3巻でも読んでみたいと思う。

なので、僕とロボコの単行本皆も買おうね。

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