運動神経とMBTIとFPSと4スタンス理論に囚われた男の話ー完璧な感度を求めてー

※追記 基準値表に間違いがいろいろあったのでいろいろ修正

限りなく妄想に近いのを承知で、万が一真実である可能性に賭けて一応文を残しておく

4スタンス理論というのがある。雑に言えば、人間の体の動きは人それぞれ4つのタイプに大別されるという理論である。
4つに分類できるかはともかく、人にはいろいろな性格があるように、いろいろな動きの癖があってもおかしくはない。というかそう思いたかった。スポーツマンに憧れを持ちながらも運動音痴だった私にとって、同一線上で後ろを走っているのではなく、自分のタイプにあったやりかた、たまたま自分の道を見つけられなかったがために足踏みをしていると思う方が希望がもてた。
ある日、ゲーミングPCを手に入れた。FPSが好きで、以前からマウスでプレイしてみたいと思っていた。考えるのは苦手だが、反復練習は割と好きな私は実戦そっちのけでエイム練習に勤しんだ。単純に銃が好きなのもあって、撃ってるだけで楽しかったし、実際に人とプレイして敗北を味わったり責任を負うのを怖がって避けていたのも原因としてある。
フルパならば敗北の責任を転嫁できるので、友達と集まれた日だけ実戦に向かった。エイム練習の成果はというと、練習していない友達よりは当たったが、どうにもならないほどエイムが強い相手もちょくちょくいた。始めたばかりのころは単に練習が足りないのだと思っていたが、何百時間も射撃場やエイムソフトに篭っていたところ、成長限界が見えてきた。といっても、FPSの撃ち合いはエイムも重要だけれども、始まる前の地形の形状やプレイスメント、ピーク幅や読み合いといった要素も大きく絡むので、実戦から逃げ射撃場にしかいかない人間が勝てないのは当たり前の話である。そんなことは百も承知で、もはや実戦のためではなく、エイムソフトのスコアを上げるためだけに練習する日々が続いた。しかし、スコアは簡単には上がらなかった。
ある日、設定を変えようと思い立った。マウス感度が重要なのかもしれないと思った。感度を変えて少し練習すると、ハイスコアがでた。どれだけ練習しても上がらなかったのに、だ。偶然というには運が良すぎる気がした。
バカの癖に完璧主義的な部分があったので、完璧な感度というものを探してみたくなった。それを見つけさえすれば、私は運動の才がないからエイムが良くないのではなく、単に設定が合わなかっただけなのだと証明できると思った。
そこから長い旅が始まった。
一日に何度も感度を変え、あれでもないこれでもないとスコアを計測し続けた。終いには0.01刻みで感度を変え、スコアを比較した。しかし、感度への慣れだったり、疲れの影響だったり、エイムソフトのシナリオ選択だったりが恐らく影響して、日によってスコアが大きく異なることが多かった。
しかも、スコアはよかったが実戦ではなぜか当たらないことも多々あった。
冷静に考えれば、感度を変えるより固定して練習したほうが当たるようになるのだ、また、エイムソフトのスコアはあてにはならないし、実戦を積むしかないのだと結論づけるだろう。だが私は冷静にはなれなかった。
先述したエイム以外の要素が重要であるという認識はあったし、その技量の未熟さは受け入れるつもりだったが、もはやそこの勝ち負けなどどうでもよかった。あるのかどうかもわからない完全な感度というものが、欲しくてしょうがなかった。
話は変わるが、またある日、MBTIという性格占い的なものに出会った。普段占いはやらないが、なぜか惹かれるものがあった。MBTIの理論について解説してくれたサイトがあったので、それを読み込んだ。
MBTIとの馴れ初めや考察については長くなるし本題ではないのであまり触れないが、簡単に言えば人の性格は16タイプに分けられるという理論である。そしてそれに従えば私はINFJ-tというタイプに分類されるらしい。
MBTI自体は疑似科学的な扱いを受けているそうで、実際私も真に受けたわけではないが、しかし提唱者の言いたいことはなんとなくわかる気がした。
今のところ自分の中では、要は「憑依型の役者」がやっているような、人間の性格に対する洞察、パターン認識を言語化したものではないかと思っている。
ここから妄想が急加速していく。MBTIについて調べたり、自分なりにあてはめて考えるうち、人の顔をみたり、声色といったわずかなデータを基に分類ができるようになった(と思っている)。問題はその分類法(自社開発)なのだが、イタコ芸のように自分がその人になりきることで分析を行うもので、まさに憑依型の役者であった。
人の性格を分類し続けるうち、あることに気が付いた。ゲームのプレイ中と、そうでないときの自分の気質が、MBTIによれば異なるのである。ハンドルを握ると性格が変わるのは聞く話だが、それと同じことを身近に感じた。
(厳密にいうと性格がまるごと変わったわけではなく、テンションによって一時的に異なる気質が表出しているのだが、詳説は省略する)
ここでふと、憑依型の役者は顔つきも体の動きも変わるという話、そして以前どこかで聞いた4スタンス理論の話が頭をよぎった。もしかしたら、性格と体の動作には大きな関連があるのではないか、そしてそれはMBTIによって分類できるのではないか、と思った。
MBTIでは認知のパターンと判断のパターンがそれぞれ4種あるとされている。直観的に、認知のパターンが4スタンス理論に対応しているのではないかと推論(電波を受信)し、研究が始まった。
スコアを記録し続けた日々の中で、一つわかったことがあった。ある感度を境に、急激にスコアが変わることがよくあった。その境の正体を調べたところ、どうやら、感度が「高い」と「低い」という感覚が切り替わるポイントらしいとわかった。もっといえば、マウスを振る手を90°動かしたとき(何をもって90°とするかの問題はあるが)、キャラが90°回転する感度、つまり体の動作とキャラの動作が1:1に対応するところより上か下かが重要なのだと推測できた。筋肉が弛緩した状態から力を入れて調整していくのか、力んだ状態から力を抜いて調整していくのか、みたいな話なのだと思う。
また、その境が周期をもってそうなこと(1:2となるポイントでも大きく変わるということ)。周期とは別に、境がもう一つあること。恐らく、手の動きを角度ではなく、移動距離(? 表現が思いつかない)でとらえるパターンがあることがわかった。
これを踏まえ、4つの感度パターンで、自分のテンションを意識しながら練習をしてみた。自分の中ではすごくスコアが良い感度が見つかり、これで終わりでもよかったのだが、理論を確実なものにすれば、クソエイマーの友達を強化しキャリーしてもらうことも可能だと思い、研究を続けることにした。矛盾するようだが、ここだけの話、自分より明らかに運動神経のいい友達が完璧な感度をみつけて練習すれば、自分なんかよりはるかに強いプレイヤーになれるはずなのに、HS率が10%を切ってフラグボトムにいても平然としているのには我慢ならなかったという、嫉妬に似た感情もあった。
ここからが何が真実なのか自分でも断定できない部分なのだが、4つのパターンで練習と実戦を更にこなしたところ、やはりそれぞれに対応して4つの気質に自分が変化しているように思われた。ベスト感度の時は、味方を誉めまくり士気をあげ、冗談で場を和ませる良きIGL、私本来の姿でプレイできていたが、ある感度の時は、積極的ではあるものの友達への罵倒と暴言が増え、ある感度の時は緊張状態になりネガティブ発言が増え、ある感度の時は鬼気迫る表情で黙々とプレイしていた。
結論としては、感度ごとに気質の変化があるのは間違いなかった。また、無理に本来の気質に戻した状態でエイムしようとすると、必ず拒絶するかのように吐き気を催した。実はこの吐き気は、他人を分類する際、特に自分と離れたタイプを憑依させた時に起こるものと一緒で(ちなみにISTJ,ESTJなど)、MBTIそのものが妄想なのでなければ、少なくとも感度と気質と肉体の状態に関係があるとは言えそうである(当然といえば当然だが)。
この推論を基にプロ選手の感度も調べてみた。私のタイプ、INFJの優勢認知パターンはNiなので、Niタイプの選手がいないかイタコ芸で診断し、通常時の表情とプレイ中の表情の差から気質の変化を推測し、身長や手のサイズのような肉体的個人差も写真からなんとなくくみ取った上で比較したところ、似たような感度に収束しているように見えなくもない気がうっすらした。ちなみに誰を診断したのかとその結果はなんか倫理的に言わない方が良さそうなので黙っておく。
また矛盾したことを言うようだが、本来の気質とは異なる気質でプレイしていると思われながら、高いパフォーマンスを出しているプレイヤーは無数にいた。気質と感度の一致が重要なのであって、本来の気質かどうかは比較的重要ではないのかもしれない。じゃあなんでもいいじゃんって話だけど。
つまり、感度を変えるか、感度に合わせて自分のテンションを変えるかの二通りのやり方があるといえる。ただ私の経験で言えば、前者の方がパフォーマンスの上限値は高いと思う。後疲れない。
参考までに実際の感度を書いておく。身長165、手のひら17あるかないかくらいの私の場合、
800dpi,valorant基準で、
Niタイプの時 横0.24以上  (縦0.25以下)
Neタイプの時 横0.22以下 (縦0.26以上 範囲が被らないので1/2倍して、0.13以上)
Siタイプの時 横0.36以上 (縦0.42以下)
Seタイプの時 横0.35以下 (縦0.43以上 1/2倍して0.215以上)
※エイムへの意識の仕方(目の使い方?)によっても多分タイプ変わるので参考程度に 理由はわからないが意識の方向の違いでNiとSe,NeとSiは入れ替わるかもしれない スコア上は表通りの方が高いが、実戦だと入れ替えた時の方がやりやすく感じる 

・体格に合わせて基準値を変える必要があるが、安直に考えれば大きいほど下げれば良さそう?
・縦の感度も考慮する必要があるが、横の動きとは大分違うメカニズムで動いているらしく、はっきりとした法則性はわからなかった。スコア上は、縦の基準値を求めたあと、なぜか、横が基準値より高い時は低く、低い時は高くするとよかったようにも見えた。理由はわからない
・ハイセンシでやりたい人はこれを2倍、4倍にすればいいはず
・当然マウスの持ち方、動かし方にも左右されるのでこれはあくまで参考値だが、以前話題になったryanguruコーチの動画を見て実践したところ、マウスの持ち方や動かし方の最適解は実は個人差は少ないのではとちょっと思っている。つまり体格差だけが問題なのかもしれない。

最大の難点は、そもそも自分がMBTI的に何タイプなのか診断する方法が少ないこと。診断テストは正直精度が高いとは言い難い。主な理由は、結局人は自分がどうであるかよりどうありたいかに囚われて中々冷静に自分を見れないからである。MBTIをよく知る人に直接見てもらうのが一番だと思うが、そんな人はあんまりいないし、自分からそう言う人はなんか怪しいから近づかないほうがいい。


何度も言うが妄想を垂れ流しているだけの可能性はかなり高い。
が、感度と気質が一致したとき、スコアが上がるのは私にとっては事実である。しかも練習量とはあまり関係なく、である(なんだかんだプレイ時間は多少あるし、感度以前の基礎的な経験を積んだアドバンテージは当然あると思うが)。
いってしまえばたかがハエ叩きゲームの設定が上手くいったというあまりにしょうもない話だが、それでもこれに気づいたとき、要領が悪く物事の上達が遅かった私にとって、一筋の光明に思えた。
このことを敷衍(というか超拡大解釈)して考えてみる。
Niタイプというのは比較的少数派らしく、参考になる先達が希少だったことがもし私の運動音痴の原因の一つだったのだとしたら、いろいろと納得がいく。というか運動だけでなく、他のあらゆる学習においても似たようなものかもしれない(Ni,Feタイプ)。
もし、もしこれが普遍的な真実なのだとしたら、各タイプ毎の学習方法を作れたのならば、それは中々有意義なことだと思う。もちろん能力の差が簡単に埋まったりするようなものではないが、私のように何をやってもなんか合わねえなって人間を減らせるならそうあってほしいと思う。


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