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西洋古典語のススメ

「西洋古典語」って何よ

「西洋古典語」というのは一般的に、「古典ギリシア語」と「(古典)ラテン語」の総称です。

「古典ギリシア語」はその名の通り古代のギリシア語ですが、「ラテン語」はあまり耳慣れないかも知れません。これは大昔のローマの言葉です。ローマといえばイタリアの首都ですが、この場合は「古代ローマ」「共和政ローマ」そして「ローマ帝国」を指します。

西洋古典語はヨーロッパでは伝統的に初等・中等教育に取り入れられ、あらゆる教養の礎として位置づけられていました。現在でもヨーロッパでは、中学校や高校などで西洋古典語を科目として選択できる国があります。そういう意味では、日本で言うところの古文・漢文に近いかも知れません。「ガチで使われることはないけれども、ときおり現代文の中にひょっこり顔を出す」という意味でも、なおさらそう感じます。

ギリシア・ローマはともに人類史に燦然と輝く文明を築き、その遺産は言葉とともに世界中の地域に引き継がれてきました。ラテン語はローマ帝国の滅亡後もフランス語やイタリア語の源流になりました。またキリスト教や学術などラテン語が長い歴史の中で共通語として使われてきた分野もあります。そしてギリシア語もラテン語も、少なくない語が学術用語をはじめ今日も英語の中で生き続けているのです。

「教養」「古典」というとちょっと、いやかなり敷居の高いとっつきにくいものだと思われるかも知れません。いやぶっちゃけ実際、敷居は高いです。でも、これを勉強したあかつきには、素敵な特典がいっぱいついてくるのです。

たとえば…

難しい英単語が簡単にわかるようになる

“anthropocentricity”(人間中心性)という英単語があります。centr…から「中心」はかろうじて読み取れますね。ただ全体的に何がなんだかわかりません。ところがギリシア語が読める人にとって、“ἄνθρωπος” (anthropos)というのは「人間」というごくごくありふれた単語にすぎません。先ほど「人間中心性」と漢字で書いた言葉からおそらくほとんどの読者がイメージが摑めたのと同じように、たとえ“anthropocentricity”という概念自体は知らなくても元のギリシア語に立ち返って意味を復元することができるのです。

“center”は元から知ってたもんねというあなた。そもそも英単語としてありふれているこれ自体が、“centrum”というラテン語、元を辿れば“κέντρον” (kentron)というギリシア語から来ています。あまりにも言葉として便利すぎて、いつのまにか「最初から英語でしたけど」みたいな顔をして中学校で習う初級単語に紛れ込み、基礎語彙になりすましているのです。

それだけじゃないですよ。形容詞を作る“-ic”もラテン語の“-icus”から、度合いを表す”-ity”もラテン語の“-itas”から来ています。要するにこれら全てが、よそからの借り物でできていたわけです。

英語の「学術的な難しめの専門単語」は、その多くがギリシア語やラテン語、ないしそこから派生した造語で占められています。

しばしば日本の英語教育ないし専門教育ではこの事実を伏せたまま膨大な複合語を暗記させられますが、単語を最初に使い始めた当の張本人達はちゃっかり西洋古典語の教育を受けていたので、みんな元の意味がわかっていたわけです。

ギリシア語やラテン語の中にあるありふれた単語の素さえ覚えておけば造語としていくらでも英語の中に展開できるので、わざわざ丸暗記するよりも圧倒的に効率が良いのです。

英単語の不可解な現象が説明できるようになる

“phenomenon”の複数形が何故か“phenomena”だったり“symposium”の複数形が何故か“symposia”だったりとたまに理解不能な不規則変化をする英単語の複数形ですが、これも前者がギリシア語、後者が(ギリシア語由来の)ラテン語としてそのまま英語に取り入れられたことを知ると、カラクリがわかってきます。ここでは詳しい説明は省きますが、ギリシア語もラテン語も、「そういう種類の名詞はそういう場合にそういう変化をする」のです。

こちらも日本の英語教育では何故そうなるのかについては立ち入らず、出てくるたびに「例外」として一つ一つ覚えさせられます。一方で西洋古典語の素養があれば、何一つ不思議なことはありません。

難しい英文法が簡単に見えてくる

現代英語には「仮定法」などに代表されるように、言語が長い歴史の中でだんだん簡潔に表現されるようになっていくうちに、却ってその文法体系を形の上から摑みにくくなったものがたくさんあります。

その点で複雑な文法事項をたくさん兼ね備えている西洋古典語は、最初こそとっつきにくいですが、どんなヨーロッパ言語を学ぶ上でも必ず応用が利く文法上の様々な概念や仕組みがイヤでも身に付きます。

それらを一通り通り過ぎたあとで英文法に立ち返ると、英語を第一外国語として学習していた頃には持てなかったような視点から英語を見つめ直すことができます。それは必ず、英語力の底上げにも繋がります。

恐竜の名前の意味がわかるようになる

恐竜の名前は和名をつけたりせず、ラテン語の学名で呼ぶのがならわしです。「ティラノサウルス」「トリケラトプス」「アンキロサウルス」「オルニトミムス」「プテラノドン」、いずれも単なるカタカナを羅列した固有名詞のように見え、あまり具体的な意味は感じられないかも知れません。これもギリシア語・ラテン語の知識があれば…

ティラノサウルス tyrannosaurus = τύραννος 暴君 + σαῦρος トカゲ
トリケラトプス triceratops = τρεῖς 3 + κέρας ツノ + ὤψ 顔
アンキロサウルス ankylosaurus = ἀγκύλος 曲がった + σαῦρος トカゲ
オルニトミムス ornithomimus = ὄρνις 鳥 + mimus そっくり
プテラノドン pteranodon = πτερόν 翼 + ἀν- ~無し + ὀδούς 歯

と、ド直球で恐竜の特徴を並べ立てたメッチャ親切なネーミングだったことがわかります。西洋古典語の素養がある昔ながらの知識人達にとってみれば、私達が聞き慣れないこれらの語感も、あたかも日本語でいうところのわかりやすい漢字が並んでいるようなものにすぎないわけです。

ネーミングセンスが爆上がりする

日本語のカタカナ語の中にも、英語などを通じてギリシア語・ラテン語由来の言葉が多数流入しています。たとえギリシア語やラテン語は知らなかったとしても、人生の中で触れてきた似通った響きを持つ言葉のイメージを想起させることで、多くの人が「なんとなく知的」や「なんとなく耽美」といった“匂い”を感じ取ることはできます。

そんな有利な“匂い”を帯びた言語を自由に操ることができれば、「何か知らんけどカッコいい単語」を自分で作りたい放題です。

創作呪文が書けるようになる

異世界もの、剣と魔法のファンタジー世界を創作する上でも、ギリシア語・ラテン語は大いに役立つことでしょう。何しろ羅作文、希作文が自由自在にできるようになれば、「非常に説得力のある呪文の詠唱」が自分で書けちゃうんですよ。これほどまでに中二マインドを満たしてくれる言語、そうそうありません。

ラテン語の表記に使う文字は英語と同じラテンアルファベットですが、古式に倣って全て大文字で表記すると言いようのない威厳に満ちてきますし、ギリシア語もギリシア文字でアクセント記号も含めて正しく表記するととても美しい見た目を構成します。こちらも古式に倣って全て大文字で表記すると独特の偉容を醸し出します。

といった感じで、西洋古典語を勉強すると人生の中に楽しいことや役に立つことがたくさん増えてくることがおわかりいただけたと思います。

とはいえ、どうやって勉強すればいいのでしょうか。私自身、まだまだ勉強の途上ではありますけど、これまである程度には嗜んできた経験からいくつかご紹介してみます。

独習してみる

とりあえず興味を持たれたら、まずは独習書を手に取ってみてください。大きめの図書館なら何かしら必ず置いてあると思います。

独習のメリットは、何と言っても

・費用が比較的安い
・好きな時期に気軽にスタートできる
・自分のペースで好きな時間に学習できる
・忙しくなれば一旦中断もできる
・その気になれば何度でも繰り返せる

といったところでしょうか。

古典ギリシア語・ラテン語の独習にあたっては、下記のテキストをおすすめします。

これらのテキストはいずれも文法の解説のみならず練習問題と解答がきっちり完備されていて、自分で実力ステップを確実に見極めながら進めていけるのがポイントです。

またある程度ふらふら周回を繰り返してきた私から見て、文法事項の説明の仕方がとても親切で初心者向けに工夫されているなと感じるところが多いです。ギリシア語で「呼格」と「双数」を思い切って省いてしまうと、こんなにも変化表の見通しがよくなるものなんだなとしみじみ思いました。

紙の本もいいですが、私は敢えてKindle版をおすすめします。電車の中やお昼休みなど、どこにいてもスマホやタブレットさえあれば勉強ができます。継続的な学習が重要となる語学では、こうしたスキマ時間の活用も大切なのです。

ただし、文法事項の説明を読むときはそれでいいのですが、逆に練習問題を解くときは必ずノートを用意して鉛筆で書いてください。面倒でも自分の手で書くことで、確実に身に付きます。というか、原文を一度書き写して鉛筆でマークしながら文法的な解析を行った後に逐次訳出していくという一連の作業を介さずにいきなり翻訳するだなんて離れ業はまず不可能なので、どうやったって紙と鉛筆は必要になるんですよ。

また、基礎は何度やり直しても無駄ではないです。1冊といわず第二、第三の文法入門書を買ってまた最初から復習してみるのもいいでしょう。ひょっとしたら前の本では触れられていなかった知識を得るラッキーもあるかも知れません。とりあえず一つの本冊を完走する頃には、「次はこの本が良さそうだな」という勘も身に付いてきます。

先生に習ってみる

独習ではちょっと心許ない、なかなか続かない、何年もちょっと囓っては投げ出してる、という方は、ぜひ教室で先生に習ってみることをおすすめします。

授業形式での学習のメリットは、

・決められたスケジュールでがっつり取り組むので確実に実力がつく
・学習の上で生じた疑問を先生に質問できる
・他の受講者の質問を通じて自分にない視点での気づきを得られる
・他の受講者の存在が学習の励みになる

といったところでしょうか。やっぱり仲間がいるというのは何事も心強いものです。

大学生の方々は、学内で古典語のクラスが開講されていれば、ぜひそちらを受講してみてください。そんな恵まれた環境は、一生のうちでも今だけです。学部違いなどで正規の履修単位にならなくても、学ぶ意欲のある学生に対して特別に受講を許可してくれる場合があります。教務に思い切って相談してみましょう。「学びたい」という学生を無碍にする教育者なんていない、と私は信じています。

東京近郊にお住まいの方であれば、私もお世話になったアテネ・フランセの古典語コースをおすすめします。土曜日開講クラスがあるので、社会人の方でも通えると思います。平日昼や夕方のコースもありますので、詳しくは事務局に確認してみてください。

アテネ・フランセで古典語を習い始めるなら、特に今の時期がおすすめです。土曜日クラスはギリシア語・ラテン語ともに夏期講習での体験講座から始まり、秋学期で入門、冬学期で初級(ギリシア語は春学期も引き続き初級)、そして実際に文章を講読する中級クラスへと進んでいきます。

ただ独習と違って、同時に受講すると色々と大変です。ギリシア語かラテン語か、まずどちらかに絞って始めてみてください。

特に「興味があって本を買って勉強してみたけど全然続かなかった」という方には断然おすすめです。ひとたび入学金と授業料を払ってしまえば、よっぽどのお金持ちでない限りは授業料の元を取らんがために毎週必死に予習復習と課題をこなすことでしょう。それが実力になります。

もっと詳しく勉強してみる

基礎的な文法を一通り学習した後で、いや、している途中でも、ぜひとも読んでみていただきたい本があります。

まずはこちらの本。古典ギリシア語の文法事項を、これでもかと詳細に分析し解説しています。

かなりお値段の張る本ですが、アクセント規則から動詞の活用に至るまで、これを読んで初めて「腑に落ちた」ことが数え切れないほどありました。どうしても暗記暗記になりがちな古典語学習ですが、一見不規則に見える活用が何故そうなったのかを歴史的な経緯や変化の法則を交えて丁寧に解き明かしています。中でも「本当の意味での不規則動詞は存在しない」という強火の言葉が頼もしかったです。

ステップアップ後の実力固めのみならず、初心者が学習中にチラ見することでより理解を深めることもできると思います。まあ9000円の本を躊躇無く買えちゃう初心者ってナニモンだよって思わなくもないですけど。

ラテン語では、こちらの本をおすすめします。

同じ白水社からの刊行で書名も似ているので対になるものかと思いきや、こちらは少し趣を異にします。

こちらは1冊の本の中で明確に難易度の傾斜がつけられていて、その気になれば入門書として取り組み始めることもできますし、ある程度実力のある読者も復習とステップアップに最適です。そして最後には実際の文献の講読へと至ります。註や模範訳文も完備されています。付録にはドチャクソにマニアックな項目が並んでいます。

とにかくたくさん読んでみる

文法を一通り押さえた後は、できるだけたくさんの洗練されたギリシア語・ラテン語の文章を読み込んで、講読の訓練をするのが良いでしょう。それ用の本もたくさん出版されています。大切なのは、ちゃんとお手本の訳文が掲載されている本を選ぶことです。トンチンカンな誤訳を放置したまま先に進むと大変なことになりますからね。

また多くの洗練された文章を読むことで、少しずつ自分の中にも引き出しが生まれてきます。並行して簡単な日記でもいいので、少しずつ文章を書く訓練もするといいでしょう。ただしこれはもう正解とよべるものがないので、ギリシア語として、ラテン語として自然かどうかを堪能な人に講評してもらうしかないのですが。

そうなると、やはりそこから先は読むにも書くにも「教室に通う」という選択肢しかなくなってきます。もちろん、そこまでたどり着ければ凄いことです。

辞書を引いてみる

辞書は色々とあるのですが、初心者にはまずウィキペディアの辞典版「ウィクショナリー」、その英語版をおすすめします。

どんな語形変化をしていても本文検索から捉えることができ、無事に見出し語に辿り着ければ網羅的な変化表が掲載されています。だいたい語形変化表というのは教科書にほんの一握りの代表的な単語のものだけが掲載されているもので、Webなのをいいことにこんなに何でもかんでも変化表を完備しているド親切な辞書というのは、ちょっと他には思い当たりません。

なおこれには日本語版もあるにはあるのですが、古典ギリシア語は語彙数が少なく、またラテン語は動詞の見出し語が辞書の大原則から外れていて使いづらいなど、語学学習に活用するには種々の問題があります。

ほかに無料で使える辞書としては、シカゴ大学の“Logeion”もおすすめです。こちらは、昔ながらの辞書を電子化したものです。使うにはコツがいります。ある程度まで学習が進んできたら、これを使って語形変化を自分で分析して適切な見出し語を見抜きそこから辞書を引く習慣をつけた方が、今後のためにも良いでしょう。

古典ギリシア語ではLSJ、ラテン語ではL&Sといった代表的な辞書が収録されています。パブリックドメイン入りの強みです。こちらはスマホやタブレットのアプリとしても提供されています。

ただ、「パブリックドメイン入り」というのはすなわち「めっちゃ古い」という意味です。言葉は生き物なので、時代によって、また研究の成果によっても意味や解釈は変わっていきます。

というわけで「辞書を引く」という行為に慣れてきたら、最近出版されたこちらのギリシア語辞典をおすすめします。

こちらは定義が現代に即して端的にわかりやすく記述されています。Twitterでも話題になっていたので、ご存知の方も多いかも知れません。従来の辞書ではどうにも意味がぼやけて腑に落ちない時は、こちらを引いてみると竹を割ったような直球の訳語にたどり着けるでしょう。

名作古典を読んでみる

ありとあらゆる場面で日々引用される、有名な古典ギリシア語・ラテン語の文献。それらの原文に手軽に触れることができるのが、タフツ大学が提供する「ペルセウス電子図書館」です。

教科書でも紹介されているような歴史上の偉人達の著名な作品をはじめとして多くの歴史的な文献に無料で触れることができます。慣れないと、ちょっと使いづらいかも知れませんけど。

たとえば例を挙げると、ソクラテスの「無知の知」は、プラトンの『ソクラテスの弁明』のこの箇所が出典です。

教科書にも載っているあれの、これが「元ネタ」なのです。他にもギリシア語・ラテン語の文献にはそんなのがたっくさんあります。探してみてください。

また大きめの洋書コーナーがある本屋さんならどこでも置いている、ハーバード大学出版局の“Loeb Classical Library”。こちらもWeb化されています。

こちらは有料で初年度$170 USD、次年度以降$70 USDとなかなか強気なお値段です。紙の本と同じ体裁で英語対訳になっているので、そちらに慣れ親しんでいる人にとっては読みやすいは読みやすいのですが、その値段でこれは色々ともうちょっとどうにかならんものかなぁという感じは正直あります。

個人の場合は、こちらのページから申し込みます。

これで元が取れるかどうかは人それぞれでしょうが、「あのLoebが手元に揃っててどこに居てもすぐ読める」という安心感は、なかなか得がたいものがあります。

聖書も読んでみる

新約聖書も、実は原文はギリシア語で書かれていました。もっとも新約時代になると「古典ギリシア語」とは独立した「コイネー」という区分に位置づけられます。当時の地中海東部で共通語として話されていた口語です。とはいえ、文法や語彙が古典期からビックリするほど変わったわけではありません。古典ギリシア語を習っていれば、そのまま読めます。

多数の独立した文書が教会から教会へと書写されて伝播し「新約聖書」として正典化されるまでには、様々な紆余曲折がありました。「原本」は遠い昔に失われていますので、その本来の姿を描き出すことは容易ではありません。

そんな新約聖書のギリシア語原典を数多の写本から丹念に復元したのが、「ネストレ=アーラント」という本です。これは近代の聖書学の研究成果に基づき、より原典に近いと思われる読みを確定させて本文として提供し、かつ異読も欄外に網羅的に掲載した新約聖書学の必携中の必携書です。現在の最新版は「ネストレ=アーラント28版」、略して「NA28」。

私のおすすめは、電子聖書アプリ「Olive Tree」のダウンロードコンテンツとして販売されている“NA28 with Critical Apparatus, Mounce Parsings, and Concise Greek-English Dictionary of the New Testament”(「NA28・本文批評欄外注記・マウンス語句解析・新約聖書希英辞典縮約版つき」)です。

お値段は$99.99 USDとなかなか張りますが、「ひとつひとつの単語の意味や文法的語形解析、見出し語形をワンタップで表示してくれる」「写本ごとの異読を表示してくれる」など便利な機能が多数搭載されています。

そもそも「NA自体の使い方がよくわからない!」という方、ご安心ください。日本聖書協会から日本語で便利な本が出ています。

ギリシア語で新約聖書を読む。日頃から新約聖書に触れているクリスチャンの方々はもちろんのこと、教養として世界中で読み継がれてきたこの書物をマスターしておきたい方にもおすすめします。「新約聖書をギリシア語で読んでる日本人」。そんなレアキャラは世界中どこへ行っても放っておかれないはずです。

ただ、気を付けてくださいね。次の版(NA29)、たぶん数年以内に出ます。例によってそんな大して変わるわけではないとは思いますが。

「Olive Tree」では他にギリシア語訳旧約聖書(「七十人訳」)やラテン語訳聖書(「ウルガタ」)といったバージョンも配信されています。こちらもご興味のある方は、ぜひ。

「生きたラテン語」を読んでみる

ローマ・カトリック教会の中心であるバチカンはラテン語を正式な公用語とし、現在でも公文書などでラテン語が用いられます。世界でも数少ない「生きたラテン語」が使われている場所なのです。

ローマ教皇フランシスコのTwitterアカウントは英語をはじめ言語別にいくつかありますが、こちらのアカウントではラテン語でメッセージが発信されています。

同時刻に同じ内容が各言語版アカウントでツイートされていますので、あわせてフォローしておけば実質的にラテン語との対訳になります。これは語学学習には非常に有用といえるでしょう。

半日程度のタイムラグはありますが、日本のカトリック中央協議会が翻訳アカウントを運営しています。ラテン語アカウントのツイートを和訳をしながら答合わせの邦訳を待つのもいいかも知れません。

ただし性質上、多くの語彙にキリスト教独特の用法などがある点にはご留意ください。

とりあえずは!

長々と書いてきましたけど、ここで紹介できなかった本やサイトで古典語の学習に大いに役立つものは、まだまだたくさんあります。

まずは、でっかい本屋の「その他のヨーロッパ言語」コーナーに足を運んで、いろいろ実際に手に取って読んでみてください。これだ!と思う本があったら、勢いで買ってみてください。

またTwitterなどSNSには古典ギリシア語やラテン語の話をしている人がたっくさんいますので、どんどんフォローして交流を深めてみてください。色んなこと、たくさん教えてくれると思います。

私もまだまだ学習を続けていきますので、よければ一緒に勉強してみませんか?

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