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折り紙作品「ワライカワセミ」について

今回のワライカワセミの創作の動機や過程、創作方法などをお話いたします

創作の動機

もとよりワライカワセミという鳥を知っていまして、あらためて見ると、実にインサイドアウトに相応しい見た目をしていることに気が付きました。鳥類の創作経験はゼロに等しいこともあり、創作対象を決めました。

展開図

ワライカワセミ完全版

こちらが展開図となります。鶴の基本形が2つ繋がっている構造がよく分かりますね。

創作過程

まずは、ワライカワセミの特徴を洗い出します。目から頬にかけての黒褐色の毛、ひし形に近い形のクチバシ、濃褐色の背中と翼、など。主にインサイドアウトという技法を用いる、複数色の使用で特徴付けられそうです。

インサイドアウトの技法を用いた創作の際に、僕は通常「カド」を思い浮かべます。紙の外縁部からカドを折りだして紙をひっくり返せば、紙の裏が出ます。これを利用して、頭の大まかな構造を構想します。

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これが、頭の中に出てきた、程よい位置にカドが出る折り方でした。最終的な展開図とは随分違うように見えますが、この折り方は頭の構造の根本に残っています。簡略化は為されましたが。

頭の構造が決まってくれば、あとは実際に紙を動かして試作です。欲しい形が出るように、見慣れた形、折り方を目指して紙を動かしていきます。その方法論の関係上、写真があまり残らないのですが…

次に力を入れたのは、翼の造形です。鳥の翼は、風切羽などが実に美しい層をなしています。それを、おおまかに2つのパーツへと分解しました。羽の根本と、そこからほぼ平行に、重なりつつ伸びる風切羽です。このような簡略化作業は、僕の創作に大いに役立っています。あとは、また紙を動かして、欲しい形を探ります。こういった過程は、かなり経験に頼ったものになります。

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頭と翼を出せる最も簡単な基本形を考えたところ、鶴の基本形に白羽の矢が立ちました。しかし、足が貧弱…つまり、足を折りだすのに十分なカドが必要とされるわけです。ここで僕は、翼が必要とする領域に目をつけました。

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水色の線よりも右上側が、翼の範囲です。つまり、この範囲を確保するに十分な領域を対角線上に付加してしまえば、カドが二股になり、足に使えるカドが出てくるわけです。ややこしい話ですが、簡単にカドを増やせる手法です。

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詳細は省きまして、今回の比率算出は、このような作図を元に行われました。先程の展開図と合わせてご覧いただくと、理解しやすいかもしれません。

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前述の作図に基づいて、鶴の基本形をはめ込みます。特に問題も無さそうなので、試作に取り掛かります。

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特に波乱もなく、無事試作が成功しました。再現可能性も高そうなので、これで創作はほぼ完了でしょう。

本折り

創作というのは、設計だけではありません。勿論、作品として形にします。

今回は、インサイドアウト作品ということで両面の色が違う紙が必要です。更に、ある程度の大きさも求められるでしょう。そこで、色の違う和紙を張り合わせることにしました。

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使ったのはフエキ糊と筆、そしてプラスチックコップ。後々にわかりましたが、筆よりも柔らかい刷毛のほうが絶対良いです。

フエキ糊を水に溶かします。僕は、真っ白に濁るくらいまで濃くして使いました。そしてそれを、和紙に塗布します。乾かないうちにもう一枚の和紙を貼り付けて乾かせば…

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完成!和紙の大きさが違うので、フチは切り落とします。やや気泡やシワが目立ちますが、精神衛生のために無視します。

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しかしいざ折ってみると、非常に厚い。何もしなくても勝手に立体的になりますが、そんなこと望んでいない。ああ分厚いなぁ…と思いながらずっと折っていました。フエキ糊によってコシが生まれていたので、まだ良かったものの。

完成

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完成形についてはTwitterの方で盛んに触れているので、あまりお話することはありません。ともかく、完成してよかったです。

おわりに

本記事は、作品そのものでは無く、創作の一つの方法について詳しくお話しました。折り紙を創作したい!と願っている人の一助にでもなれば、と願っております。

ここまで、長々と文章を連ねて参りました。読みにくいところ、分かりにくいところなど多々あったでしょうが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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