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【エッセイ】ゆっくりどうぞ

平日の昼下がり。

セルフレジの狭い出口に向かうと、
前の女性が私の気配を背中で察知して、
慌ててセルフレジの出口へ急ごうとされた。

『急いでいません!』

喉から出そうになった一言をのみこんだ。
焦ってる様子だったので、
声を掛けない方がいい気がしたからだ。

女性は背中がふんわり曲がっていて、
カートの傘立てに赤い杖をさしていて、
80代と思われる方だった。

その方は慌ただしくセルフレジのレシートチェック後、
ゆっくりと一息ついて背を伸ばし、
体勢を整えてからカートを押してお店の出口に向かわれた。

ふだんは可愛い赤い杖と歩かれてるんだろうな。
そんな風に見守りながら、
追い越さないようにゆっくりと出口に向かった。

自転車での帰り道。
そういえば70代の母は、
「機械音痴で怖いし、セルフレジなんて挑戦できんわ」
と言ってたなと思い出した。

分からないことはお店の人に聞けばいいよというと
「店員さんにつきっきりで教えて貰っても次には忘れそう」
とかなりビビっていたことも。
そしたらまた聞けばいいよ。お店の人は怖くないから大丈夫だよと言い聞かせたが、怖くて挑戦していないそうだ。

さっきの女性は母より10ほど年上だったように見えた。
おひとりでセルフレジでお買物をされてるなんて凄いなぁ。
かっこいいおばあちゃまだなぁ、なんて思わず笑みがこぼれた。

(読み飛ばし可)
スーパーマンならぬスーパーおばあちゃま。スーパーだけに(≧▽≦)

そして、ふと私の気配に焦っていた様子を思い出して
もしかして、「誰かを待たせてはいけない」と気を張っていらしたのかな?と胸がきゅんとなった。

誰かに「急げ!」と急かされたことがあったのかもしれない。
それで焦ってしまったのかも。

思い返せば、私だって。
前日、大渋滞の車の列への右折合流がなかなかできなくて焦ってた。

「後ろの人がもっと強引に割り込んで行けよって怒ってたらどうしよう」と勝手に妄想してビビっていたんだった。

お優しい方が笑顔で「どうぞ」と合流させてくれたから良かったものの、
ドキドキハラハラだったなぁ。


『急いでいません。』

言えばよかった。


苦い気持ちで声が出なかった一瞬を思い返す。
ちょっとした声かけだったのにな。

次は軽い気持ちで声をかけてみよう。
できれば、ふわっとした笑顔で。



🎈ひとくち( ..)φメモメモ

この記事は大好きなめろちゃんのnoteを思い出しながら書きました(^^♪
自分も周りもまるっと、急がなくていいよね。


最後まで読んで下さってありがとうございました❣





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