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Blog goes on(視聴者としての矜持ってなんだ?)

桜も散り、5月が始まった。

突然ですが…
僕は2002年からBlogを書いている。
大学時代のバンドのホームページで書き始めたのをきっかけに、その後はAppleの iWeb(懐かしい)、amebloと続く。

基本的には、バンドのホームページの1コンテンツとして無理やり書いていたが、2019年からは「個人的にやろうか」ってことで、Tumblrで書き始めた。

Tumblrからnoteに変えたのが、ちょうど1年前の2023年4月。

Tumblrの頃に、「過去に書いた文章がストックされてないなー」って思って、iPhoneのメモにある昔に書いたものを引っ張り出して再度公開している。
その際には、タイトルを『Blog goes on』として、Vol.なんぼやったかな?、まあ何個か出してきた。
タイトルはちょっとダサいけど、それで良いと思っている。

前置きが長くなったが、2022年の8月に書いた文章をまた公開しますってことでーす。

先日、映画監督の是枝裕和さんがカンヌ映画祭の審査員に選ばれたというニュースを見た。

以下は是枝さんの本を読んだ時思ったことなどをまとめた文章です。
「コンテンツ過多」は今も自分のキーワードです。


視聴者としての矜持ってなんだ?

暑い日々が続く。
コロナの感染者も一向に減らないし。

妻から、映画を早送りで観る人たちがいるという話をきいたのは、少し前のことになる。
あらすじだけを把握するようだ。
どうもファスト映画というらしい。

なんで?という気持ちしか持たなかった。
映画ってそういうもんじゃないやろと。
普通に。

ネットで調べてみると、ちゃんとした?違法行為として存在、認知されているようである。
映画の画像を違法に使用して、10分程度であらすじなどを紹介する動画のことを指すらしい。
そして、その需要は増えているらしい。
なんでも、時短であるとか、確実に面白いものだけを観たいということのようだ。

記事を読んで、少しイラッとして、その後ちょっと寂しい気持ちになった。
なんだかなー。

その時はそれだけで、流れていってしまったが、なんか心に変なモヤモヤが残った。


是枝裕和さんという映画監督を知らない人の方が少数派ではないだろうか?
そんなに映画を熱心に観る方ではない僕ですら何作かは観たことがある。

最近あんまり本読めてないなーと、自宅の本棚に目をやると、是枝さんと色んな人の対談が収められた三冊1組の対談集があった。

京都に行く用事があったので、移動中に読もうとその中の一冊を鞄に入れて出かけることにした。

僕が選んだ2冊めの対談集は、ミュージシャンとの対談が多めの本だった。
くるりの岸田さんの次に登場したのは、スガシカオさんである。

その中に以下のようなやり取りがあり、ハッとしたので、引用する。

是枝
音楽も映画も「メッセージは何?」と訊かれがちだけど、そうではないところの表現ですよね。いまって、‘頑張ってる私が好き!”みたいな歌が多いでしょう。情感も空気感もなくて、メッセージしかない歌詞は、そもそも歌詞なのか?と思う。

スガ
(中略)
でも映画や音楽のなかに流れている空気や行間を読めない人、楽しめない人が増えているのは残念ですよね。

是枝裕和対談集『世界といまを考える2』是枝裕和

先に書いたファスト映画の話と、この話は地続きである。

むしろこの対談の方が先なので、空気や行間を読めない人、楽しめない人が増えた結果、ファスト映画云々の話になっているような気がする。


みんな時間がないんやろなという感覚。

さらに頭をよぎるのが、コンテンツが多すぎるということ。

本は1年間に約72,000冊出版されるという数字がある。
日本レコード協会のホームページによると、フィジカルを伴う新譜のリリースは、2021年の実績で約10,000枚。
それ以外にも、配信や様々なアプリを通じて色んな曲が配信されている。
そして、YouTubeやTikTokなどの動画、AmazonプライムやNetflixなどなど。

もはや一体どれくらいのコンテンツが提供されているのか、想像もつかない。

こうなってくると、情報処理としてファスト映画のような行為を考え出すやつが出てきてもしょーがないのかもしれない。
賛同はしないが。


岸政彦さんは「給水塔」という小説の中で、以下のように書いている。

文化というものはもともと、やりたい奴から金を取るのが当たり前だったのかもしれない。
自己表現をしたいひとはたくさんいるけど、ひとのそれを聞きたい、見たいというひとはほとんどいない。

『給水塔』岸政彦




供給過多になってしまったこのご時世で、単純に『ファック「ファスト映画」』だけでは、終われないのがちょっと悔しい。

もう夏も終わる。

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