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これが東京で一番のラーメン

「うまいラーメンが食べたい」

とかぶつくさ呟いていたら、テレビカメラマンの平田くんから「明日、東京で一番のラーメン食べに行かない?」と誘われた。

「いいよ。でも午後から予定あるから午前中なら・・・」

と言うと

「記帳制だから、何時の回を取れるかわかんないんだよね」

「え、どういうこと?」

「だいたい9時ごろ開店で、そのタイミングでお店に行くと、いつもはとれるのが13時の回とかになるんだよ」

「じゃあ午前中に食べたかったら?」

「もっと早く、七時とか?から並ばないと・・・」

日本は不思議な国だ。
なんでもあるようで、誰にでもなんでも思い通りになるわけではない。

美味い料理は、提供する側が圧倒的に偉く、供される側はたとえ大臣だろうと店のルールに従わなければならない。

予約⚪︎年待ち、とか冗談のような寿司屋もざらにある。
ラーメンや寿司だけじゃない。カレーだって記帳制の魯珈がある。

僕は行列に並ぶのが全く苦ではない。
教養とは暇つぶしをする能力であると言ったのは中島らもだったか。

行列にならびながら本を書いたり、企画を考えたり、AIの開発をしたりできる。今や行列に並んでいてできないことなど何もない。

翌朝、起きてみると7時少し前だった。

「あ、今からなら7時30分くらいには並べるかも」と思い、でかけてみた。

いざお店に到着すると、「え、来たの?」と平田くんに声をかけられた。
平田くんもダメモトで早い時間から予約を取ろうとしてくれたらしい。

あいにくにして雨だったので人はまばら。僕と平田くんは四人目に並んだ。たぶんファーストロッターだ。

8時15分くらいになると店主が出てきてノートを置いていった。
ここに名前を書いておけばいい。

僕らの名前を書き込むと、僕らの食事する時間は8時45分。

それまで一回解散して、時間を潰すのだが時間が早すぎて時間を潰す場所がない。

寒くなってきたのでコンビニでポンチョを買う。

30分後、果たして入店に成功する。
店は「らぁ麺や 嶋」さまざまなランキングで「東京で一番」と言われるラーメン屋さんだという。

色々迷ったが平田くんによると「いつも午後は売り切れている」というつけ麺か、塩ラーメンで迷う。

しかし、醤油ラーメンよりも塩ラーメンのほうがなぜか50円高い

結局、「特上らぁ麺 しお」をオーダー。チャーシュー丼も頼む。
厨房はワンオペで、非常に丁寧にひとつひとつの工程をやっているのがよくわかる。なるほど、これは美味そうだ。

最後の工程で白い鶏肉に非常に繊細に載せられた黒いブツが気になる。あれは一体なんだろう。

ほどなくして「特上らぁ麺 しお・白醤油」が届いた。

特上らぁ麺 しお・白醤油 1900円

三種類のチャーシューと味玉、ワンタンなどが乗っている。
スープはとても繊細で美味しい。まさに塩味という感じ。
焼肉にしてもラーメンにしても、塩味を美味しくすることはいちばん難しい。

気になる鶏肉と黒いペーストから食べてみることにした。
おっと、これはトリュフだ。トリュフペーストである。

口の中でふわりとトリュフの香りが爆発する。
これは塩ラーメンのスープに合う!

すっかり不意打ちを喰らってしまったのだが、確かに美味い。
美味いのだが、ちょっと麺が柔らかめであった。
僕はいつもは「バリカタ」と頼むくらい硬い麺が好きなので、ここはちょっと好みが分かれるところだなと思った。

おそらくワンタンにもトリュフが使われており、これは抜群に美味い。

そうこうしている間にチャーシュー丼が出てきた。

みるだけで美味いとわかる完成度

これは美味いよ。食べなくても美味いとわかる。
卵黄だけ乗せられているのがニクい。

卵を割って混ぜて食べる。美味い!!!

どれをとってもめちゃくちゃうまくて繊細なのだが、ここにきて俺はまだ9時前だということを思い出した。

美味いのに、胃に入っていかないのだ。

そりゃ、本来は11時くらいに食べようと思っていたわけだから、8時45分に特製ラーメンとチャーシュー丼を食べるとかどこの体育会系大学生だよ。

しかし確かに美味かった。
今度は醤油やつけ麺にも挑戦してみたい。

その日の晩、珍しく技研にTechno-EdgeのIttousaiが残っていて、どっちが先に帰るかと言う話になった。

「これから飯食いに行くけど・・」

「じゃあたまには一緒に食べるか」

そしてIttousaiに連れていかれたのが浅草橋の新名所「|饗くろ㐂《もてなし・くろき》」だった。

もともと秋葉原に近い方角にあったが、最近浅草橋駅に移転してきた。
技研に遊びに来る人にとってはありがてえラーメンの名店である。

浅草橋駅前といえば、ラーメン屋は個人経営の店が何店かと野郎ラーメンくらいしかなかったのだが、行列ができる店として高名な饗くろ㐂ができたとなればまた一つ浅草橋の楽しみが広がる。

どんぶりと製麺機のコレクションが店の「やる気」を演出する。

どんぶりコレクション
製麺機コレクション

さて、肝心のラーメンだが、麺が選べるというので細麺をチョイス。

広々としたカウンターで華麗な所作でラーメンが作られていく。
ただ、洗い場の目の前で飯を食うと言うのは少し落ち着かなかった。

ラーメン

さすがに大盛りや特製(トッピング全部乗せ)はキツイので普通の盛りをチョイス。Ittousaiは季節限定ラーメンが売り切れていて悔しがっていた。

うん。普通に美味い。しかし、ちょっと日本蕎麦寄りかなあ。

後日、お茶の水の「つじ田 味噌の章」にも言ったのだが写真を撮るのに失敗していた。食い意地が張りすぎていたな。

まあ、ラーメンは美味い