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かきめし;駅弁のオペラ

毎年、正月になると京王デパートで駅弁大会をやっていて、これに参加しないと年が明けた感じがしない。

で、毎回一番奥のコーナーに陣取っているのが北海道は厚岸の氏家待合所の「かきめし」

俺がこの「かきめし」をどれだけ愛してやまないかというと、実際に厚岸の氏家待合所に行ったことがあるくらい。

厚岸にある氏家待合所

この「かきめし」
実は、東京駅でもたまに買えるのだが、それはOEM製品というか、「かきめし」のレシピに忠実に再現されたただの駅弁なのである。

そもそも厚岸あっけしとは、アイヌ語で「牡蠣の集まるところ」という意味。

しかし厚岸から牡蠣を空輸するわけにもいかないので、通常の東京駅で売られている「かきめし」と実際の「かきめし」は違う。と思う。

約束の地、厚岸

「かきめし」の凄さとは何かというと、全体的にはなんだか茶色い弁当なのだが、よく見ると、アサリ、つぶ貝から始まって、メインディッシュの牡蠣、そしてフィナーレを飾る椎茸、名脇役のタクワンと福神漬けが添えられている。

上の方から食べていくと、まるでオーケストラのように味の変化が楽しめる。まさに駅弁という直方体に収められた一編のオペラとでも言うべき様式美があるのだ。

ちなみに駅弁大会では牡蠣増量のスペシャル版が買える

牡蠣増量スペシャル

ただ、これは牡蠣が多い方が美味しいというよりも、駅弁大会ではみんなで買った駅弁を持ち寄って「回し喰い」という食べ方をすることがある。

その時には牡蠣が多い方が分けやすいから描き増量を買うだけで、単体の弁当としてはノーマル版の方がすごい。

さらに、本家の氏家待合所では、牡蠣飯丼を食べることができる。

かきめし丼

北海道に出張に行ったついでに札幌から日帰りで行ったのだが、さすが北海道はでっかいどうというだけあって、特急で5時間くらいかかった記憶がある(しかも途中事故で足止めを食らった)。

「せっかく来たんだから」と、かきめし丼を食べるときに「かきめし弁当も下さい」と言っておいたのだが、びっくりしたのは、会計する時に、その「直前に」かきめし弁当を作ってくれたこと。少しでも温かい弁当を届けたいというその真心に感動するしかなかった。

ほんのり温かい「かきめし」こそ、真心のこもった真の「かきめし」であると一度認識してしまうと、東京駅で売っている冷蔵のやつは、なんだかちょっとだけ違うなと思ってしまうのだ(美味いけど)。

そんなほんのり温かいかきめしが都内でも楽しめるのは今だけ!
すごいぜ京王百貨店

ちなみに氏家待合所では帆立弁当も売っていてこれも美味そうだったのだが腹がいっぱいで食えなかった