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救世主は人間として現代に復活する(マトリックス・レザレクションズ 感想)

多感な時期にマトリックスを全身に浴びてしまい、マトリックスショックで性癖が歪められてしまった皆様こんにちは、機械触手が大好きタロウです。

今作は、複雑さ細かさが明らかに進化した各種ケーブルや電池ポッド、端子、シンシエントたち、エクソモーフィック粒子コーデックスと大変…大変その…よかったです…。公開次の日ぐらいには行ってたのでもっと早く書くべきだったんですが某ゲームが忙しくて…🌙
最速予告編ぐらいしか見ない状態で行ったら、しょっぱなの設定から「あぁ?ww」みたいな感じになれたので大変楽しかったです。小ネタが!小ネタが多い!!もしまだこれから見るという方は「あらすじ」も見ずに行くと、脳内に沢山草が生えてくる感じになると思います。まあ、もう各情報出ちゃってるんですけども!

<あらすじ>
三部作ゲーム「マトリックス」を作った伝説的クリエイター、トーマス・アンダーソンは幻覚と現実が曖昧になる症状に悩まされていた。一方、現実世界では、バッグスがマトリックスの奇妙なモーダルに侵入、そこでエージェント・スミスと同一となったモーフィアスと出会い、モーダルから解放させる。アンダーソンが「マトリックス」の続編である「マトリックス4」の制作と幻覚に苦しむ中、モーダルから抜け出したモーフィアスはアンダーソンに接触、アンダーソンはゲームであるはずの「マトリックス」が現実に存在し、マシンとの戦争が現実であったことを認識するが…

これ多分好き嫌い分かれるだろうなと思いました。

しょっぱなからメタネタで飛ばし、トリロジーについて皮肉っぽく振り返っているセリフが多かったからです。つまりマトリックスによるマトリックス批判であり、マトリックスの90年代キメキメスタイリッシュの部分に思い入れが強いと「そこまで自虐しなくても…」と思わないでも(笑いましたが)。
ただトリロジー現役世代としては、続編リローデッドやレボリューションにも、レザレクションズと似たような批判はあったように思います。ネオとトリニティの物語にシフトしつつ、壮大なサーガになった為、無印みたいなシンプルアクションでなかったんですよね。つまりマトリックスは多分元々そういう話なのであって、スタイリッシュアクションや映像革命は物語のコーティング部分だったのではないかと思う訳です。

というところでのレザレクションズ、そのコーティング部分を静かな色調に抑えつつ、より人間愛の部分をシンプルかつ、直球に提示してきたな、という感じがしました。
レザレクションズのネオは全然救世主ではありません。ひげもじゃで野暮ったくおどおどしっぱなしのうだつのあがらないおっちゃんで、銃も撃ちませんの防御特化。
もうネオは救世主として世界を救って己の身を捧げてしまったので、役目を終えたのでしょう。
一方でそんな彼の心を繋ぎ止めているのがトリニティ―。恋愛やロマンスなんて分かりやすい言葉ではとても言い表せない、魂の絆がありました。
それは彼らが救世主であろうとなかろうと、年を取ろうと外見が変わろうと、命が尽きようとも決して切れないもの。
トリニティ―の皺ひとつさえ強さと美しさをあらわすものであること、本当にかっこよかった。若い美男美女ではない、中年だけれどそれぞれ臆病に歩み寄りながらもきちんと手を取れる。
そんなトリニティーに手を引かれて、最後に救世主は人間としてマトリックスに帰還する。そしてバージョン6のマトリックスの救世主はトリニティーであり、それは以前のような価値観の異なるもの同士の戦争を経ることなく、虹をかけることでバージョン7のマトリックスにアップデートさせていった訳ですね。

ラナ監督の心の中は分からないし、マトリックスの次があってもなくてもいいんですが、レザレクションズは次を見据えて作った映画というより、トリロジーを明確に終わらせて、人の手に戻させる物語だったと思います。

ところでエンドロール後に、これからの時代めんどくせえ映画もゲームもだめ、動物動画!これ!キャットリックスや!みたいなオチがあって吹きましたが、これはほかならぬ物語の全否定で、人間はもうマトリックスすら必要ないと侮られているということかもしれません。
レッドピルを飲め、これが真実だと喧伝される妄想ごときに、我々一人一人が生み出してきた物語を奪われてはなりませんね。

キャットリックスにはタランティーノ流おしおきが飛んでくるかもしれないけど笑

※猫はひどい目に遭いませんでした🐈


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