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シンプル仏教(6)四つの智慧

技術者のわたしは、何事も図表に書いて理解するくせがありまして、今回もマトリクス的に四摂法「布施・愛語・利行・同事」を座標に表してみました。ついでに色分けしてイメージをつかみやすいように工夫しました。

四摂法(四つの智慧)
  1. 布施ふせ(dāna):貪らないこと。財施・法施・無畏施。

  2. 愛語あいご(piya-vācā):慈愛のこもった優しい言葉。

  3. 利行りぎょう(attha-cariyā):自他を利する行動。

  4. 同事どうじ(samānattatā):平等に接し受け入れること。

八正道は、三学(戒律と禅定と智慧)にまとめることができます。
同様に、この四摂法は智慧の分類であります。

仏(ブッダ)の智慧は、四つに分けて考えるとわかりやすいです。

この表で、これらの関係性を示します。
布施は、愛語と利行に接しています。
愛語は、布施と同事に接しています。
同事は、愛語と利行に接しています。
利行は、布施と同事に接しています。

同事は、生きとし生けるものすべてが平等であるとの基本理念です。小さな命をも大事にすること。傷つけない、殺さないことです。海が全ての水を受け入れるように、深く広い心です。

この同事から、優しい言葉と利する行動が生まれます。これが愛語であり利行と呼ばれる智慧です。そしてこの愛語と利行のいずれもが布施となります。つまり四摂法(四枚の般若:四つの智慧)は、このように仏の智慧と慈悲の実践方法を端的に示しているわけです。

智慧と慈悲については、次の過去記事をご参照ください。

さて、今回のテーマ「四つの智慧」の肝(核心)についてお伝えします。
この具体的な指針が、人生できっと役立つからです。
四つの智慧の座標軸と申しても過言ではありません。

先に八正道の中に、智慧が含まれると申しました。三学(戒・定・慧)として分類したときは、智慧は八正道の正見(正しい見解)と正思惟(正しい思想)に該当するという考え方もあります。しかし仏教が智慧と慈悲の教えという観点では、八正道すべてが智慧であり慈悲の教えといえます。

智慧と慈悲は表裏の関係にあり、あたかも合掌に象徴されます。四摂法もすべてが智慧と慈悲の具体的な内容だと思っております。

智慧は光明(悟り:闇に対する光)であり、慈悲は慈愛(深い優しさ)であります。その象徴として大乗仏教では菩薩の悲願すなわち「大悲」の観世音菩薩をお慕いし、合掌して親しくお唱えいたします。

「南無大悲観世音」なむだいひかんぜおん


智慧と慈悲の象徴「合掌」がそのまま観音さまのお姿であります。
合掌したまま喧嘩することはできません。
どんな暴漢にも立ち向かう姿であります。
争いになりません。

合掌(水彩)

ご覧頂き有難うございます。
念水庵 正道

↑何度聴いても涙が止まりません。(曹洞宗梅花講)

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