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シンプル仏教(7)般若心経

智慧の核心の経(要旨)


観音さまは、坐禅しているときに、人間が感じる苦しみは、心が作り出しているものと気づきました。

五つの感覚(体、感情、思考、行動、意識)は、じつは一つも本当の自分ではありません。

これらはすべて変わりゆくもので永遠には続かないのです。

ですから、これらにとらわれずに生きることが大切です。
それによって心の苦しみから解放されます。

観音さまはこの真理を理解し一切の苦しみから解放されました。


大乗仏教での智慧を端的に表した「般若心経」はとても短いお経です。
日本でも多くの宗派で読まれていますが、簡単に要約してみました。

般若心経は仏教の核心である「空」を説いています。
人生は突き詰めれば「苦」であるとの認識が基本にあります。
苦悩の原因が、心にあることは明白な事実です。(一切皆苦)
すべては変化しており永遠に続くものはありません。(諸行無常)
そして握りしめているものを解き放てばよいのです。(涅槃寂静)

とらわれない。(執着しない)
かたよらない。(中道)
こだわらない。(手放す)


般若心経は、最後に「呪文」を唱えます。
この呪文は、神秘的ないわゆる「おまじない」ではありません。

ぎゃーてー、ぎゃーてー、はーらーぎゃーてー、はらそーぎゃーてー、ぼーじーそわか。

gate gate pāragate pārasaṃgate bodhi svāhā
ガテー ガテー パーラーガテー パラサンガテー ボーディ スバーハー

渡った、渡った。向こう岸に渡った。
向こう岸に完全に渡った。悟りに幸あれ。

此岸から彼岸に渡った、すなわち煩悩の川を渡りきった姿が悟りであり、その目的を達成している姿を心に描いた誓いであります。いわばアファーメーションですね。お経の翻訳者は、この部分だけは意訳しなかったのです。原語そのままを音訳して唱え続けました。それが今日まで伝わっています。


日本では多くの僧侶や仏教徒が、この般若心経をお唱えします。

松原泰道老師だったでしょうか?その著作の中で、般若心経冒頭の「観自在菩薩」(観世音菩薩)の見事な読み下しを紹介されてました。ご参考になさってください。

れば菩薩ぼさつかな


煩悩の河を渡る

願以此功徳普及於一切我等与衆生皆倶成佛道
(願わくばこの功徳をもってあまねく一切におよぼし我らと衆生と皆ともに仏道を成ぜんことを)

今回で「シンプル仏教」シリーズを一旦閉じます。
ご覧頂き有難うございました。
念水庵 正道 合掌




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