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IgA腎症とステロイドパルス療法(1クール目)のレポート

※やはり病・病院・薬といった描写が全体を占めています! ご了承!

検査入院を経てIgA腎症が確定し、扁桃摘出手術を受けて半年後。東京出向とかによりちょっと期間が空いて、ステロイドパルス療法に挑んだ。
ステロイドパルス療法とは、ステロイド薬を短期間で投与し~と書き出したんだけどこういうの嘘言うの怖いので調べてください。

3月25日(月)
勝手知ったる入院だ。こんなの知りたくなかったぜ。
首尾よく入院セット(服とタオルを支給される。費用は日毎計算。買った時点で日用品がおまけについてくる)を受け取り大部屋へ移動する。この入院セット、入院するごとに歯ブラシとか食器セットとかもらえるからややバグってる(扁桃摘出で8日間でも点滴で3日間でも同じものがもらえる)。
最初の腎生検はビビって個室にしたものの、扁桃摘出が長期間で差額ベッド代が馬鹿にならず大部屋にしたところ居心地がそんな悪くなかったのだった。だから今回もそうした。
入った部屋には、おじいさんと、おじいさんがいた。そういう童話があってもいいよなぁと思った。

看護師が「さっそく点滴を始めましょう」と仰り、クイズ番組のMCかと思った。着替えたばかりの服をグァーとめくられ、なんか冷たくて胸に貼るやつ(つめむね)を装着した。これが、入院前日にスタッフ参加した守山高校クイズ研究会主催大会「MQLs on parade」に出題されたホルター心電図か。昨日はじめて知った概念をきょう実感する。違うらしく、「モニター心電図」らしい。すみません!
24時間体制で心電図を測り続けるらしいが、そんなことより伸びるカラフルなコードはめちゃくちゃ「解除中」だった。

爆弾魔

点滴スタート。左側から身体のなかを何らかが巡っているかすかな感覚をお供に、いろいろと仕事を進めた(本業は休みなので、スタッフ業を)。
そんななかの正午、廊下からガヤガヤとワゴンの駆動音。それに重なり、ひさびさに、チープな『メリーさんのひつじ』が聴こえる。飯の時間だ!!!!!!!!!

ウワァ~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!
ひととして扱われている、感覚!
もちろん半年前に扁桃を摘出した直後のさら~り3種の液体定食もひととして扱われているからこその措置だったわけだけど(そこで固体を出されるとほんとに"虐")、さすがにこれは嬉しい。美味しかった。

これを経験しているとねぇ

1,2時間程度で点滴も無事に外され、この日は完全フリータイムだ。資料作成などをやりながら、合間合間に本を読んでいた。短編集だとこれができて良い。

1冊目:『成瀬は天下を取りにいく』
東京出向から帰滋し2月にサイン本を買えてから、ようやっと読み切った。間違いなくおもしろいのに若干積んだ理由は、1話目の全体を包み込むやさしいパンチが強すぎて、成瀬と島崎の会話劇というかその「ふたり」の物語、そこから外れたら、それは、ちょっと違うでしょう!! とたいへん面倒なことを一度考えてしまったため、途中の短編でいったんクールダウンしてしまったのだった。
随所随所に挟み込まれる濃淡さまざまな滋賀の情景に心をくすぐられる。本屋大賞を獲ってほしい、と俗すぎる感想が込み上げた。

しかし読書の最中、明らかに心身に変化が出てきてもいる。目が冴えて冴えてたまらない。大学生のときにサークルの面々でメンバーの家にぎゅうぎゅうに溜まって朝4時までゲームしていたときのあの、平たくいうと「深夜テンション」に、15時くらいでなった。嘘だろ。思考がやや《先》へ進んでいる気分になったので、おれはときおり成瀬の放つかがやきから目を背けるように本を閉じ、持ってきたパイの実を10個ほど食べた。
夜になっても目が爛爛としている。テレビとかを見ていれば思考を散らせるからよかったんだろうけど、自分は「テレビはBGM」と思っている節があるから、イヤホン(大部屋マナー)をつけてまで視る気にはなれなかったのだった。
結局21時、スマホの電源を落として寝る。落としたのが良かった。しばらくは考えごとをしていたが、意外といったんはすぐに眠りにつくことができた。
ちなみにステロイドの副作用には「不眠」「多食」がある。あと、仲の良い医者から「躁状態に気をつけろ」と怖すぎる予告も受けていた。マジでな!!!!!!

しかし一番たいへんだったのは、眠りについたあとのこと。
目が醒める。隣のおじいさんが看護師さんから何らかの処置を受けており、その音で起きたのかもしれない。朝2時。ふだんの自分は社会人になってからはとんと夜ふかしが苦手になり、基本的に日付が変わるまでに寝て7時間は睡眠時間を確保しないとやっていけないから、こんな時刻はあまり見たことがない。まぁまぁ、寝直そう……と思っても、なかなか落ちない。頭のなかではサカナクションがライブをしている。なんで?
朝3時に再び覚醒、そのときは20分くらいそのままだった。心電図のコードが引っかかってうまく寝返りを打てない。うーん……。

3月26日(火)
なんとかもう一度眠りにつくと次は朝8時だったのでギリギリよかった。最後までスマホを見なかったのが功を奏したと思っている。
朝ご飯を食べたあとに同じく点滴を落とされる。昨日みたいに苛烈ってまでではなかったけれど、食欲が常に襲ってはくる。なぜか身体全体が「カルピスウォーターを飲みたい」と欲したため、昼すぎにコンビニへ走って、結局カルピスウォーターとピュレグミとクーリッシュを買った。高校学園祭準備期間?

病室がおじいさん設定だったのでかなり暑く、クーリッシュがうまいうまい。パソコンでこの記事をはじめさまざな文章を思考のままに打ちながら、一段落するごとに、適当にオフライン保存してきた動画のなかから「abc the22nd(というクイズ大会)」の配信アーカイブを視た。今更ながら、この病院にWi-Fiはない。ネットにつなぐときはやむなくテザリングだけど、月末だから慎重にやらないといけない。

しかしまぁ適当にオフライン保存しすぎたな

今年のabcも面白かったな。来年どうすりゃいいんだろうか。勝ち抜けの瞬間の若くあふれるエネルギーにどきどきしっぱなしだ。心電図が反応したら大変だと思った。

次の本に手を伸ばす。
2冊目:『[DESIGN IDEA 100]タイトルまわり』
「見出し」や「タイトル」に着目したデザイン事例集。本の表紙、演劇のフライヤー、イベントのポスターが多かった。資料集として読めるのはもちろんのこと、個人的にはパラパラめくって「都会に来て街なかを歩いている気分」になった。参考にできそうな部分もあるにはあったが、「使用フォントは……オリジナルで~す」みたいなことが多く、かつそれぞれがかなり個性的なので、この事例たちを足がかりにして結局はおれたちがほぼゼロから新しいものをつくらないといけないなぁと思った。

看護師さんに眠りが中途中途であったことを伝えたら、睡眠剤を処方された。眠る前に飲むのだという。夕飯も食べ、ネットがなければ特にやることもなくなり、その小さい一錠を飲んで21時、目をつむる。

あぁ……

3月27日(水)
睡眠剤ってすげ~~~
朝6時、看護師さんに声をかけられてはじめて起きる。まったく中断することのない眠りはさわやかな目覚めまでもたらし、活力すら湧いてくる。いまこの日記は、そんな朝6時に嬉しさを原動力として書かれている。人生で初めての睡眠剤、それは感動とともに……。

あとは同じく点滴をして終了。お昼を食べたらすぐ退院だった。ステロイドはまだまだ続く。家で薬を飲まなければならない。そして来週はまた点滴。それがパルス療法だから。正直これがいつまで続くのかは言われていないし不安は大きいけれど、ひとまずこの3日間だけでいうと本は読めたし作業はできたし、特殊な時間を過ごすことはできた。みなさんのおかげです。まぁ、生きていくぞ。やりたいことは死ぬほどあるからなぁ。

頂戴したサポートは、よりよい作品づくりに活用させていただきます。よろしくお願いします!