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ワーパパと歴史思考

こんにちは。
3人娘を育てている、ベンチャー企業のCTOです。


歴史思考

「こうあるべき」「こうでなければならない」といった普通・常識といった価値観があります。
そして、現代人の多くは、自分の現状とその価値観を比較し、コンフリクトすることで悩み苦しんでいます。

しかし、その価値観は普遍的なものではないとしたら。
当たり前だと思っていたことが、時間と空間が変われば当たり前ではないことだとしたら。

「歴史思考」という書籍は、そのような思い込みから自分を解放するための下地となる、メタ認知のきっかけを与えてくれます。

著者の深井龍之介さんは、2018年からコテンラジオというPodcastを放送されています。

このPodcastでは、学校の歴史の教科書で太字で書かれている偉人・出来事に対して数十冊(場合によっては50冊以上)の本を読んで調査した結果を、わかりやすく伝えてくれます。

歴史を「つまらない暗記もの」としてではなく、その出来事に至る経緯・ロジック・構造といったものを、ストーリーの中に入れ込んで語ってくださっています。
特に、現代の常識を元に歴史を語るのではなく、当時の価値観を説明した上で歴史が語られるため、今の自分の常識が普遍的ではないということを体感することができるます。

このように、歴史を学ぶだけではなく、メタ認知・リベラルアーツ・人文知としての教養を学べるのがコテンラジオの大きな魅力です。

私は、このコテンラジオがきっかけで、歴史と哲学の勉強を始めました。
心の底からオススメできるPodcastであり、「あなたが他人にオススメできるコンテンツを一つだけ挙げろ」と言われたら、迷わず挙げるのがこのコテンラジオです。

コテンラジオや歴史思考の魅力が伝わるYouTube動画がありますので、こちらもご紹介します。

メタ認知

「メタ認知」という言葉があります。
これは、今の自分を取り巻く環境・状況を、客観的に把握することです。

メタは「高次の」「超越した」という意味の接頭辞です。
メタ認知は、「自分の認知のありかたを認知する」といえます。

メタ認知力があれば、自分たちが普通・常識だと思っている価値観に対して、「なぜそれを普通・常識だと思うようになったのか」ということを、歴史的に、そして構造的に把握できるようになります。

そして、その普通・常識が、実は当たり前ではないということに気がつくことができるようになります。

僕らの「当たり前」は非常識

「稼ぐ人が偉い」という価値観は、現代日本における根強い価値観だと思います。
しかし、これは近現代の資本主義社会の中でしか通用しない価値観で、時代を少し遡るだけでまったく異なる価値観が重要視されることに気が付きます。

たとえば江戸時代の日本では、武士や公家が偉いとされていました。
これは家系や血筋によるものであり、お金をいくら稼ごうが武士や公家より偉くなることはありえませんでした。

※武士の肩書を金銭で買うことが出来たという話はありますが、時期・地域を問わず武士になれたということではありませんし、武士の中でも低い身分とされていたようです。

別の例として、中世欧州ではキリスト教徒としての信仰心の篤さが重要視されていました。
近世フランスでは聖職者が第一身分、貴族が第二身分とされ、特権を持つほどの力をキリスト教会は持っていました。

約150年ほど前までは、「稼ぐ人が偉い」という価値観ではなかったことが本書を読むとわかります。

100%完璧な人間はいない

歴史上の偉人は清廉潔白であるイメージを持たれているように思えます。
しかし、実際に偉人たちは清廉潔白だったのでしょうか。

「非暴力・不服従」を唱えながらインド独立を成し遂げた、インド独立の父マハトマ・ガンディー。
彼は間違いなく歴史上の偉人であり、その偉業は誰もが認めるところでしょう。

しかし、青年時代は非行少年でした。
比較的裕福な家庭で育ちましたが、使用人からタバコ代を盗んだり、肉食が禁止されているヒンドゥー教であるにも関わらず肉を食べたりしていました。

大人になってからは弁護士の仕事に付きますが、人前で話すことが苦手で、全く仕事にならないレベルだったそうです。

後に聖人と呼ばれるガンディーも、最初から最後まで完璧人間だったわけではありません。

本書には記載がありませんが、人権や教育に多大な影響を与えたジャン=ジャック・ルソーは露出癖がありましたし、自身の子ども5人を孤児院に送っています。

このように、社会的な最終評価だけがその人のすべてではなく、歴史上の偉人であっても清濁併せ持つのが人間だと言えます。

悩みの答えは古典にある

実は、現代人が考えているようなこと、現代人が直面する悩みは、昔の人が考え尽くしています。

例えば、古代ギリシャのアリストテレスは「万学の祖」と呼ばれる哲学者です。
彼は、哲学だけでなく、物理学、政治学、生物学、心理学、医学、文学と多様な領域で多くの業績を残しました。
そのような世界レベルの天才が遺した哲学(ニコマコス倫理学)の中では、幸福、名誉、正義、愛など、現代にこそ必要なテーマについて語られています。

また、仏教の開祖ゴータマ・シッダールタ(ブッダ)も、規格外の哲学者です。
仏教哲学は、生きる上での苦しみの原因をロジカルに解き明かしています。
さらに、「私」は存在するのかという問についても答えをだしています。

仏教哲学はロジックの積み重ねで構築されたものであり、徹底的に論理的です。
仏教哲学は量子力学と共通点があるとされており、人文科学のみならず自然科学の領域でも重要視されています。

アリストテレスもゴータマ・シッダールタも、2000年以上も前の人たちです。
そこからさらに様々な哲学者が、人類の様々な悩み・問いに対して答え続けてきました。

人類史上最強の天才たちが考え尽くしたことが古典に詰まっています。
そこには、私達の悩みに対する重大なヒントや答えが残っています。

ワーパパと歴史思考

メタ認知は、現代を生きる上で非常に重要な力だと感じます。

コテンラジオを何度も繰り返し聞いていますが、それによって少しずつでもメタ認知を意識できるようになると、視界が広がる感覚があります。

歴史は、メタ認知にとても適した題材だと思いました。
過去の出来事や人物は、現代と距離があるからこそ、引いた視点で見ることができます。

自分が当事者だと感情が入ってしまって、冷静にファクト認識ができなくなります。
距離が近い事象については、メタ認知がしずらいのでしょう。
そのような情報・知識とだけ付き合うと、メタ認知の力を鍛える機会がぐっと減ってしまいます。

この「歴史思考」を入り口とし、歴史や哲学などの人文知を学び、メタ認知の力を身に着けていきたいと感じています。

子育て、特に子供の教育については、自分に近い分だけ熱がはいってしまいがちです。
その結果、子供に過剰な期待とプレッシャーをかけてしまうことが多々あるように思えます。

子供の将来については子供に主導権をもたせるためにも、親子共々、メタ認知が求められるのだと思います。

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