見出し画像

脳のスピードとパワーはトレードオフだ。

こんにちは!彩花と申します♪
マーケティングを中心にいくつかの事業を運営し、浪費と納税を行いながら日々を紡いでおります。

今日はそんな私が兼ねてより大切だと思っている
「脳のスピードとパワー」についてのお話をします。

結論から申し上げると、脳のスピードとパワーはトレードオフなので、それをバランスよく使えるように日頃から鍛えようね!ということです。

このことについて意識するようになったのは数年前。
当時の私はおそらく人生で一番勤勉だった時期でして、毎日の読書やweb上に転がる膨大な文章のインプット、複数事業を同時並行で進めたり、かちゃかちゃ組み合わせたりしてシナジーを産ませる戦略設計や、大量の広告クリエイティブを作成するなどのアウトプット、果ては事業や会社自体の数字も毎日管理して進捗を追うなど、ラプンツェルのような美しい髪が全部チリチリ白髪になるほどのスーパーハードモード禍におりました(なってません)

で、まあなんとかそれを回せていたのですが、ここである変化に気づきました。日々そんなことをこなすうちに、自分の頭の回転がめちゃくちゃ早くなっていたんです。
例えば、本を読もうとすると恐ろしいスピードで文字がすらすら入ってくるし、まっさらなドキュメントを目の前にすると、恐ろしいスピードでコピーが4万文字くらいあっというまに書けちゃうんです。

こういう話をすると、私のメンバーは「いいな〜そんなにハイスピードでこなせるなんて羨ましいです♪ 頭良すぎです♪ 」とか呑気に言ってきて可愛いなコイツとかなるんですけど、

当の本人の私からするとなんというか…

この頭の回転が早すぎる状態がとても気持ち悪いんです。


もっと詳しくいうと…

頭の回転が早い分、深く考えられている気がせず、常に30点のものを大量生成しているような気分になるんです。


実際に、本はすごいスピードで読めるのに、読み終わった後に振り返ると中身を全然覚えていない。webの文章を読んでいても、1ページ前に何が書いてあったかを思い出せない。

アウトプットも、昔の私ならもっとバリエーション豊かで他者が書いたことのない表現が生み出せていたのに、最近は陳腐でありきたりなコピーしか出てこない。戦略も、昔なら誰もが驚く両者がハイパーwin-winになる手法や座組みをひらめいていたのに、最近は凡庸で焼き回しのようなダサいやり方しか思い浮かばない。

簡単にいうと、

時間をかけて良いものを作るということができない状態になっていたんです。

この状態が続いて本当に気持ち悪かった…。私の脳はどうしちゃったんだ
ろう…一生100点のものはできないのかなってすごく悩んでいました。

そんな時に、ある本に出会います。
それがこの「ファスト&スロー」

これから私が超重要事項をピンポイントで要約します。

著者はノーベル経済学賞を受賞した、心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマンさんです。

この中に書かれていた概念を知って、私はその日から脳の使い方を変えました。すると徐々に思考スピードが落ちていき、昔のように時間をかけて深く良いものを生み出せる脳になっていったんです。そして今ではこの脳のモードの切り替えを、ある程度自由に行えるようになりました。

ではこの脳のメカニズムは一体なんだったのか、これをコントロールするためにはどうしたらいいか。ということを、この「ファスト&スロー」に書かれていたことを元に、簡潔にお話しします。

脳のメカニズムについて

脳には様々な重要な役割があります。生命維持、運動、感覚などなど…その中で我々創造者に最も重要な役割が「思考」です。

思考には2つの要素があります。それは「スピード」と「パワー」です。このパワーは、深さ、重量感、熟考性、集中、力強さ…など様々な表現ができますが、要は「より良い選択をする」と捉えてください。ここからはパワーで表現します。

大事なのはこの「スピード」と「パワー」はトレードオフの関係にあるということです。
わかりやすいように例を挙げましょう。

スピード:高、パワー:低 の場合

①あなたがふと時計を見ると、16:57。ん…なんかあったような…そうだ!!今日の17時が、就職第一希望の会社の応募締め切り日じゃん!
やばい!今すぐ出さないと!!
死に物狂いでスマホを手に取りサイトにアクセス、テンパりながらも氏名や住所を打ち込みます。めちゃくちゃ急いでいるので当然タイプミスも多くなります。「うわああめんどくせえええ!!」そうやって打ち込んでいくと最終関門、【弊社を希望された理由をお答えください】の文字。時刻は59分40秒、「うわあああああああああああ」と発狂しながら文を打ち込んでいくあなた。当然オリジナリティのある内容なんて書けるはずありません。だって考えてる暇なんてない。ここではスピードが命だから。ありきたりな文章でも出せないよりはマシだと思い、超高速で文字を打ち込みます。当然多少の誤字も出ます。こういう時は思考のスピードは大きいがパワーは小さい。

②あなたは野球をしています。そんな中、ふと物思いに耽ってぼーっと考え事をしていると突然「危ない!」の声が。ふと気がつくと、目の前から猛スピードでボールが顔面目掛けて飛んでくるではありませんか!やばい!そう気づいて瞬間的に顔をずらしてボールを回避します。これは脳の伝達が早いが、どちらにどの方向で顔を向けるのが一番いいかなどは考えていません。そんなこと考えていたら顔面にボールが当たりますから。すなわち思考のスピードは大きいがパワーは小さい。(正確にいうと、ボールが早すぎると反射で体が反応します。反射は脳を介さない命令系統なので思考とは関係ありませんが、ここでは反射が発動しない程度の速度のボールを避けたと考えてください。例外的ですが感覚が掴みやすいので説明に用いました。)

スピード:低、パワー:高 の場合

①人生がかかった大学入試の二時試験。バクバク鳴る心臓を落ち着かせていると「回答はじめ」の教官の声。深呼吸をして解答用紙を表に向けるとそこには一行だけ。
「運とはどういうものか説明をしてください(配点100点/解答時間600分)」
いや…むずうううう…これで人生決まるの…?
でも時間は死ぬほどあります。まあまあ長めの韓ドラを複数話見れるくらいあります。初めは手のつけようがないと思っていたけど、じっくーり考えていくと徐々に何を書こうかが思い浮かんできます。まずは概念の説明をしようか、自分の人生で運がいいと感じたエピソードも書こう。でも知り合いのA君は他人から見ても運が死ぬほど悪かったな…運って主観的?客観的?運をよくするにはどうしたらいいんだろう?イヌイットには運って概念あるのかな?昔の人はどう考えていたんだろう?など様々な側面から豊富なアイデアが出てきます。そして端的な言葉でなく、こだわりのある内面が滲み出るようなしっとりとした文章で、あなたの説明は綴られていきます。こういう時は思考のスピードは小さいがパワーは大きいです。

②この文章を書いている私。今飛行機に乗っています。少し長距離のフライトのため、機内で過ごす時間はたくさんあります。少し大きめのプロジェクトも最近終わって手が空いたため、最近は時間があり心も穏やかです。おそらくこのnoteは普通に書くと1時間くらいでかけるので、結構文章を推敲したとしても2時間はかからないでしょう。時間にゆとりがあるので、ゆっくり好きなままに文章が書けます。いろんなアイデアが浮かんできて、その中から相応しいものを落ち着いて取捨選択できます。今CAさんが温かなお茶を持ってきてくれました。「ありがとうございます」と目を見てお礼が言えます。それくらい思考にゆとりがあります。今の思考のスピードは小さいがパワーは大きいです。

と、こういうように思考にはスピードとパワーの二要素があり、この二つはトレードオフの関係にあることがわかるかと思います。両者は同時に高みで存在し得ないのです。

スマブラのキャラと一緒ですね。クッパは遅いけどパワーは強いです。ソニックは早いけどパワーは弱いです。マリオはバランスが取れています。こういうこと。

ちなみに直感はスピード:高、パワー:低の極地のような存在です。将棋とかはスピード:低、パワー:高のゲームです。

これは私の持論ですが、人にはそれぞれ、この思考のスピードとパワーのバランスに、ある程度の基準や癖があると考えています。そしてこのバランスは置かれている環境によって変化をします。

例えば、私は大学受験生の頃、かなり他よりも熟考能力を要する大学を受けていたため、どちらかというと思考のベースがスピード:低、パワー:高に維持されたまま年月を過ごしてきました。それが先述したようなスーパーワークハードモードの環境にぶち込まれたため、スピードが低いままではそれを処理し切ることができず、徐々に思考のタイプがスピード:高、パワー:低になった。これによって、以前のように深く物事を考えられず、気持ち悪いという感覚が芽生えたのです。

そして、多くの現代人の思考タイプは、パワーからスピードを重視するように徐々に変化していっていると感じています。
その理由がインターネットの登場です。インターネットによって、私たちは日々大量の情報を目にするようになりました。「現代人が1日に受け取る情報量は、平安時代の一生分であり江戸時代の1年分」とよく言いますよね。さらにこういったインプットだけでなく、SNSの普及によって、我々は大量の情報もアウトプットするようになりました。LINEで友人とメッセージを大量に送りあったり、仕事の際にはslackで長文を打ち込んだりと、過去には考えられない文字量を我々は気軽に日常で生産しています。それに拍車をかけるのがデバイスの進化。高性能のパソコンでのタイピングや、スマホのフリック入力により、私たちの手の動きというのは恐ろしく高速化しています。紙にメモするよりも、タイピングで打っちゃった方が早い人は多いでしょう。さらにポータブルであることにより接触回数も増えたので、我々の思考スピードは常にこういったインターネットやデバイスに適応した状態になっている。つまりスピード:高、パワー:低の状態に固定されているということです。

こうなると、思考のスピードを落とし、力強く考えるということが段々とできにくくなっています。おそらく現代人のほとんどは熟考が苦手です。深い思考の世界に潜ることはできないし、集中力もない。でもしょうがないのです。スピードが遅い脳のままでは、スマホに依存したこの外部環境に適応ができないからです。まあ別にそれで困らない人はそれで全然いいのですが、私はすげー困りました。だって思考でバリュー出してるんですもん。というわけで脳のスピードを落として、思考を力強くする矯正方法を実践しました。

それが「手で紙に書く」です。
日頃のタイピングやフリック入力と比べて、紙に書くという行為はスピードが落ちます。しかもそのスピードをコントロールしやすいです。
また通知や誘惑が邪魔をするスマホと比べて、紙は余計な情報が入ってこないので、深く集中の世界に入り込むことができます。

これに気づきを得てから、私は一旦、戦略を立てたりメモをするという行為だけをPCから手書きに変えてみました。そして書く際は、できるだけ思考を働かせながらゆっくりと書いて、脳のスピードを落とすということを意識しました。

初めはまだ脳がスピード重視の性質のままだったため、すごく書くのが辛かったのですが、5日ほど根気よく続けていくと、だんだんと脳のスピードがゆっくりになっていくのを感じ始め、昔のような独自性のあるイケてるアイデアが少しずつ思い浮かぶようになってきました。

それからというもの、この手書きで戦略を立てたりメモを取るという行為は今でもずっと続けています。それもあってか、現在の私は、このスピードとパワーのバランスを自由に使えるようになりました。質よりも速さを優先する際にはスピードタイプに。速さよりも質を優先するならパワータイプにというようにです。このトレーニングの一環として写経がありますが、こちらもすごく効果的。マーケの勉強にもなって一石二鳥です。

今までは脳の片方のタイプしか使えなかったのですが、これが両方できるようになるとマジで超気持ちいい。スマブラでどのキャラを使うのかが、相手によって選べているような感覚に近いです。いうまでもなく強いです。

下記2つのコンテンツも、この内容にかなり近い部分があり、参考にさせて頂いたのでぜひみてみてください!特に岡田さんはやっぱり言語化力すごいです。



はい、ということで今日のまとめは

1. 頭を使う仕事なら思考のパワーは超重要。
2. 思考のスピードとパワーはトレードオフの関係にある
3. 現代人はスピードは大きいがパワーは小さくなりがち
4. パワーを鍛えたいなら、手書きをすべし

でした!

ここまで読んでいただきありがとうございます♪
twitterではこういった感じの、マーケに関する思想強めの発信をしているので、よろしければフォローお願いします🙌

noteは、なかなか世に出せない変なことを、これからも書いていこうと思うので、気になったものがあれば見てみてください🌀

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?