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GWに読んだ本

発売前後のイベントが落ち着いてきて、
このゴールデンウィークは読むスイッチが入ったようで、本ばかり読んでいた。

いつ読んでるんですか?
と聞かれることがあるけれど、ふだんスイッチが入っていない時は、集中したい本はお風呂場で読んでいる。あとは午前いろいろしながら、だらだらとリビングで読んでる。

スイッチが入ると、ずっと読んでる。
1分でも時間があれば本を手にとる、という感じで。

ゴールデンウィークはまとめて読めたので、
久しぶりに感想を書いてみます。

君のクイズ 小川哲

人が死ぬミステリーって、
自分の精神状態によって読めたり読めなかったりするんだけど、このミステリーはどんな時でも楽しめるなぁと思う。

テレビの番組でしかみることのなかった、
クイズの奥深さやおもしろさをひとつひとつ知れて、読む前より少しだけ世界を深く知れたような気持ちになった。
ラストへの向かい方がとても好きだった。

水車小屋のネネ 津村記久子

友人の子どもの頃からの日記を読んでいるような感覚で読んだ。書かれているのはある姉妹と一羽の鳥が紡ぐ日常であり、人生でもある。

読み終わった後は、自分自身の人生を振り返った。
私も主人公の2人と同じように、縁もゆかりもない土地に出てきて、多くの人に助けてもらって15年近くが経った。
私は、自分が優しくしてもらった分のうち、どれくらいを誰かに返せているだろうか?自分の時間を、誰かのために使えているだろうか?と思い、あまりに足りなくて反省した。

出会った人に親切に生きてたら、この本を読んでいる時のように、あたたかくじんわり幸せに人生が過ごせるのかもしれないなぁ。

まく子 西加奈子

図書館で借りた本。
(返しちゃったのでトップの写真には無し)

大人になりたくない子どもと宇宙人の話。
と書くと、なんだそりゃと手を伸ばすのをためらわれてしまいそうだけど、私は久しぶりに声出して泣いた本だった。
好き嫌いは、人によって絶対にある本だと思うけど、今の自分は泣いてしまった。

まさにこれから、
子どもたちが通ろうとしている道だし、
かつて自分が通ってきた道だから。
恥ずかしくて、
苦しくて、
悩んで、
大人になるのだよねぇ。

錦繍 宮本輝

父の本棚から借りてきた本。

元夫婦だった男女の往復書簡。
往復書簡って、もう中学生くらいからメールがあった私たちの世代には馴染みが薄いんだけど、だからこそ心惹かれるものがある。

『錦繍』というタイトルもだけど、
文章も綺麗で大好き。こういう文章は、いつまでも読んでいられると思う。

設定やストーリーや描かれる価値観は、ところどころ古いものの、夫婦が別れるにいたった衝撃的な事件がなぜ起こったのか知りたくて、はじめからテンポよく話が進むこともあり、どんどん読めた。

それでも前を向く 宮市亮

マリサポ(Jリーグチーム 横浜F.マリノスを推すサポーター)として、読んでおかなくてはと思っていた本。サッカー本大賞を受賞したと聞いて、手に取った。

「なんでこんなに明るいんだろう。
 僕も亮くんみたいになりたい」
とチームに新しく加入した選手が言うくらい、いつも明るく優しい宮市選手。

何度も怪我をしてそれでもまた復帰した選手、ということは知識として知っていたけれど、本人から語られるサッカー人生は、痛々しく、困難で壮絶だ。
自分だったらと考えるのもおこがましいけれど、
俯いたまま、顔を上げるなんてできないだろう。

けれど、宮市選手は前を向く。
笑顔で明るく、プレーし続ける。

その理由を、この本を読んで見届けてほしい。
また選手を、チームを、サッカーを、応援したくなる一冊。

最後の秘境 東京藝大
ー天才たちのカオスな日常ー 二宮敦人

元オーケストラ部なので、
東京藝大に行った知り合いが何人かいる。
(関西の学生は「東藝」と呼んでいた)

中学の頃から知ってるその人たちは、当時からやっぱり「人生何周目?」と思うくらいの音色を奏でるようなすごい人達だったのだけど、そんな人ばかりが集まる東藝って一体どんなところなんだろう、という興味から読んだ。

東藝には音楽学科と美術学科があり、たくさんあるエピソードはどれをとっても個性的でおもしろい。

でもそれだけじゃなくて、自分にも覚えがあるようなハッとする言葉も要所要所に置かれている本だった。

「そうして制作した作品には、凄く愛着がわきますね。自分より大事なもののように思えたり。自分と世界との接点ですし、自分の分身でもある。でも、完成した瞬間にそれは他者になっていて、もう、分かり合えない部分が生まれちゃうんですよね。だからまた、新しく考える……」

『最後の秘境 東京藝大ー天才たちののカオスな日常ー』10.先端と本質 黒川さんの言葉より引用

ここはまさに、今の自分に響いた文章。
音楽は一瞬の芸術なので、「完成した瞬間から他者」なんて考えたこともなかったけれど、小説は美術と似た側面があって、もう出来上がったら読む人のものという気持ちになっているから。

近いような遠いような秘境・東京藝大。もっともっと深く分け入りたくなってしまい、学園祭(藝祭)の日程まで調べてしまった。9月の初旬のようだったので、カレンダーに追加しておいた。


これ以外に、小説の資料の本をいくつか読んだ。

ちょっと体調の悪かった娘も、私の隣でずっと本を読んでいた。そろそろ上橋菜穂子さんのファンタジー小説を全て読み終えてしまいそうだ。
息子と夫は、サッカーしたりジョギングしたり走り回っていた。

子供たちの興味がそれぞれ違ってきて、家族全員でずっと一緒にいるということは少しずつ減ってきたけど、だからこそ一緒にゲーム(桃鉄)したり、サッカーを観戦したり、そういう時間は少し特別に感じるようになった。今の、うちの家族の形はそんな感じ。

創作大賞2024作品も、読み始めているので、
今年はnoteで感想を書けたらなぁと思う。

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