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【エッセー】<プロ野球>DeNAを全力応援する阪神ファンが居てもいいじゃない

優勝争い、CS争いと最後まで目が離せないセ・リーグの戦いに、SNSでは「マジック4」「代打坂本」「バルドナード」「大勢はガチ」「逆転ホームラン」「石川昂弥」などが次々と注目ワードに浮上。

巨人ファンが「優勝はもう目の前」「CSでは満足できない。このまま優勝するのみ」と喜びの声を上げる一方で、虎党からは「3日間試合ない間に巨人が連勝したら終わり」「3日間試合ないからしっかり休んで5連勝もなくはない」「今年の阪神なら5連勝はありうる。問題は巨人が3敗するか」「DeNA全力応援します」「DeNAさん2連勝してください」とさまざまな声が。

また、残り10試合のDeNAが巨人と3試合、阪神と3試合を残していることから「セの優勝マジでDeNAにかかってるやん」「優勝争いは両方ともDeNA戦がカギかな」の声も。優勝の可能性を残すDeNAは25日から本拠で巨人と2連戦、29、30日は甲子園で阪神と対戦する。

野球ファン、とりわけ、贔屓球団がセ・リーグの野球ファンにとっては、この文面だけで理解出来るかもしれないが、「なぜ阪神ファンがDeNAを全力応援するの?」という疑問を持つ人も、居るかと思われる。その答えは、カレンダーを見れば、一目瞭然だ。


【阪神】

24~26日は試合が組まれていないのが見て取れる。

【巨人】

24日は試合が無く、25~26日に、【DeNA-巨人】の2連戦が組まれているのが見て取れる。

以上のことから、阪神ファンは、贔屓球団は試合が組まれていないながらも、目下のライバル、巨人は試合が組まれているからこそ、「25日と26日は阪神ファンからDeNAファンになります!」というわけだ。

それを前提に置いた上で、今日の話を、書き進めて行きたい。


関西生まれ関西育ちの野球好きの僕にとって、周りの人々は、みな阪神ファンなのだけれども、22日と23日に行われた、【阪神-巨人】の天王山(首位攻防戦)は、1勝1敗の結果に終わり、2連勝を信じて疑わなかった阪神ファンの皆様方にとっては、さぞや悲嘆に暮れる声が聞かれるものと覚悟していたのだが、僕が想像していたよりも、ポジティブな声が目立った印象だ。

ポジティブというのか、自分にとって都合の良い未来予想図しか描かない連中が、揃っているだけかもしれないが。

今回、引用した記事に出て来る阪神ファンの声にも、「DeNA全力応援します」「DeNAさん2連勝してください」と紹介されているが、僕の周りの阪神ファンも、同じようなコメントを発していた。

更に付け加えておくと、「〇〇という理由からDeNAは巨人に勝つことが出来る」と、これまた希望的観測がふんだんに盛り込まれた勝敗予想をする者も多かった。当然と言えば当然だが、いずれも、「ゆえにDeNAが2連勝する」という結論になっていた。

はたから見ていた僕としては、よくまぁそんなにDeNAの勝算を導き出せるものだな、と思いながらも、もしかしたらDeNAファン以上に勝算を導き出す作業を真面目に行なっているのではないかしら、と感心させられるほどでもあった。

それに引き換え、巨人の戦力分析は、稚拙も稚拙。とりわけ、「この前のホークスの時みたいにマジックが1に近づくほどプレッシャーを感じるもんや!w」「無死満塁で点取れんチームが勝負所で勝てるわけないやろ!w」などと、精神論に偏った分析が目立ったのは、非常に気になるところではあったのだが。

・・・失敬、打ち消し線を多用し過ぎだな、と感じ始めてきた。読みづらさに繋がりかねないので、そろそろ自重しよう。

僕は悪くない。ツッコミどころ満載の、僕の周りの阪神ファンが悪い。


▶DeNAを全力応援する阪神ファンが居てもいいじゃない

これは、今回のタイトルの文章だが、実はコレ、僕自身が、自問自答の末に行き着いた答えなのである。

当初、僕は、この答えとは全く異なるモヤモヤを、抱えていた。というのも、冒頭に貼った、阪神のカレンダーを見たらお分かりのように、29日と30日は、【阪神-DeNA】のカードが組まれているからだ。

僕は、「以上のことからDeNAは巨人に2連勝することが出来る!」と、ドヤ顔混じりの持論を披露する阪神ファンを見るたびに、「DeNAを持ち上げれば持ち上げるほど、29日と30日の、”阪神負けフラグ”が立つことになりかねないんじゃ・・・?」と、ひどく気になったものだ。

けれども、僕の周りの阪神ファンは、そんなこと、しったこっちゃない。そうなったらなったで、今度は、「〇〇という理由で阪神はDeNAに2連勝することが出来る!」と、持論をブチ上げるのだろう。

実際に聞いたわけではないけれども、そんな絵が容易に浮かんでくる。「DeNA-巨人」の勝敗予想の際には、DeNAは、ポジティブな面しか言及されなかったが、今度は、ネガティブな面を見つけ出してきて、「ゆえにDeNAは阪神に勝つことは出来ない!」と、高らかに宣言することだろう。それもやはり、ドヤ顔で。

ココまで書いて、僕はふと、太宰治の一文を思い出した。

「信じるところに現実はあるのであつて、現実は決して人を信じさせる事が出来ない。」

なるほど。確かにそうだ。ココで僕が、第三者的立場から、ツッコミどころ満載の勝敗予想を語り合っている阪神ファンに、何かしらの物言いをつけたとしても、十中八九、聞き入れてはくれないだろう。なぜなら、「信じるところ」ではないからだ。

僕の物言いが「現実」だとは言わない。なぜなら僕は未来人ではないのだから。単なる野球好きに過ぎないのだから。それに、もしかしたら、僕にとっては、希望的観測に満ち溢れている未来予想図に思えた内容でも、その通りに、コトが運ぶ可能性だってあるのだから。

ただ、当事者ではない(ちなみに僕はカープファンである)からこそ、客観的な視点で戦力分析を行いやすいのではないかしら、とは思う。そんな目線から、「いや、でも、〇〇じゃなくて、△△なんじゃない?」と、問うてみたい気持ちも、何度か、あった。

けれども僕は、口を閉ざした。コレに関しては、「言えない」というよりも、「言わない」を選択した、と形容するべきだろう。「まぁ聞き役に徹した方が無難か・・・。」ぐらいの面持ちで、耳から耳へ通り抜けさせていたのだが(果たしてそれは聞き役に徹しているのか?)、今振り返ってみると、無意識的に、太宰治『津軽』の一文が、頭の片隅に残っていたのかもしれない。

”信じるところに現実はある”

言われてみれば、僕だってそうだ。「他力本願」の場面においては、「どうすれば自分にとって都合の良い展開になるか?」を真剣に考えて、可能性が1%でも有ると感じたものは、意図的に(?)拡大解釈を行なう。それは「人間のサガ」と言っても、過言ではないのかもしれない。

今回だって、そう。1%を、10%、いやいや!、20%、いいやもっと!、30%、もう一声!、40%、もういっちょ!、50%、そう、50倍ぐらいに解釈して、また、その50%を、数字通り「〇〇という結果は50%の確率で起きる」などと述べることはせず、「〇〇という結果になる!」と、断定口調で言い切ってしまう。そうすることによって、周りの同志(阪神ファン)に、あたかも100%起きるかのような、”未来預言者気取り”を演じることが出来る、というわけだ。

・・・いや、それはさすがに、言い過ぎか。失敬。ちょっと小馬鹿にし過ぎたみたいだ。どうも僕は、ちょっとこう、自分が好いている人に対しては、逆に、からかってしまうのだ。反動形成という言葉がある。いかん。病気ですね。

【※】元ネタ

はじめに逢ったひとには、ちょっとこう、いっぷう変っているように見せたくてたまらないのだ。自縄自縛という言葉がある。ひどく古くさい。いかん。病気ですね。

・・・コホン。

なんか、上手くまとまらなかったな。もうちょい、ユーモラスに描きたかったのだけど。収拾がつかない文章になってしまった。自分の文才の無さを呪うしかない。許しておくれ。

今回の話の着地点としては、「野球ファンという括りで見れば同じ仲間なのだから手を取り合って行こうや」という、ハートウォーミングな内容に仕立てあげたかったのだけど、どうにも、上手く行かなかった。タイトルが独り歩きした感がある。申し訳ない。


【P.S.】

優勝の可能性が消えた広島には「ついこの前まで首位じゃなかった?すごい失速」「こんだけの失速じゃしゃーないね」「少し前までサンフレッチェとダブル優勝とか話してたはずなのに」「6年連続のV逸です」と嘆く声が上がった。

カープファンのワイ、爆死。(申し訳程度のオチ)

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