見出し画像

漠然とした不安に負けない身体の手に入れ方について【その7 椅座における正座について】

前回は、正座の効用ということでお話をさせていただきました。

今回は、椅子に座って長時間、仕事をしたり勉強したりする人たちのために、椅座における正座についてお話しさせていただきたいと思います。 

しかしその前に、「正しい座り方」が、なぜ必要なのかということに関して、僕の考えを述べたいと思います。

 姿勢の悪い子は成績も悪い

仕事柄、学校の先生と話をする機会が多いのですが、口を揃えたように「姿勢の悪い子は成績も悪い」と訴えてきます(笑) そこで、どういう指導しているかと尋ねると「背筋を伸ばしなさい」「猫背にならないように気をつけなさい」「腰を立てるように座りなさい」というような指導するそうです。

皆さんも、同じようなこと言われたことがありますよね。だけど、背筋を伸ばせと言われても、授業の間、ずっと持続することなんて出来なかったんじゃないですか?

最適と思われる状況の表層だけ捉えると、確かに、背筋が伸びて腰が立っていれば、「いい姿勢」のように見えます。だけど表層だけ真似しても長続きしないのであれば意味がありません。

するではなく、そうせざるを得ない状況を作る

いい姿勢をとりたければ、そうならざるを得ない状況を身体に作る必要があります。ではどうやって、その状況を作るのかということですが、それは「型」を用いて行うのです。今回は、椅座(椅子に座ること)における正座というテーマですので、最後に「型」の作り方について説明させていただきますが、その前に、なぜいい姿勢が必要なのかについて僕の私見を述べさせてください。

なぜ、いい姿勢が必要なのか?

例えば、楽器を習う時に最初に教えてもらうのが姿勢です。これはスポーツでも武道でも、そろばんでも書道でも同じです。最初に姿勢を習うのは、それぞれの行為に全集注できる感覚を養うためだと僕は考えます。

 さきほどの、学校の先生の「姿勢の悪い子は成績も悪い」という話を思い出してください。勉強するという行為に全集注するために最適な姿勢をとることができないと成績も悪くなるという話は理解できると思います。

また、姿勢は健康にも大きな影響を与えます。

姿勢って本当に大事なのです。

椅座における正座の方法について

では、いよいよ具体的な椅座における正座についてお話をしていきましょう。しかし、正座の定義は深掘りするとかなり面倒なことになるので、今回はシンプルに行きたいと思います。

正座というのは、座位における基本の座り方です。基本ということは、ここから瞬時にあらゆる動きを起こすことができるということです。

前回でもご紹介した正座からの垂直跳びを再掲しておきます。

別にこれができたからどうということはないのですけどね(笑)

 床での正座と椅座における正座に共通することは、坐骨の真下に踵が来るということです。

 この法則は椅座においても変わりません。

 そして、椅子に座る時に使う「腰掛ける」という言葉を思い出してください。「腰を掛ける」「座る」とは、だいぶ違う印象の言葉ですよね。「腰掛け」というと一時的にそこにいるという感じですが、「座る」はしっかりと固定された感じです。

 僕の感覚で言うと、正座とは、この二つの感覚が同時に発生する姿勢なんじゃないかと思います。両方あるから、どっしりと正座した状態でも真上に飛び上がることができる。

 この両方の感覚を同時に発生させるためのコツは坐骨を腰のフックのように使うということです。

 では実際にやってみましょう。

上の図のように、椅子の前方に座ります。普通に座ると、踵は大体、膝の下にくると思います。

次のその踵を、下の図のように、坐骨のところまで引いてきます。

そうすると、踵は地面から浮いてきますが、自然に腰の反りが生まれるはずです。

 丹田を意識する方法

次に、浮いた踵を地面に向かって踏み込んでみてください。

下腹部のあたりに力感が生まれるはずです。この力感が丹田と呼ばれる感覚です。丹田の感覚は、いろいろ使えますので、まずは、感覚的にその存在を掴めるようにしてみてください。

「坐骨の位置」「踵の位置」「腰の反り」の三つの要素がうまく揃うと、踵を踏み込むことで、真っ直ぐに立ち上がることが出來るはずです。

普通に座って、普通に立ち上がろうとすると、どうしても一旦前に身体を前に倒して、どっこいしょという感じで立ち上がることになると思いますが、これでは正座とは言えません。正座とは次の動作に反動を使わずに移行できる基本姿勢であるということを忘れないでください。

椅座における正座は最初は大変だと思いますが、休み休みでいいので実践して、少しずつ体幹を育てていくようにしてみてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?