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新世代の展示会の第一歩 NEOKET

寒風吹きすさぶ2021年1月30日、オールジャンル同人誌即売会イベント「NEOKET」が開催された。
これはピクシブ株式会社が運営元となり、monoAI technology株式会社の協力のもとに運営される仮想空間上での会場を舞台としたイベントである。
これまではいろいろな会場で同人誌の即売会が行われていたが、昨今のコロナ禍によりイベントの開催そのものが危うくなる状況が増えている。
そんな同人作家やファンのために、リアル(現実)ではなくバーチャル(仮想)という実態的接触を伴わない会場での販売イベントという非常に試験的な試みを行っているのだ。

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会場はNEO代々木というロビー会場からNEO国際展示場駅のあるエリアと、AからJまでの10個の「島」に分かれて展開されている。
NEO代々木からは地下鉄に乗り虚空に浮かぶNEO国際展示場で下車、そこから各島へワープする事が可能だ。
また島にはメニュー画面から直接ワープする事もでき、希望の目的地まで瞬時に移動する事も可能だ。

ユーザー向けの機能として画面を写真のように撮影出来るスクリーンショット機能、またテキストチャットによるコミュニケーションも実装している。
音声による会話も可能である他、試験的にではあるが一部のVRデバイスにも対応しており立体感を持つ映像と共に両手を動かせるレベルで可動が可能となっている。

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各島は円形となっており、外周に入り口や出展サークルのブースが等間隔で設置されている。
ブース内にはカタログを載せるお品書きスペースを完備。ここでは展示物の試し読みが可能となっている。
またブース前に展示されたカタログをクリックすれば、デジタル製品販売サイトboothに設定された商品ページをダイレクトに閲覧する事が出来る。
この機能はとても画期的であり、今までの展示会の様に製品の頒布先をメモしブラウザを立ち上げて販売ページを探して購入するという手間の部分を大きく省くことに成功している。
ユーザーが良いと思ったものを直感的に買う事が出来る導線の他、購入した際にアバターが購入品のカタログを所持するという機能も備えている。
これにより、出展者や参加者に買った事をアピールでき購買意欲を増進させる効果が期待される。

アバターに関してもVRoid Hubというアバター登録・管理サービスと連携。あらかじめデフォルトで設定されたアバターの他、条件を満たせば自作のアバターを持ち込む事も可能となっている。
このためデフォルトアバターではなく独自のアバターを持ち込んだ参加者もある程度見る事が出来た。

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一方で課題となる点もいくつか浮き彫りとなった。
会場に同時参加出来る人数は1000人と大規模な設定ではあるが、アバターが描画される距離はせいぜい15m程と短く、遠距離にいるアバターは青い人形のピンの様な簡略表示となってしまう。
またVRモードについても動きそのものは非常にカクカクとしており、周りから見える様子はお世辞にもスマートと手放しに褒めるのは難しい状態というのが実情である。
そして一番の問題が音声周りの品質であり、3~4mも離れれば全く相手の声が聞こえなくなる程に距離減衰が強い。音声通話そのものにもかなりのラグが生じており、自分や相手の声が聞こえなかったり発話されていないという事がしばしば起きていた。
テキストチャットも他人が発言した内容が自分のアバターの真上に表示されるなど、まだまだ改善の余地は多く見受けられた。

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第一回の開催という事で手探りの状態であるものの、盛況の中18時までの開催を終えた第一回NEOKET。
今後のさらなる発展に向けてより良いイベントとなる事を期待したい。


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