【予想ドラフト】 #ヨソドラ 中日陣営の指名を振り返る
皆さん、こんにちは。今回は2020年10月19日から23日にかけて行われた予想ドラフト、ヨソドラの中日陣営の指名についてnoteしていきたいと思います。
ヨソドラとは何か?については、主催者であるARAさんのnoteをまずご覧ください↓
今回私はARAさんよりお誘い頂き、中日ドラゴンズの担当者として参加させて頂きました。各チームの担当者は一緒に指名を考えてくれるサポーターをつけることができるので、今回は 昇龍 (@7580dragon)さん、クレープ (@kurepu06)さんという2人の強力なサポーターをつけて指名に臨みました。
最終的に中日陣営が予想した指名選手は下記になります:
▽ヨソドラ 中日陣営 指名選手
1位 高橋宏斗 投手 中京大中京高校
2位 鈴木昭汰 投手 法政大学
3位 中野拓夢 内野手 三菱自動車岡崎
4位 若林楽人 外野手 駒澤大学
5位 内山壮真 内野手 星稜高校
6位 高野脩汰 投手 関西大学
育成1位 戸田懐生 投手 徳島インディゴソックス
育成2位 中川拓真 捕手 豊橋中央高校
それでは以下で、今回の指名に至る分析と実際の指名の裏話についてnoteしていきたいと思います。
●指名戦略の予想
まず始めにどのような指名戦略の予想に基づき指名に至ったか?ですが、こちらは以下の記事で詳細にまとめておりますのでご一読ください。
基本的にはこちらの記事内で行われたチーム編成の分析とステークホルダーの分析を基に作成した、以下の指名戦略を用いて指名を進めていきました。
ここからは実際の指名の際に陣営内でどのような会話が行われていたか、また各指名順においてどのような選手をリストアップしていたかも合わせて紹介していきたいと思います。
●1巡目指名: 「指名確実」な高橋宏斗に入札
まず初回入札は計画通り、高橋宏斗にしました。現時点で指名公言は出ていないものの、中スポの下記記事にあるように「指名確実」と言う見出しと共に彼を紹介していることから、まず間違いなく高橋に行くだろうと予想。
ちなみに昨年のスカウト会議では当初奥川が有力候補として挙がっていましたが、「奥川 最有力」止まりでした。
報道等から予想すると楽天の入札の可能性は高く、少なくとも一本釣りは難しいだろうと予想していました。加えて今回のヨソドラでは全球団の担当者が事前に指名戦略を公開しそれぞれの予測に役立てようと言う取り組みがされていたのですが、その際に主催者のARAさんが担当するソフトバンクの1巡目候補に直前まで高橋の名前があり、楽天と合わせて3球団競合までは覚悟していました。ただ実際に蓋を開けてみると、12球団の1巡目入札は下記の通りとなりました:
1番人気が近畿大・佐藤輝明の5球団、次に早稲田大・早川隆久の3球団、そして我々の高橋が楽天との2球団競合に。高橋の名前を最上位に挙げていたソフトバンクも、結局は佐藤の指名に切り替えたようです。また直前まで早川の指名を検討していたヤクルトはトヨタ自動車・栗林良吏の指名に切り替え、見事単独指名に成功。DeNAも中央大・牧秀悟を単独指名しました。
さてここからいよいよくじ引きだ・・と与田監督ばりの豪運を見せるべく意気込んでいましたが、ヨソドラではあくまで「予想ドラフト」と言うことで、1巡目指名の決め方にも趣向を凝らしていました。それは担当者間でくじ引きをするのではなく、下記の記事で取り上げられたドラフト1位くじ運ランキングの順位に則って当選球団を決めると言うことでした。
この記事によると中日は全体2位の勝率.600を誇り、競合相手の楽天は4番目の.400なので、高橋宏斗の交渉権は無事に中日が獲得することになりました!くじを引いて発表を待つあの独特なドキドキ感こそありませんでしたが、意中の選手の交渉権を無事に獲得できた嬉しさはやはり格別です。その後外れ1位の指名まで終えて、最終的には以下の結果となりました。過去のくじ運をベースに入札された選手の行き先を決めているだけあって、ファンから見ても「ありそう」な結果になっていると思います。
ちなみに中日陣営は高橋の外れ1位候補として、第1候補を栗林、第2候補を日本体育大・森博人にしていました。なので今回のヨソドラでもし高橋の抽選に外れた場合は、森を1巡目指名した上で上記指名戦略の「シナリオB」で指名を続けていたことになります。
高橋の交渉権獲得に成功したことで、2巡目以降の指名は「シナリオA」に沿って進めていくことになりました。
●2-3巡目指名:中野の2巡目指名がないことを祈る
2巡目はシナリオAに従って「即戦力投手」の獲得を目指しました。事前の陣営内の打ち合わせでは「即戦力」、「左投手」、「三振が取れる」、「地元or学閥」をキーワードに、以下の投手をリストアップし優先順位を付けました:
①鈴木昭汰 法政大
②森博人 日本体育大
③入江大生 明治大
④山野太一 東北福祉大
⑤宇田川優希 仙台大
⑥藤井聖 JX-ENEOS
⑦大江克哉 NTT西日本
この話し合いをしている最中はまだ2-4位どの順位に中日が落ち着くかわからなかったこともありますが、今年の左投手では早川に次ぐNo.2の評価を受けている鈴木を優先順位のトップに置きました。鈴木には中日スカウトのコメントは出ていませんが、高校時代には出ているのと、何より1巡目候補としていた早川との投げ合いを見ているだけに視察・指名検討は十分に行われていると予想しました。ちなみに昨年2巡目指名の橋本侑樹にもスカウトコメントは出ていません。
なお今回のヨソドラでは中日が無事に指名できましたが、ヨソドラ2日目の朝に以下の記事で「西武が最上位にリストアップしている」と言う記事が出ましたので、現実には少なくとも西武の2巡目指名までには消えているかもしれません。
指名候補が7人もいた2巡目即戦力投手よりも陣営内で気を揉んでいたのが、3巡目までに中野が残っているか?と言う点です。3巡目の即戦力内野手については中野以外指名対象となりそうな選手がおらず、ベストケースを描くには欠かせない選手でした。事前に他球団の指名戦略を覗いてみると、ヤクルト、DeNA、ロッテ、ソフトバンクあたりが即戦力内野手の上位指名を検討していることがわかりました。ソフトバンクについては、1巡目で二遊間の選手=元山を指名しなかった場合、中日の指名を邪魔する意味でも中野を2-3巡目で指名してくることは容易に想像がつきました。よって1巡目で元山を指名しなかった場合は、2巡目に中野を繰り上げる案を検討していました。
結果的にはソフトバンクが1巡目に元山を指名してくれたので報復指名(?)の可能性はなくなり、あとは残る3球団の2巡目指名の可能性です。どの球団も流石に早くても3巡目での指名を考えているはず・・と思ってはいましたが、中野の指名が中日の2巡目指名までないことが分かる直前までハラハラしてしまいました。想定通りに3巡目で中野を指名できたことで、「即戦力投手・野手を2-3巡目の上位で指名する」と言う大前提が達成できてまずホッとしました。
中野にも中日スカウトのコメントは出ていませんが、視察情報あり、また地元の情報番組ドラHOTでも「指名候補」として取り上げられているので、こちらも十分指名が予想される選手です。
またこれは本当の裏話ですが、2-3巡目指名を待っている間、私の質問箱に「○○選手の順位縛り」と「XX選手に調査書を送った球団」についての怪情報が届けられました笑。直接我々の指名戦略には関係しなかったのですが、陣営内ではこの怪情報で大いに盛り上がりました。本当かどうかは現実のドラフト会議で確かめたいと思います。笑
●4-5巡目指名:上位指名候補・内山壮真を「地元枠」に認定
4巡目では外野手の獲得を目指しました。記事内で言及した通り、「即戦力と将来性を兼ね備えた大卒以上で、できれば長打が見込めるタイプ」に重きを置いていました。正直今年の候補の中ではなかなか中位で対象になりそうな選手は少ないと思っていましたが、下記の通りリストアップしました:
①若林楽人 駒澤大
②並木秀尊 獨協大
③向山基生 NTT東日本
④齋田海斗 東日本国際大学
⑤関龍摩 関東学院大学
リストの最上位に置いたのは駒澤大の若林です。身体能力抜群のセンターで、今秋から飛躍的に長打力を発揮している若林は補強ポイントに完璧にマッチします。中日・米村チーフスカウトも「ツボを持っているし、パンチ力がある」とコメントを出しており、十分指名が期待できる選手だと思います。中日に駒沢大OBが多いのも後押しになるはずです。
リストアップした選手のうち並木はヤクルトの4巡目で指名されてしまいましたが、中日の4巡目まで残った第一候補・若林は無事指名することができました。
続く5巡目指名は「シナリオA」に則ると、地元の即戦力投手を指名予定でした。中日の5巡目指名はここ数年は「地元枠」として知られ、16年の藤嶋健人、17年の伊藤康祐、18年の垣越建伸、19年の岡林勇希と東海圏から選手が指名されています。そこで今回も5巡目の指名候補としては、地元に縁がある以下の投手をリストアップしていました:
①山本一輝 中京大
②松向輝 日本製鉄東海REX
③池谷蒼大 ヤマハ
④坂巻拳 三菱自動車岡崎
ただここで陣営内で気づいたのは、上位指名候補として考えていた星稜高・内山壮真の指名がここまでなかったことです。順当に行けばプラン通りに山本を指名するだけでしたが、ここで彼を地元枠として5巡目で指名する想定はアリか?について検討が始まりました。
昨年同じ石川・星稜高出身の奥川を直前まで「準地元」と捉えて1位候補だったことや、星稜OB・音スカウトを中四国担当から北陸担当へ異動させてまで奥川を追っていたことを考えると、2年時からドラフト指名候補として注目されていた内山を今年指名するのは十分に考えられます。
内山に対しては、米村チーフスカウトが以下のコメントを残しています。
米村チーフスカウト「(内山について)実績があるし、今日打った、打たないで評価は変わらない。第2の岡林ではないが、捕手も遊撃手もできる。いい素材だと思う。十分、ドラフト対象になる選手です」
8/16 西日本スポーツ6面より
「第二の岡林」と言うコメントを見るとますます5巡目指名はアリに思えてきますよね。高卒ショートを必要としている補強ポイント的にも、また昨年からの動きを勘案しても、内山がこの順位まで残っている場合の「地元枠」を適用した5巡目指名予想は妥当だと言う結論に至りました。実際のドラフトで彼がどの順位で指名されるかはわかりませんが、縁があると嬉しい選手です。
●6巡目指名: 「丸山パターン」を想定して高野の復活に期待
支配下指名最後となる6巡目では、関西大・高野脩汰を指名しました。この順位では5巡目で獲れなかった地元の左投手たちをそのまま指名することもできましたが、気になったのは地元選手のバランスです。中日はいくら地元重視の球団と言えど、過去数年のドラフトでは支配下選手6人のうち、地元に縁のある選手の獲得は2~3人*に留まります。今回のヨソドラでは既に1巡目高橋、3巡目中野、5巡目内山と3人を指名しているため、6巡目に地元選手の指名はバランス的にないのではないか?と考えました。
*記事を読んでくれた方からご指摘があり気が付いたのですが、2018年の指名では根尾、勝野、垣越、滝野と東海圏出身者が合わせて4人指名されていました。私の数え間違いでした・・。と言うことで6巡目は順当に地元出身の左投手が指名される可能性も大いにありそうだ、と言うことを追記しておきます。
そこからはサポーターのお二人と過去の指名傾向からどう言う選手の指名が考えられるか色々考えてみたものの、中々傾向が見つかりません。そこで最終的に陣営内で合意したのは、大学3年時までは評価が高かったものの、ドラフト年で評価を落とした「丸山パターン」の選手を指名しようと言うものです。
2016年の6巡目で指名された丸山泰資は、3年時までは全国大会でも好投を続けるなど無双状態を誇っていましたが、肩を怪我して以降は成績が伸び悩み、結局復活を期待した中日が6巡目で指名すると言う流れでした。今回のヨソドラに置いても、6巡目にバリバリの即戦力となる投手を獲得するのは難しいと予想されるので、上記「丸山パターン」でドラフト年に評価を落としている選手の復活に期待した指名をしようと決めました。
そこで名前が挙がったのが、関西大・高野でした。高野は2年春のデビューでいきなり0.63の防御率でタイトルを獲得と早い時期から好投を続けていましたが、昨秋の神宮大会は肘の違和感でリリーフに回り結果を残せず。復活を賭けた今秋も調子が上向かず、京大戦で4回4失点など先発時の防御率は5点台と大苦戦で、中日スカウトからも厳しいコメントが出ていました。
ただこのコメントもあくまで良い時を知っているからのコメントであり、高野の復活に自信がある球団なら逆に下位で指名できたら儲けものと思えるくらいポテンシャルが高い投手なのは間違いありません。ぜひ中日でかつての輝きを取り戻し、先発でもリリーフでもフル回転する姿を期待したい投手です。
●育成指名: 地元愛知最優先の指名
最後に育成指名については、中スポにて「支配下選手の指名人数は5人程度を予定しているようで、状況次第では育成選手の指名も考える。」とあったことから、例年以上に指名人数を増やすことはないと予想。記事でも言及した通り大野奨太の去就を考慮した高卒捕手の獲得と、育成選手の退団に備えた投手の補充を行うと予想しました。
育成指名を行うにあたり考慮したのは、直近数年は愛知出身者を優先して獲得していること、また独立リーグから獲得する場合は徳島インディゴソックスがお得意様として多く指名されていることです。そこで色々と指名候補となる選手をチェックしていくと、徳島インディゴソックス・戸田懐生 (愛知出身)と、豊橋中央高・中川拓真は指名候補としてリストアップされている可能性が高いのではと判断しました。両者ともスカウトのコメントは出ていませんが、その属性を考えると実際のドラフト会議で指名されても決しておかしくはない選手です。
以上、ヨソドラの指名とその背景について振り返ってみました。全体の指名一覧と、各担当者のコメント・指名戦略は下記になります。
今回は初の「予想ドラフト」と言うことで、自分の好きな選手・自分が指名すべきと思う選手を指名するわけではないと言う点でかなりの難しさを感じました。特にスカウトがどこまで視察したり、コメントを出しているのかの情報をまとめて過去の指名傾向から予想する・・と言う作業はかなりハードルが高く、とても1人でできるものではなかったように思います。
アマチュア球界に疎い私をドラフト候補選手への豊富な知識と愛情を持ってサポートして頂いた昇龍さんとクレープさんには、改めて感謝申し上げます。またお誘い頂いた主催者のARAさんも、本当にありがとうございました!
そしてここまで読んで頂いた皆さんも、お付き合い頂きありがとうございました。ヨソドラの是非は実際のドラフト会議の結果を持って判断されることと思いますが、今回の企画を通して今年の中日のドラフトについて考える一助になれば嬉しいです。
ご意見・ご感想、疑問・質問、批判や賞賛などなんでも受け付けておりますので、是非お気軽にコメント頂けると嬉しいです!
以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!
追記: 実際のドラフト会議の結果を受けて、答え合わせの記事を作成しましたので、よかったらこちらもご確認ください↓
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