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Blxst, lyrical school, Pusha T, Digga D, Daichi Yamamoto… | 新譜ピックアップ (2022.04)

2022年4月にリリースされたアルバムや楽曲から、おすすめ作品をピックアップしてご紹介します。

月次で記事を書いているので、過去分も読んでいただけると嬉しいです。

Blxst - Before You Go

ヒップホップやR&Bを普段聴かない方にも自信をもっておすすめできるアーティストの一人、Blxst。LA拠点に活動する彼は、誰もが踊れそうなメロディアスな楽曲が特徴的なシンガー/ラッパーです。またBlxstは自身のレーベルEvgleを設立、その後レッドブル・レコードとパートナーシップを結んでおり、個人の活動だけでなくレーベル運営も行っています。

2021年にはXXL誌のFreshman Classに選出されており、また直近ではKehlaniやBuddy、そしてKendrick Lamarの新作にも参加している注目のアーティストです。

アルバムでは、恋人との関係性を歌った甘い楽曲が続きますが、「Still Omw」のような、アーティストとして(あるいはビジネスマンとしてなのか)の今後を感じさせるような楽曲もみられます。タイトルの『Before You Go』は、自分の元を去ってしまう恋人に向けたもののように思えますが、同時に次のステップに向かっていく自分自身へのメッセージであるようにも感じました。

lyrical school - L.S.

ヒップホップアイドルユニット、lyrical schoolのアルバム『L.S.』がリリースされました。前作『Wonderland』での攻めた作風も記憶に新しい彼女たちですが、5名のメンバーの内4名の卒業が発表されており(!)、現体制での最後のアルバムということになりました。

さて、今作でも注目すべきはやはりクレジット。ヒップホップシーンで活躍するラッパー/ビートメイカー、 DJの面々が作詞・作曲で参加しています。若手からベテラン、男性・女性のアーティストと全方位的な布陣。コアなヒップホップファンへの配慮も感じました。

特に気になったのはZEN-LA-ROCK、MURO、grooveman Spot、KASHIFが手がけた「ユメミテル」、KM & Lil' Leise But Gold夫妻節が炸裂の「The Light」でしょうか。(これ、Lil' Leise But Goldバージョンも出してほしいところ…)

またアルバム最後の曲「LAST SCENE」ですが、"最後のシーン 撮り終えたら君はクランクアップして"というリリックが特に、今回の体制変更を思わせました。

Pusha T - It's Almost Dry

King Pushによる4作目のアルバム『It's Almost Dry』。

兎にも角にも"ラップが上手すぎる"という印象のPusha Tですが、今回のアルバムはすべての曲でカニエ・ウェストことYeまたは、Pharrell Williamsのいずれか(あるいは両方)がプロデュースで関わっているという、超贅沢なクレジットが話題になりました。

聴きながら、これはどちらのプロデュースかな?と予想しながら聴くのも楽しいでしょう。特に「Dreamin Of The Past」は、これぞ聴きたかったカニエサウンド!というビートで聴いていて非常に高揚しました。

Digga D - Noughty by Nature

UKドリルシーンで注目されるDigga Dによる『Noughty By Nature』がリリースされました。

Digga Dは、過去の逮捕からCBO(Criminal Behaviour Order)という制度の適用下におかれています。楽曲の内容はリリース前に警察による検閲が入り、特定の地域や事件、人物に関する言及が規制されています。
そんな表現の課題を抱えながらもシーンでの人気は絶大で、今作は全英のチャートで初登場1位も獲得しています。

Digga  Dのタイトなフロウとドリルのビートが掻き立てるアルバム。ただ、ドリルだけではなくオーセンティックなヒップホップ、特に50 Centへのリスペクトが感じられ、「Hold It Down」をはじめ複数曲で50 Centのビートが使われていることにも注目です。

Daichi Yamamoto - EVERYDAY PEOPLE

京都を拠点に活動するラッパー、Daichi Yamamotoのリリースしたシングル曲。国内のアーティストの中でも毎回リリースを楽しみにしている一人です。

ジャマイカ人の母と、京都の有名クラブMETROを運営する日本人の父をもつDaichi。今回の楽曲は自身のパーソナリティーに対する考えが色濃く表れたリリックとなっています。黒人として生まれたアイデンティティや、髪型をアフロにするに至った考えについて触れられており、より内面に迫ったリリックに胸を打たれました。

さて、"EVERYDAY PEOPLE"というと、Sly & the Family Stoneによる同名の曲があります。多様なアイデンティティや価値観を持った人がいて、それぞれの葛藤もありつつも毎日を過ごしていく、という描写で共通する部分を感じました。

その他の注目楽曲 / プレイリスト

その他、4月のおすすめ楽曲をまとめています。

夏フェスのラインナップや来日公演の予定も続々と発表されつつあり、今後が楽しみです。


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