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結局1マイルは何円なのかを計算してみた

普段の決済をクレジットカードで行うことで、各社のポイントやマイルを得るというスキームは日本人にとってもはや義務教育に盛り込むべきともいうべき水準まで達しているだろう。

しかし、この「ポイント」で貯めるのか「マイル」で貯めるのかというのは人によって好みのわかれるところ。
なんとなく「旅行が好きな人はマイル」という印象があるが、しっかりと両者の価値を比較して「結局1マイルはいくらなのか」に答えを出すことでマイルで貯めるのかポイントで貯めるのかの判断の役に立ちたい。

また、結論だけ知りたい人は最後の表を見てもらえれば一目でわかるようにしている。
※なお基本的にこの記事ではANAのマイルやプログラムをベースに記載しているが、JALでも類似プログラムがあるし基本的な考え方は同じである。


ポイントとマイルの発生の仕方の違い

まずは前提知識としてクレジットカードで決済した時に発生する「ポイント」と「マイル」の違いについて理解しておく必要がある。

ポイントの発生

まずはポイントだが、これは非常にシンプルだ。
決済額のおよそ1%がそのカードの提携するポイントとなって後日戻ってくるというもの。
ちなみにポイントを貯めたいにもかかわらずこの「還元率」が1%を下回っているようであればすぐに見直したほうが良い。
年会費無料であっても還元率1%は確実にゲットできるラインである。

マイルの発生

続いてマイルの発生だがこちらは少しだけややこしい。
マイルの貯まるカードで決済をしたとしても、一旦は上記で説明したような経路でポイントとして貯まることになる。
※ここで貯まるポイントはカード会社によって異なる。
そしてそのポイントが自分のポイント口座に入ったのちに手動または自動で各社のマイルに変換されることになる。

そしてここがややこしいのだが、おおむねこのマイルのスキームでは、ポイントで貯まる際には「還元率0.5%」で貯まっておいて、マイルに還元する際に「1ポイント=(おおむね)1マイル~2マイル」という形で交換されるので、マイル交換のレートとしては(おおむね)「0.5~1%」の還元率となる。

例えば1万円使ったときのポイントとマイル

分かりやすく例を挙げると、1万円をクレジットカードで決済した場合に「年会費無料」のカードクラスの主要なレートで比較すると
・ポイントの場合(還元率1%):100ポイント貯まる
・マイルの場合(還元率0.5%):50ポイント貯まり、50マイルに変換される

1マイル=2円が「貯めるときのレート」

上記で分かるように、同じ決済額で比較するとポイントで貯めるほうがマイルで貯めるのに比べて2倍のポイントが貯まることになる。
1マイル貯めるのは2ポイント貯めるのと同じ価値があるということになる。
逆に言うと、使う際に2円以上の価値換算で使えないとマイルとして貯める意味はない。
※年会費やカードのクラス、その他「こざかしいテクニック」によって貯めるときのレートは複雑に変わるが、両者の王道ルートとして上記のレート比較が最も多くの人に当てはまるケースであろう。

飛行機に全く乗らない人はポイント一択

そしてマイルを最も「価値高く」使う手段は飛行機に乗ること、これ以外にない。
各エアラインは様々なサービスで1マイル=1ポイントとして使えるようにもしているが、先ほどのように2倍の価値を持たせなければならないマイルを1ポイントとして使っては価値を半減させることになるので明らかに損をしている。
ポイントとして使うのであれば初めからポイントを貯めるべきなのだ。
つまり、飛行機に乗らない人は「マイルの持ち腐れ」なのでおとなしくポイントの貯まるカードを使うべきである。

また、「飛行機は基本LCC」という人も同様だ。ANAやJALに乗らないのであれば基本的にはマイルで貯めることは損をすることになる。
※こういった人はこれ以降この記事を読む意味もないだろうからここで離脱していただいたほうが良いかもしれない。

国内線で「普通に」使えば1マイル=2円ちょい

さて、ここからが本題というか結論になっていくが、マイルの価値はその人がどれだけしたたかに効率の良い交換を考えるかによって変わる。
何も考えずに飛行機(国内線)に乗る時に使っている人のマイルの価値は貯めるときと同じく、1マイル=2円ちょいである。
例えば羽田から札幌に飛行機で行く場合、普通に予約すると往復で3万円~4万円が相場だ。
これを同じシーズンにマイルで予約すると基本的には15,000マイルとなるので1マイルの価値は2円~2.7円となる。
セールや早期割引によっても変動はするが、2円を下回ることがない以上貯めるときのレートよりは得をしているのでポイントで貯めるよりは得ということになる。

こう考えると、定期的にANAやJALといったエアラインの飛行機に乗ることが決まっている(帰省や旅行など)人であればマイルで貯めるほうが得ということになる。
これがマイルファンが多い大きな理由である。

賢く使えば1マイル=5円~12円

さらに「普通に使う」のではなく、少しのリテラシーがあれば一気にマイルの価値を高めて使うことが可能だ。
「賢く使う」には主に次の使用方法と段階でマイルの価値を高めることが出来る。
・「トクたびマイル」を使った国内線での利用:1マイル=約5円
・国際線での利用:1マイル=約7円
・国際線ビジネスクラスでの利用:1マイル=約12円

「トクたびマイル」の利用(1マイル=約5円)

まずはANAの「トクたびマイル」(JALの場合は「どこかにマイル」が該当)というプログラムを活用することにより一気に1マイル=5円の価値まで引き上げることが出来る。

これは毎週火曜日に発表される、ANAの指定する便であれば通常の約半額のマイルで航空券が予約できるというものだ。
主な利用シーンとしては、火曜日にトクたびマイルのサイトで該当する便を確認し、その週末にその便を約半額となったマイルで予約するという流れになる。

行き先をある程度ANAに任せる形になるので「どこでも良いから週末どこかに行きたい!」というザックリとした国内旅行を楽しめる人であればニーズにがっつりハマることになる。
あるいは、「行きたいところがあるけど今週でも来週でもいつでも良い」という場合も、行きたい場所が対象になるタイミングを待って予約すればよい。

つまり「行き先・時期のいずれかの融通が利く」人であればこのトクたびマイルを使えば通常の半額つまり1マイル=約5円の価値として航空券予約が可能となる。
また、おおむね往復6,000マイル程度となるのでそこまでマイルが貯まるのを待たずにサクサクと使えるのもこの方法の魅力だ。

国際線での利用(1マイル=約7円)

国内線ではなく国際線でマイルを使うとさらにマイルの価値は高くなる。
例えば、羽田ーハワイ間をレギュラーシーズンで予約しようとすると往復で26万円程度が相場となるが、マイルで同区間を予約すると40,000マイルで予約することが出来るので1マイル7円弱という換算が出来る。

国際線ビジネスクラス(1マイル=約12円)

さらに同じ国際線でもビジネスクラスでの利用となるとその換算レートは跳ね上がる。
羽田ーハワイ間のビジネスクラスはレギュラーシーズンで100万円を超える料金になるが、マイルで予約するとなんと85,000マイルで予約することが出来る。単純換算で1マイル=約12円のレートになる。
ファーストクラスもマイルでの予約が可能だが、必要マイルは120,000マイルとなり料金に対して少し分が悪くなるので、最も効率の良い交換という意味ではビジネスクラスが最もお得といえそうだ。

一方でデメリットとしては65,000マイルが貯まるまでには相当のクレジットカード決済額やフライト実績が必要となることが挙げられる。
ゴールドカードの還元率でも単純計算で650万円の決済をしてはじめて65,000マイルが貯められることになるのでかなり時間はかかる。
しかしここについてはクレジットカード発行時のキャンペーンなどを活用して一気にマイルを貯めるなど工夫の余地は十分にある。

最適解は国際線ビジネスクラスだが・・

というわけで、マイルの価値を最も高める最適解としては国際線ビジネスクラスでのマイル利用ということになり、その場合の換算レートは1マイル=12円となる。
まさに異次元の交換レートになるので、定期的にビジネスクラスで海外旅行に行きたいという少しリッチな楽しみをしたい人にとっては「大量のマイルを貯めて一気に海外旅行で使う」はこれ以上ないお得なスキームになり得る。

一方でビジネスクラスに興味のない人もいるだろう。
シートにこだわりがなくエコノミーで十分という人にとってはビジネスクラスに貴重なマイルを使うのは無駄だと思うかもしれない。
その場合は通常の海外旅行エコノミーシートの予約に使っても1マイル=約7円と十分な価値で使うことが出来る。

海外旅行にそもそも興味がなければ国内旅行で「トクたびマイル」などを活用していくのがマイルの価値を高めるためのセオリーになりそうだ。

【結論】1マイルの価値は最大約12円、飛行機に乗るならポイントで貯めるより有利

結論としてはマイルの価値は「使い方による」ということになるが、
・頑張って貯めて国際線ビジネスで約12円を目指す
・少し頑張って貯めて国際線エコノミーで約7円を目指す
・国内線で「トクたびマイル」を活用して約5円を目指す
・何も気にせず使えるときに航空券予約に使って「約2円」
基本的に上記のいずれかのパターンとなる。

使い方によるマイルの価値(レート)の違い

ただいずれにしても航空券予約を定期的にするのであれば2円以上の価値があるのでポイントで貯めるよりもマイルで貯めるほうが経済的には効率が良いということで良いだろう。

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