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「投資を副業に」する前に考えること

昨今の「副業ブーム」と「投資ブーム」が相まって「副業で投資をしたい」という人も増えているようだ。

証券会社で投資を広める仕事をしている身としてはうれしい限りではあるしそれを止めるつもりも一切ないのだが、大事な視点が抜け落ちていたりチャレンジする前に整理しておくべきことが意外とあるのでこれから投資に「副業として」チャレンジする人には読んでいただけると嬉しい。
※超初心者向けに記載しているので、ある程度投資の経験がある人からすれば「なんだ今さら」という内容かもしれない。


他の「副業」との決定的な違い

投資というのは副業の選択肢として並べると極めて異質な存在だ。
会社員のメジャーな副業といえば

・ブログ(アフィリエイト)
・SNS
・せどり
・ライティング/デザイン

といったところだが、これらと「投資」との間には決定的な違いがあるからだ。
それは「報酬がマイナスになること」がある点だろう。
正確には他の副業も初期投資があるのでマイナスになることはあるが、報酬がマイナスというのはなかなかユニークだ。

そしてほぼすべての投資にチャレンジする人がこの「マイナスの報酬」をずっと経験することになる。

投資を副業に変えるふたつの選択肢

報酬がマイナスになる可能性に耐えられない人はここで投資の選択を辞めたほうが良いだろう。
投資を副業として選択するメリットは
・報酬が青天井(元手が増えれば利益の額も増える)
・時間帯効果が高い(やり方によっては半自動で資産を増やせる)
である反面、最大のデメリットが
・損失も青天井(利益を狙った分だけリスクも大きくなる)
であるからだ。

そしてこのリスクを許容して、「投資に挑戦する」と決めた多くの人がチャレンジする前に二つの目的から自分のスタイルを選択する必要がある。
・毎月(毎日)一定の額を収入として得たい
・最終的(数年~数十年後)に大きな資産を築きたい

のふたつである。

前者が非常に副業的であるのに対し、後者はただの「資産運用」である。
だから「投資で副業」というと後者をイメージする人は「ん?副業?」となり違和感を覚える人が多いのだ。
後者を資産運用と呼ぼうと副業と呼ぼうと「やることは変わらない」のだが、どちらを目的にするかによって投資のスタイルは全く違うものになるのでそれについては説明しておきたい。

毎月一定額を得る「トレード」

毎月利益を確定させる(報酬を生活費や貯金にまわしたい)場合は、どうしても短期の取引が中心になるため、投資というよりは「投機」や「トレード」と呼ばれやすい。
このような投資家(トレーダー)の王道スタイルとしては

・国内株式(平日の昼間に動けないと厳しい)
・FX(夜間でも取引が可能)
・その他(投資信託や先物)

といった商品を毎日もしくは数日の範囲で売り買いして利益を得るといった方法になるだろう。
そして毎日や月末の合計利益額を「報酬」として得るということになる。
ただ、多くの人はさらなる利益を求めて報酬額を投資の元手に回して規模を大きくしていきがちである。

毎月しっかりと手取り収入が欲しい場合、オススメとしては利益の半分を報酬として受け取り、半分を元本に回すハイブリッドなシステムにすれば報酬を受け取りながら元本の拡大を目指すことが出来る。

なおこれらの投資には当然元手(なくなるかもしれない覚悟で)が必要ではあるが毎月の目標収入ごとの必要な元手は次のイメージだ。

毎月の目標利益と必要な元本イメージ
数千円/月の利益:元本10万円~
1-5万円/月の利益:元本100万円~
10万円前後/月の利益:元本500万円~

もちろん相場や技術、運によって大きく変動するがこのイメージがずれていると「10万円突っ込めば10万円くらい儲けられると思ったのに期待したリターンが全然得られない」などということになる。
やり方によってはそうしたトレードも可能だが、それはもはやギャンブルであるのでここでは論外とする。
いずれにしても、最初はできる限り少額で始めることをオススメする。

最終的に大きな資産を築く「資産運用」

毎月収入を得る必要はないが、投資の力で資産を大きくしたい場合は「資産運用」の領域に入る。
多くの投資家と同様に

・株式
・投資信託

を中心に数年以上の長期で保有しながらじわじわと資産を増やしていく。
NISAやiDeCoといった制度を活用できるのもこのスタイルである。
目に見えて「儲かった!」という感覚を得る機会は少ないかもしれないが、初期の元手が必要なく時間を味方につけて雪だるま式に資産を膨らますので数年~数十年かけて最終的に築ける資産額はとんでもないものになる可能性がある。
ここでの目安は毎月の収入ではなく毎月どのくらい資産が増えるのかというイメージになるが、これは資産の大きさに比例する。

毎月の目標増加額とその時の元本
数千円/月の増加:元本100万円~
1-3万円/月の増加:元本500万円~
5万円前後/月の利益:元本1000万円~

なおこの王道の資産運用は相場の影響でパフォーマンスが大きく変わるので株式相場が下がっている局面ではどうしても損失(資産が減る)月も出てくる。そういう月もあるという前提で「トータルで増えればよい」という寛容なスタイルといえる。

毎月の安定収益を目指す「副業」は「トレード」一択

さて、副業としての投資にはふたつの選択肢があるといっておいてなんだが、いわゆる一般解釈での「副業」が毎月の安定収益を目指すものであるならば選択肢は前者の「トレード」ということになる。
なぜなら後者の資産運用はあくまでも長期での成果を目指し、月によってはマイナスになる月もあることを許容して運用していく必要があるが、事業として「毎月黒字」を目指すのであれば、株価や為替相場が下がっているときでもそれを利益に変えるような運用が必要になる。

細かく売買を行い、そういった下げ相場でも「下がるほうに張る」ことで利益を目指せるのはトレードしかないからである。
トレードの頻度自体は一日の中で何度も繰り返す「デイトレード」のようなものから数日~1週間単位で売買を行う「スイングトレード」と呼ばれるような期間まであるが、いずれにせよ毎日の情報収集とポジションのメンテナンスは欠かせない。

結果的にマイナスになる月も出てくるだろうが、「毎月黒字を目指す」という観点で投資を副業化したいのであれば、毎日一定の時間は情報収集や取引に割くことが必要になることは意識しておきたい。

ギャンブルのと違い

「マイナスになる月もある」というとパチンコや競馬を生業とするギャンブラーと何が違うのかと思う人もいるかもしれないが、株式やFXの世界とギャンブルの世界には大きな違いがある。
それは「期待値がマイナスでない」ことである。

パチンコや競馬はビジネスであるから、当然売り上げの一定数は胴元である企業や運営に入ることになる。
つまり投資額に対して返ってくる「期待リターン」は必ずマイナスになる。
しかし株式やFXはこのような「胴元」がいないので中抜き手数料が極めて小さいうえに、「負けた人間の金が買った人間の原資」になっているギャンブルと違い、「全員が儲かることもできる」システムで動いている。

「やればやるほど負ける確率が上がるギャンブル」とは仕組み自体がそもそも異なるのだ。
(逆に投資をギャンブルとしてやるのであれば、株式やFXは割のいいギャンブルといえるかもしれない)

チャレンジは少額から

この記事は投資のテクニックや必勝法を解説する類のものではないが、もし「トレード」にチャレンジするのであれば少額でのスタートを是非オススメする。

最初は取引自体が未熟なことに加えて、大きな金額では冷静な判断や自分の決めたルールに従った行動が驚くほどできないことに気づくだろう。
まずは自分のスタイルを築くために「思った通りに行動できる額」でチャレンジを始めるべきだ。

例えば資金が100万円あるとすれば、10万円ずつなくなっても良いつもりで始めてみるとよいだろう。思ったほどの利益が得られず満足できないかもしれないが、10回失敗することが出来る。
序盤は利益を稼ぐことより学びを稼ぐほうが圧倒的に重要だ。
そして副業で投資、つまりトレードを始める場合であっても「資産運用」としての投資も別の財布で是非行ってほしい。

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