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年収800万円を超えると家計が圧倒的に黒字化する仕組み

巷では「ある程度の年収を越えると幸福度数は変わらない」といったゲスいんだか高尚なんだかよくわからないテーマがたびたび話題に上がるが、幸福かどうかは置いといて家計が圧倒的に黒字化してお金があふれ出すようになったラインについて考察したい。


年収600万円までは東京ではトントン

私が転職して東京に来たのは27歳くらいの時だったが、その時の年収は確か600-650万円くらいだったと思う。
独身、三軒茶屋(家賃11万円)に一人暮らしのテンプレ20代社会人にとって年収600万円というのは決してゆとりある生活を保障してくれるものではない。

働き盛り、飲み盛りの20代後半、正直貯金は全くなかった。というかたびたびカードローンを使うほどにきれいな損益分岐点の上で生きていたのを覚えている。
「そろそろ貯金でもするか」と毎月投信の積み立てやiDeCoで数万円を貯め始めたのはおそらく30近くになって年収も700万円を超えたあたりからだったと思う。
個人的には年収600万円というのは「節約して貯金しようと思えば全然貯められるけどどうせ大した額じゃないから使っちゃおう」というラインである。

年収800万円を超えると何が起きるか

所得が上がるに比例して生活水準を上げるというエグゼクティブな人も少なくはないと思うが、幸いにも?ブランド物や車の類にあまり興味のなかった私はそのようなスパイラルに陥ることはなかった。
今思えば私の欲を十分に満たす年収ラインがちょうど600万円あたりだったのだろう。そんな「年収600万円で満足な生活が出来る人間」が年収800万円に到達するとどうなるか。当たり前といえば当たり前だが、圧倒的にお金が貯まりはじめる。

確か私がこの水準に至ったのは30歳くらいだったと思うが、600万円で黒字経営出来ていた人間が800万円を得るようになると単純計算で月に10万円以上余り始める。
ここでこの余剰分を生活水準の向上にあて、タクシーを使い、高級な寿司を食い、ブランド物を身にまとって、海外旅行に行きまくるようになることは簡単だったが、非常に賢かった僕はそのような愚鈍な道には外れなかった。
余った10万円をしっかり毎月積み立てたのだ。

ここで、毎月10万円以上を積み立てる人間に訪れる誘惑がある。
それは「もっと積み立てたい。ペースを上げたい。」という純粋な(残高の)成長欲求だ。こうなると人間の調整能力というのはすごいもので、これまでに当たり前のように出費していたものが無駄に感じてさらに積み立ての金額を増やすことのほうが効用が高くなる。
飲みに行く頻度は減り、タバコを止め、服はユニクロ率が高くなる。
逆に「この生活水準、みっともなくないよな?」「たまには使うこともしないとみじめだよな」という葛藤と戦いはじめることになる。
この「頑張って使うようにする」というレベルに到達するころには家計は黒字どころの水準ではない。

もはや「あの株も買いたい、あの投資信託買い増したい」と、投資のために訳の分からない金欠にあえぐようになる。
待っているのは圧倒的な金余りだ。

金持ちを待っている「さらなる金持ちへの道」

こうして資産が膨れ上がっていくなか数年たつと、おそらく資産が1000万円を超えたあたりで世の中のある仕組みに気づく。
それは、「金持ちには、さらに有利になるオプションが待っている」ということだ。
これは例を出したほうが早いだろう。

例えば、ある銀行では残高に応じてデビットカードのキャッシュバック率が変わる。口座に100万円入っている人がデビットカードで決済した時には1%のキャッシュバック率だが、残高が1000万円の人が同じ決済をすると2%のキャッシュバック率が提供される。
銀行としては金にならない客より、コストをかけてでも金持ちを囲いたいので当然のマーケティングなのだがこういった優遇がいたるところで起き始める。

今までと同じ生活をしているのにマイルやポイントは貯まり、同じものを買うためのコストは安くなり、さらに金の貯まりやすい仕組みになっていく。
さらにこれにより、例えば今まで必死にお金を貯めて行っていた旅行にマイルを使ったほうが圧倒的にお得に行けるという(もちろん公開されている情報なのだが)金持ちにとっては「常識」のいくつかの真理に到達する。
金持ちには、金持ちになるためのさらなる選択肢と知恵が授けられるという仕組みになっているのだ。

年収1000万円、どんどん減るコスト

さらにさらに年収が1000万を超えるレベルになると、別の仕組みによりさらに資産が増えやすい仕組みに到達する。
当たり前といえば当たり前なのだが、人というのは同じような所得水準の人と過ごす時間が多い。
つまりこの水準の収入を得ているということは、かなりのエリートサラリーマンやそれなりに事業でうまくいっている経営者ということになると思うが、仕事でもプライベートでも、必然的に同じようなエリートサラリーマンや経営者と過ごす機会が多くなる。

生まれが良く高学歴な人にとっては自然なことなのかもしれないが、ど田舎の低学歴出身の私からすると「すげー」というメンツで飲むというようなことも頻繁に起きる。
そうなると、飲み代がかからなくなる。
なぜなら、会社のお金で支払える人の割合が増えるからだ。
経営者同士なんて「ここは私が」「いえいえ私が」の世界なので、悠長な私はそんな譲り合いを眺めながら「あざす!」といってお言葉に甘えまくる機会が増えるのだ。

当然、部下や後輩にごちそうする機会もあるが、それは年収600万円だろうと年収1000万円とそれほど変わらない。
こうして黒字はさらに加速していくことになる。

天国と地獄の臨界点

また、最も重要なことを言い忘れていたが貯金ではなく投資で資産を運用している場合はまさに「複利の力」で資産が雪だるま式に増えていく。
極論、一定まで達すると毎月貯蓄にお金を回さなくても勝手に増えていく水準に達するのだ。
この仕組みのために必要な唯一の条件はこの複利の「雪だるまのもと」を作ることである。
そしてそれが出来るのが(私の場合は)年収600万円を超えることで出来はじめた「毎月の積立」なのである。

つまりまとめると
①毎月積み立てる余裕が出来る
②積立額を増やしたいという欲求に襲われる
③有利なオプションを受け始める
④さらなるお金持ちとつるみはじめる
⑤投資でどんどん増えていく

という流れで家計は黒字化の波におぼれていく。

当然、この流れの過程で贅沢を欲する道へ逸れてしまう機会は無数にある。
たまに贅沢をするのはもちろん問題ないが、一定の倹約基準で生き続けている限り、このスパイラルからは抜けたくても抜けられない。
「資産が増える喜び」という重力に引っ張られるためだ。
よって、家計を黒字化させたい人はまずは臨界点である800万円というラインに早々に到達することを強くお勧めする。

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