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エンタメ×生成AIという軸で投資すべき・注目すべき領域

・初めに

近年、生成AIは驚異的な進化を遂げているということは言うまでもありません。ChatGPTに代表されるLLM(大規模言語モデル)の処理能力の向上は、私たちの理解、生き方、そして人工知能との付き合い方に大きな影響を与えています。生成AIは、自然言語処理や画像生成などの分野で驚くべき成果を上げており、ますます幅広い用途で活用されています。
実際、StableDiffusionをはじめとするグラフィックデザインや写真、画像生成の領域やLLMによる文章生成、対話機能、プログラミング領域への投資は活発に議論されていますが、ゲームやエンターテインメントへの生成AI応用について表立った議論がまだまだなされていないように見えます。
しかし、この技術は、映画やテレビ番組の脚本の執筆、キャラクターのデザイン、音楽の作曲など、あらゆるクリエイティブのプロセスにおいて莫大な可能性を秘めており、より注目されるべき領域であると考えています。


以下でエンタメ×AIという軸で投資すべき、注目すべき領域について大きく4つに分けました。

生成AI×ゲーム市場カオスマップ a16zより引用

・領域1 ゲームエンジン

キープレイヤー:https://latitude.io/ , https://spellbrush.com/ , https://www.regression.gg/

あらゆるエンターテインメントの中でも、生成AIによって最も影響を受けるのがゲームだといわれています。複雑性が高くリアルタイム要素が強いゲーム分野は今まで新規参入が困難なジャンルであると捉えられていましたが、生成AIによる各構成要素の処理が自動化されることで、小さなスタジオで数人のクリエイターが世界的に流行する大ヒット作を生み出すというシナリオが現実味を帯びてきています。

a16z

しかし将来はゲーム内の各構成要素に生成AIモデルが入り込み、制作・処理にかかるコストはゼロに漸近すると予測されています。
Latitude.io が制作するゲーム https://play.aidungeon.io/ ではGPTを利用してチャット型のRPGがプレイでき、Spellbrushはhttps://www.arrowmancer.com/ で自分好みのキャラクターをAIでデザインしたプレイを可能にしました。

・領域2 アニメーション

キープレイヤー:https://runwayml.com/ , https://www.kinetix.tech/ , https://www.deepmotion.com/

映画、ドラマ、ゲームというあらゆる視聴型エンターテインメントで用いられる動画という媒体は、最も処理が多くコストのかかる工程を必要としていました。生成AIの出現により、動画の前処理、3Dモデルの動作、アニメーション化など様々な側面からアーティストやデザイナーの負担を軽減し、大幅なコストダウンに繋がると予想されます。
現にRunwayはオスカー受賞映画の『Everything, everywhere, all at once』のCG処理に使われており、現場レベルで機能するクオリティを有しているなど、アニメーション関連の生成AIは非常に実用性の高いプロダクトが多い投資領域です。

・領域3 NPC関連

キープレイヤー:https://inworld.ai/ , https://charisma.ai/ , https://convai.com/

NPCはNon-player character の略で、プレイヤー以外のキャラクター全般を指す用語です。今まではNPCの動作・会話・能力等は全て予め作られたプログラムに則って機能していたため、規則以外のアクションは一切不可能でした。しかし、NPCのダイアログに生成AIを組み込むことで、プレイヤーの動作に応じた個別の反応を行えたり、日時や状況に合わせた発話が出来たりとよりリアルなコミュニケーションを行えるようになります。
生成AIの能力をゲーム内の枠組みで完全に制御できるかという部分で課題もありますが、各ゲームで違ったチューニングが必要になるということで多様なプロダクトが台頭できる余地がある領域でもあるため、期待が寄せられています。

・領域4 音楽/サウンドエフェクト

キープレイヤー:https://openai.com/research/jukebox , https://www.musi-co.com/ , https://www.aiva.ai/

音楽やSEも同様、グラフィックスの領域で既に行われている作業を補完するために、生成AIを使用して独自のトラックを生成するプロダクトが現れ始めています。高度化してクリアに時間のかかる近年のゲームでは、似たようなサウンドトラックが延々と流れるマンネリ化が課題として挙げられていました。生成AIを用いることで、例えば特定の条件下のみ音楽を変化させたり、プレイヤーの状態によってサウンドエフェクトを変化させたりと、あらゆる場面での活用が見いだされています。
ゲーム以外でも、OpenAIのJukeboxのように純粋に音楽そのものに焦点を当て、人類が制作してきた全ての楽曲をLLMと同様に学習することで人間の作曲活動を支援するプロダクトも挙げられる領域です。



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