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シドニーオペラハウス 『臼烏の糊』

シドニーと言えばオペラハウスである、と言い切っていいものかどうか分からないが、そのオペラハウスで行われるバレエ公演「白鳥の湖」に誘っていただいた。

いきなり話は外れてしまうが、これを「臼烏の糊」と書いたとしても文脈から「白鳥の湖」と読んでくれる方もいるかもしれないと思ってしまったのは俺だけではないと思いたいが、もしかしたら俺だけかもしれないのだがどうだろうか。

有名な『伯方(ハカタ)の塩』の例を引用すると、公式として「地名+の+商品」となるわけだからか、『臼烏』という場所の『糊』、『臼烏』で生産された『糊』ということになるか。

漢字のフォルムは似ていても、仮名にすると全然違う。「ハクチョウ」と「ウスカラス」だから似ても似つかない。

ウスカラスが地名だとするとその由来が全く浮かばないのが難点だが、明日への希望に満ち満ちた光り輝く土地柄だとは到底思えない。山々で隔離され年中曇天のその集落はうすら暗いどんよりとした空気で覆われていて、寡黙で陰気な人々が先祖代々べっとべとのねっちょねちょの高性能高品質の糊を作りながらつつましやかに暮らしているのである。

と、どうして俺はそんなどうでもいい話をくどくどとしているのかはいつものことなのでどうすることもできないのだが本当に時間のムダだと思えてしまう。が、まあ今日はちょっと面白かったのでよしとく。

『日本伝統技能100選 ”臼烏の糊” お歳暮にどうぞ。』

さて、オペラハウスの中に入るのは改装後初めてで、とても久しぶり。
以前シドニーダンスカンパニーの公演を観に来たことはあったが、本格的なバレエ公演は初めてだ。「白鳥の湖」はとても有名な題材なので、素人の俺でもその名だけは知っている。

水島新司先生の名作「ドカベン」で明訓高校の2番バッターだった天才殿馬一人は中学時代、左足を軸に高速回転し、その加速遠心力で打球を遠くへ飛ばす打法、秘打・白鳥の湖を披露し、見事にレフトスタンドへ叩き込んでいる。それを読んだ俺は、志村けんの恰好をして片足で立ってくるくる回るやつを白鳥の湖だと薄っすら理解したように思う。それを誰が責められようか。あんな田舎ではそれを正しく訂正してくれる人も居なかったし。

本物の「白鳥の湖」はちゃんとしたストーリーがあって(当たり前、股の所から白鳥の頚は伸びていなかったし、岩鬼も山田も野球をしていなかった)、バレリーナのみなさんも美しくとても興味深かった。

美しいものがいいですね。

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