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たとえ胸の傷が痛んでも
歴史キュレーションラジオ『コテンラジオ』による【やなせたかし編】が6回目、最終回を迎えた。
ずっと感動していたけど、最終回は本当に心揺さぶられた。
前回の記事でも、最終回前のコテンラジオによるやなせたかし氏編の事を書きました。
やなせたかし氏の生い立ちから始まり、戦争体験及び弟の戦死などの苦悩、そして途切れる事なく仕事はあるけど、周りの漫画家仲間達がどんどんヒット作を世に出していくのに、いつまでも漫画家として花開く事のない日々、それでも辞めずに続け、漫画界の神・手塚治虫氏の手伝いを引き受けた結果、そのお礼に初めてアニメ作品を手がけることになり、カーネル・サンダース並みの遅咲きで、代表作【アンパンマン】を生み出すことになる、そのストーリーにも【アンパンマン】に込められた思いにも、全てに心揺さぶられた。
最終回では、アンパンマンにはなくてはならない存在であるバイキンマンについても語られた。
モチーフはハエだから背中に羽が生えている。
そして目の白目がピンクなのは、徹夜して次々に様々な新型兵器を作りだしているからだそう。
それは、次々に新しい病原菌が出てきて人間を脅かすというイメージからきているそうです。スゴイね。よう出来てる。
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そして、アンパンという食品の敵はバイキンだけど、そもそもパンが作られる時にはイースト菌という菌が必要で、人間にもバイキンは良くないけど、体内には多数の菌がいるし、そんな風に世の中は、光と影、善と悪など相反するもののバランスで成り立っているという事が描かれている。
だからバイキンマンという影によって、アンパンマンは光輝く。
アンパンマンは決してバイキンマンを殺さない。
アンパンチをお見舞いして、バイキンマンは「バイバイキ〜ン」と自分の家にすっ飛んでいくだけ。
善と悪であっても、とても平和に共存している。
そして、光と影、善と悪という相反する心が共存しているとして、ロールパンナちゃんというキャラクターも登場する。
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ジャムおじさんがメロンパンナちゃんの希望に応えて、お姉ちゃんを作るというパン制作の過程で、バイキンマンがバイキン草を混入させてしまったが為に、善と悪の心に葛藤する存在として生まれた。
このキャラクターは、登場回数は少ないものの、共感できるという声が多くて人気が高い。
綺麗事ばかりに見えがちな【アンパンマン】だけど、正義は傷つくことだとか、善と悪との葛藤を描いていたりして、とても味わい深い作品なのだ。
コテンラジオで紹介されていた映画『それゆけ!アンパンマン 命の星のドーリィ』を見てみたら、感動して泣けた。
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あらすじがコチラ↓
かつて不毛の地だったこの世界を水と緑の豊かな世界にしたと言われる「いのちの星」に感謝するための祭の準備が進められていた。
ある日、いつものようにパトロールをしていたアンパンマンは海に漂っていた一体の人形「ドーリィ」を見つけ、彼女をパン工場へ連れ帰る。
その日の夜、パン工場に一つの「いのちの星」が降ってきてドーリィの体に宿り、「いのちの星」によって命を得たドーリィは自由に動けるようになり、翌日から町で生活を始める。
生きていることや自由に動けることを喜んだドーリィは、自分の好きなことだけをするようになり、そのわがままな行いで町の人々を困らせてしまう。
さらに、自身を助けてくれたアンパンマンの「困っている人を助ける為に生きる」という考えまで否定してしまった。
やがてある日、ドーリィは自分の「いのちの星」が、アンパンマンのように自分の体に溶け込んでおらず、徐々に小さくなっていることに気づき、このままでは元の人形に戻ってしまうと恐れ始める。
「困っている人を助ける為に生きる」
そんな台詞は、綺麗事に聞こえるけど、アンパンマンはその言葉に命をかけている。
『手のひらを太陽に』の歌詞で、
「オケラだってミミズだってアメンボだって みんなみんな 生きているんだ 友達なんだ」と書いているのに、
『アンパンマンのマーチ』でアンパンマンは、「愛と勇気だけが友達さ」と言っている。
それは矛盾しているように聞こえるけど、そうではない。
どんな生き物も友達であるべきだ。
でも、正義という大義によって行われた戦争では、多くの人々が想像を絶するほどに傷ついた。
そして、戦争前に正義とされたものがことごとく覆った。
正義とは、そんな風に人々を傷つけてしまうものでもある。
だからこそ、自分の正義を貫こうとする時には、人を巻き込んではいけない。
友達を巻き込んではいけない。
だからアンパンマンは、自分の正義を貫く為に、愛と勇気だけを友とするのだ。
すごくないですか?
そうだったのか…と心が震えた。
そして、やなせたかし氏が90歳近くなって、さすがに体力の限界を感じて「もう引退させてほしい」と言っていたところに、東日本大震災が起こる。
まるで敗戦後のような光景の中、テレビも映らない中で、あるラジオ番組が『アンパンマンのマーチ』を流したところ、反響が大きかったそうで、そのラジオ番組では、毎日『アンパンマンのマーチ』を流した。
そうしたところ、笑顔をなくした子供達に、笑顔が戻ったという。
♩そうだ 嬉しいんだ 生きるよろこび
たとえ胸の傷が痛んでも♩
それを聞いたやなせたかし氏は、自分の命が尽きるまで書き続けようと心に誓ったという。
それはまさしくアンパンマンそのもののように…!
心が震えて涙が出た。
生きていくのは大変だ。
でも、生きていることを喜ぼう。
たとえ胸の傷が痛んでも…。
なんて素晴らしい作品なんだ!と、改めて気付かされた。
そして思う。
日本が世界に誇る最高のヒーローは、アンパンマンだと!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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