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【各賞】2019年に見た映画

2019年に見た映画、カンタンな感想を兼ねて各賞を発表します。

ベストオブベスト

スパイダーマン・イン・トゥ・ザ・スパイダーバース

最高です。もう人生ベストといっても過言ではない。プロットは完全にイロモノ、ビジュアルの凄さだけを確認しに行ったのに、物語に完全に魅了されました。ヒーローの成長譚として。スパイダーマンの本質として。孤独と仲間の映画として。生きづらさを抱えたコミュ障として。親として子として。自由と責任として。ここまで抽象化/カリカチュアされながらも「物語」の本質を突いた映画を他に知りません。最高の最高です。


ベストストーリー


アベンジャーズシリーズ(アベンジャーズ~ファーフロムホームまで)
ボヘミアン・ラプソディー

自分は「ストーリー」と「キャラクター」では、圧倒的に「ストーリー」派なのですが、アベンジャーズの「全体を紡ぐ壮大なストーリー」と「個々の作品でのストーリー」が、どちらもすばらしい完成度でバランスしていることに本当に痺れました。強烈な個性、むちゃくちゃなキャラクターと世界観、長く続いた原作、どう考えても無限のパズルで完全に破綻するとしか思えないのに、どの作品ほとんどハズレなく高いクオリティを維持し、最後まで盛り上げて走り切ったのは本当に見事です。たとえ最高の役者に最高の技術を揃えても実現できることではない…というのは、スターウォーズの墜落ぶりを見れば明らかです。


ボヘミアンラプソディー、7史実ベースの映画化はどうしても物語にいびつさが出る」ものですが、事実と時間軸をうまく改変し、全体を美しくバランスの良いストーリーラインに「作曲」しなおした脚本が、本当に見事と思います。



ベスト孤独と寂しさで賞

ファースト・マン
ロケットマン
アリー、スター誕生!

ファーストマンのニール・アームストロングは、実際ああいう物静かで付き合いにくい人だったようですし、そこに共感する人も多いと思います。自罰的でもあり、自らそれを求めてもいる。その寂しさと落ち着く感じが沁みました。


ロケットマンも孤独の物語と思います。孤独が深まるほど、意匠は派手に、ダンスは滑稽になってゆく様に何度も泣けました。


スター誕生!のブラッドリー・クーパーもまた孤独の人です。ようやく巡り合った「音楽の中で語り合える」魂の伴侶を自らの嫉妬で失ってゆく愚かさは、やはり自罰的な孤独であり、どこかそれを求めた男の物語です。



ベスト何十年越しで賞


ターミネーターニューフェイト

今年のトレンドは「何十年越しの映画」ですが(ミスター・ガラス、トイ・ストーリー4、IT THE END、ドクター・スリープ、スカイウォーカーの夜明け…)ベストはターミネーターのサラ・コナーかな、と思います。寡作な俳優のリンダ・ハミルトンはジェームズ・キャメロンと結婚していた時期もあり、サラ・コナーに半生を捧げた女優です。そのサラ・コナー=リンダ・ハミルトンの孤独と苦悩に焦点を当て、そして救った物語がニュー・フェイトでした。続編の企画もあるようですが、今作でサラ・コナーのキャラクターはいつでも成仏できると思います。




ベスト青春切ないんで賞

霧島、部活やめるってよ
ブレックファスト・クラブ

どちらもビデオですが、とんでもない学園ものの金字塔を見てしまいました。高校生の頃に同級生がポロリと口にした、「誰にでもその人なりの地獄がある」という言葉を思い出します。



ベスト中間管理職賞


カーズ クロスロード

中間管理職って同期よりも能力があるから出世して、やがて後進を育て道を譲るものです。私も中間管理職になって長いのでよくわかります。まさかの中間管理職が泣ける映画でした。


ベスト実写化で賞


アリータ・バトルエンジェル
日本の漫画のハリウッド実写化はうまくいかなくて当たり前…と思われていたのに、原作漫画「銃夢」の変態性とロバート・ロドリゲスの性癖が海を越えてまさかの完全一致。原作の質感までも再現した、奇跡の変態映画になりました。



ベスト劇場でよかった/ビデオに向かないで賞


ローマ/ROMA


Netflixで配信されたローマですが、製作はNetflixではなく、配給が決まらないのでNetflixが手を上げたのだそうです。自分はイオンシネマで見たのですが、冒頭からめちゃくちゃ繊細な環境音で始まり、内容も完全なアート映画で、恵比寿写真美術館で3時間過ごした気分でした。音響的にも内容的にも家のテレビで見るのはキツイと思います(飽きるか寝る)。でも最後まで見ると、ハッキリと「これは見て良かった」と思える映画です。



ベスト主演が仕事したで賞


アラジン


ウィル・スミスってスターのようで、実は近年ヒット作が無く、若い人はそもそも知らない、みたいな存在なんですよね。「売れなくなった俺様キャラ」ほど厳しいものはなくて。だから本人も必死だったんじゃないでしょうか。ジーニーという何でもありなキャラクター…ということもありますが、単純にカット数がめちゃくちゃ多い。分身もしまくるので何十人、何百人分の演技をしています。もちろんCGもあるでしょうが、本人の労力も相当なものだと思うので、ウィル・スミスめっちゃ仕事したな!!というのが最初の感想でした。すばらしいジェットコースター・ムービーです。




ベスト2回見たら全く印象変わったで賞

天気の子

劇場で一度見て、いわゆる物語の定型から外れまくった物語にびっくりして、娘が見たいというので2回行きました。結末を分かったうえで見直すと、すべてが「あの結末」に向かってゆく仕掛けや意思を強く感じて、まったく印象の違う…めちゃくちゃ良い印象…に上書きされました。その映画体験自体が新鮮で面白い体験でした。貪欲に進化しようとする新海誠はすごい。


つづきます

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